830合同会社は2021年に創業したばかりのスタートアップです。DX化が進む社会変化に合わせて深刻化が予想される電子機器の充電問題に対し、充電器のシェアリングサービス「Sharing Chargers」を通して新しい解決策を提供します。
Google Mapやモバイル決済が当たり前になった昨今において、スマホは老若男女問わず生活から切り離すことのできない必需品となりました。また、テレワークなどが浸透する中で、ホテルや喫茶店でパソコンを開く人も増えています。そんな社会変化に合わせて、外出先で充電切れになってしまった時のために、充電器やモバイルバッテリーを持ち歩く人も少なくありません。
「充電切れにならないスマホがあったらいいのに」、「充電しなくていいパソコンがあったらいいのに」、そんなことを思ったこともあるのではないでしょうか。当社は充電器のシェアリングという新しいサービスによって、そんな夢のようなスマホやパソコンを実現します。
充電切れの心配のない世界の実現に向けた当社の事業と、CEO安場の創業とこれからへの想いについて紹介致します。
バッテリー機器を持ち歩く大学院生活
私は東京大学の大学院生時代、神奈川県横須賀市の相模湾沿いに位置する電力中央研究所という大学外施設を間借りして研究を行っていました。東京から2時間ほど離れた場所で研究を行うこととなった私は、大学の友達と遊ぶこともままならず、研究以外の時間は読書に勤しみ、読み終わった本の要約をブログに残すことで時間を潰していました。電子書籍が普及し始めていた2018年頃、本を読むのはスマホで、パソコンでブログの記事を書くという作業でした。その作業は場所を選ぶこともなく、喫茶店や海辺など、気の向くままにいろんな所で作業を行っていました。
しかしそこで困ったのが充電切れの問題です。スマホで音楽をかけながら、移動のためにGoogle Mapを使い、読書のためにもスマホを開きます。ネット環境確保のためにモバイルWiFiを携帯し、ブログ記事を書くためにはパソコンも必要になります。そんなこんなで4つも5つも電子機器を持ち歩く生活の中で、充電切れを防がないといけません。
外出先で充電切れとなってしまわないように、充電器、充電ケーブル、モバイルバッテリーなどを持ち歩いていましたが、電子機器に加えてこれらの機器を持ち歩くのは重く、かさばります。持って行ったとしても、充電器を置き忘れてしまうこともあれば、モバイルバッテリーを充電し忘れていたということもしばしばで、不便と言わざるを得ない日々を過ごしていました。どうすればもっと便利な生活を実現できるのだろうかと頭を悩ませていました。
横須賀から相模湾越しに見た富士山
会社でも起こった充電問題。そこへの改善対応が起業のヒントに。
大学院を修了後、私は2020年にコロナと共に横浜の企業に入社することとなりました。新入社員研修は全てオンライン、入社後初めて出社したのは6月になってからという異例の形で社会人生活をスタートしました。
コロナの環境下で新しい働き方が推進されていた会社では、フリーアドレスが採用されました。自分の席という決まった座席は存在せず、毎日好きな座席で仕事をする、時には在宅ワークということもある、そんな新しい働き方が導入されたのです。毎日座席は次の人のためにきれいに整理して終業しなければいけません。パソコンや充電器も同様で、今までは自分の座席に備え付けにしていたものが、毎日カバンに戻して持ち帰らないといけなくなりました。
そんな変化の中で、「毎朝、席について充電器の準備をする時間が無駄だ」、「自宅に充電器を忘れてしまって、会社で充電ができない」など、社員からは様々な不満が生じるようになりました。そのような不満に対して、会社は全ての座席に充電器を備え付け、社員全員でシェアするという対策を取りました。これまで社員一人一人に紐づけていた管理していた充電器を、座席に紐づけて管理するように変更し、全ての社員が使えるような仕組みにしたのです。すると、充電器の準備をしなくても席につけばすぐに充電を行うことができますし、充電器を忘れてしまうということもありません。社員の不満は解消され、より働きやすい環境が実現されました。
