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STORY 新潟県上越市の製造業が取り組む地産地消のDXに向けた挑戦。Jマテとカワイ精工によるシステム共同開発の裏側とは

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新潟県上越市の製造業が取り組む地産地消のDXに向けた挑戦。Jマテとカワイ精工によるシステム共同開発の裏側とは

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(左:Jマテ.カッパープロダクツ株式会社 山本社長 右:株式会社カワイ精工 川合専務)


Jマテ.カッパープロダクツ株式会社(以下Jマテ)は銅合金の鋳造・加工事業などを行っており、BI、RPAツール・AI-OCRや各種ITツールを用いたDXをプロジェクト体制にて推進しています。

Jマテは以前、基幹システムの導入を外部委託しましたが、うまく行かず元に戻した苦い経緯があり再度の外注には慎重でした。その際に出会ったのが、株式会社カワイ精工(以下カワイ精工)専務取締役の川合忠実です。

カワイ精工は、精密プラスチック金型の設計・製作・販売を行っている新潟県上越市の会社です。2021年4月に新規事業としてシステム開発事業を立ちあげました。川合にはある想いがありました。

「新潟県内の中小製造業はDXについて多くの課題を抱えています。これらの課題に対し、東京でシステムエンジニアとして積んだ経験を生かして、少しでも役に立ちたい。」

Jマテの代表取締役社長の山本耕治も「同じ製造業、同じ地域でお互いのノウハウを元にシステムを作りたい」という想いから基幹システム「Revision-X」(以下RX)の外注を決断しました。※1 

このストーリーでは、Jマテとカワイ精工が地方にて共同で取り組んでいる地産地消DXの背景や、システム開発の裏側について紹介します。



地域活性化への想いとカワイ精工との出会い

川合は事業を立ち上げるにあたり、地域経済の活性化と地元企業の成長を手助けしたいという強い想いがあり、その機会を模索していました。

そのような状況の中、両社は出会い、カワイ精工が自社開発したシステムのデモンストレーションの機会が設けられました。

実機でのデモ説明の中で「自社の製造に関係する諸々の業務を改善するために基幹システムを開発・導入しました。特に購買発注においては、部品と材料の手配プロセスを見直し、紙主体の業務運用からパソコンでの自動入力やメール通知等できるシステムを構築してデジタル主体の運用に変えることで、作業工数を1/10に削減することができました。」(川合)と説明をうけました。しかし、山本は別の衝撃を受けたのです。

「想像以上の動作速度でサクサク動く、こんな基幹システムを導入したい」(山本)

山本は川合と一緒に中小企業として地域に事例を伝えることで、地方でもDXで変革が出来るのではないかと考えました。同じ上越市の製造業でありITベンダーであるカワイ精工に大きな可能性を感じ、自社の改善提案・ノウハウを融合することで地産地消のDXを行うことが出来ると確信しました。


開発における課題を乗り越え、二社共同で実現した二つのシステム

カワイ精工の製造現場で使用している購買発注システム、金型図面管理システムをベースにした基幹システム「Xシリーズ」をベースにJマテの「RX」の開発が開始されました。

Jマテは2015年から簡素化した汎用性のあるシステムの導入と、TPS(トヨタ生産方式)での改善活動、DXの活用で一連の“流れ”を基に再構築し、一気通貫のシステムを組み合わせたJoemate Production System(以下JPS)を進めています。この改善活動を基に抽出した課題をベースとして、購買発注システム、図面管理システムの開発は、およそ半年で2つの基幹システムを移管することが出来ました。

川合はJマテとのシステム開発の考え方、開発の中での課題をこう語りました。

「Jマテさんは各部署から選ばれたメンバーが、それぞれの業務における問題に対して意識を高く持ち、改善活動を積極的に行っています。本システムの開発では、これらの前向きな課題を可能な限り解決できるように、当社のノウハウや仕組みの提案を行いながら、より良いシステムを目指して共同開発を進めています。」(川合)


Jマテのシステム開発については、スクラップ原料を使用して溶解、鋳造、矯正、切断、加工と、製品の形状が変わる点が課題としてあります。普通のITベンダーでは原料、素材、加工品の一連の流れや単位、それぞれの工程ごとの要件の説明と原価の成り立ちなど製造業の仕組みを理解していても、Jマテの一貫製造では、工程ごとに独自の要件定義があるため難航し、外部開発を断念していました。しかし、カワイ精工は同じ製造業でものづくりを行っているため、フローの理解において大きな利点がありました。カワイ精工の購買発注システム、金型の図面管理システムをベースにした基幹システムに承認フローを追加し、驚くほどスムーズに開発が進んでいったのです。

購買発注システムは年間480時間の改善効果を創出する見通しで、大幅な業務の効率化となりました。また、発注書は月500枚程度のペーパーレスを行うことができ、簡素化も同時に進めています。


さらなる進化を目指して、デジタルとカイゼンを通じた地産地消のDXへの挑戦

Jマテは、産学官金(金融=地方銀行)によるチーム新潟の発想、同じ上越市内の製造業というメリットを生かしてDXに取り組んでいます。使いやすいシンプルな仕組みを検討しシステムの設計・構築、地元の中で完結する「地産地消のDX」という考えです。

工場見学など地域へのDX事例の発表など取り組みが評価され、経済産業省「DXセレクション」で中堅・中小企業等のDX優良事例に選定されました。※2

「JPSで得られた経験と学びを活かし、地域への還元、地産地消の想いで新たな価値を創出できる解決策を追求し、業界や地域をリードする企業としての責任を果たしていきたいと考えています。」(山本)

カワイ精工の川合は現在、専門学校でITの講師を務めており、地方のあるべき姿、地産地消のDXの本質についてこう語ります。

「この共同開発プロジェクトは地産地消のDXのモデルケースとして、地域全体のデジタル化を促し、持続可能性の向上と地域経済の強化という多くのメリットをもたらすものと考えています。 当社は製造業も営んでいるため、ここで得られた経験を自社で実践できることが大きな利点です。また、同業他社の課題を共有できる強みがあります。将来的にはこの経験を他の製造業にも展開し、製造業のDX推進に貢献したいと考えています。地域貢献の一環として、若者の教育にも注力していく方針です。地方においても最新のIT知識が学べ、そのスキルを発揮できる環境を用意したいと考えています。 地域や企業のDX化と若者のITスキル向上は、相乗効果を生み出し、将来的に地域全体の競争力を高めるための重要な要素であると確信しています。」(川合)


Jマテとカワイ精工のデジタルとカイゼンを通じた地産地消のDXへの挑戦は続きます。


※1:地産地消のDX 購買発注管理システム導入と共同プロジェクトについて

×

※2:経済産業省「DXセレクション」で中堅・中小企業等のDX優良事例

DXセレクション2024

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection/dx-selection.html

受賞企業レポート

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-selection/dxselection2024report.pdf

※Jマテ.カッパープロダクツはP35~36の部分に掲載




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