充電器のシェアリングサービスを世界へ。「830合同会社」の挑戦が始まる。
会社の変化を一社員として目の当たりにした私は、この仕組みを世界規模で展開できないだろうかと考えました。それが充電器のシェアリングサービス「Sharing Chargers」です。どうして個人で充電器を所有し、持ち歩く必要があるのか。多くの人が同じように困っているのであれば、社会の至る所に充電器を設置し、みんなでシェアすることによって、より便利な充電環境を整備することはできないのだろうか。一つの会社の中で起こった小さな変化を、世界規模で大きく展開することで、より便利な社会を実現できないだろうか。そんな想いで2021年11月に830合同会社を創業し、Sharing Chargersを実現するために、一歩ずつ歩みを進めています。
Sharing Chargersのビジネスモデル
クラウドファンディングへの挑戦と失敗を糧に。
2022年にはワイヤレス充電器をテーブルに埋め込んだ「チャーブル」という商品を開発し、クラウドファンディングを行いました。Sharing Chargersを実現する上で、どのような形態であれば違和感なくサービスを社会に溶け込ませていけるかを考えた時に、社会の至る所に置かれているテーブルにワイヤレス充電器を埋め込んでしまえば、テーブルの上にスマホやパソコンを置くだけで充電ができて便利ではないだろうかと考えました。
そういった考えの下に実施した2022年10月のチャーブル販売のクラウドファンディングは失敗に終わってしまいました。しかし、クラウドファンディングを通して様々な方々と意見交換を行い、Sharing Chargersを展開していくに当たって大きな問題があることが分かりました。それは充電器の性能の問題です。
チャーブルの開発では、テーブルにQi規格のワイヤレス充電器を埋め込む設計としておりました。しかしながら、Qi規格は急速充電に対応しておらず、スマホであっても充電に非常に長い時間がかかってしまいますし、充電効率も悪く、効率が悪い分は熱ロスとして放出されてしまうため、スマホが熱くなるという問題がありました。パソコンに至っては充電できません。そういった課題に直面する中で、当社はまずSharing Chargersに適したワイヤレス充電器の開発を手掛けることにしました。
チャーブルを扱ったクラウドファンディング
チャーブルイメージ
Contact Chargeの開発:ワイヤレス充電技術の徹底的な調査から見つけた最適解。
ワイヤレス充電技術としては、Qi規格に代表される電磁誘導方式以外にも、磁界共鳴型の電磁誘導方式(deskHackなど)、電解結合方式(富士ウェーブなど)、電磁波方式(Wi Chargeなど)など、様々な技術が開発されていますが、いずれも一長一短がありSharing Chargersに適した充電技術とは言えませんでした。その中で私たちが注目したのがコンタクト充電技術です。
他のワイヤレス充電技術とは異なり、電磁波を利用しない充電技術で、充電器の上に電子機器を置く(接触させる)だけで、ケーブルを繋いだ時と同じような物理的な電気回路を作り、有線充電と同レベルに高品質な充電を実現します。その一方で、ケーブルを挿したりといった余計な操作は必要なく、Qi規格と同様に充電器の上に電子機器を置くだけで充電ができる、有線充電とワイヤレス充電の強みを合わせ持った充電技術です。
コンタクト充電は96%以上の高効率の充電を実現できることに加え、100Wを超える急速充電にも対応しており、パソコンの充電、複数機器の同時充電も可能です。データ通信にも対応しており、オフィス向けには充電器の上にパソコンを置くだけで充電に加えてモニター接続などが可能となる仕様についても開発を進めています。当社ではこの充電技術を「Contact Charge」と名付け、現在は需要の開拓、需要に適したデザインの最終化を行っています。
Contact Charge
Contact Chargeの発売と今後の明確なビジョンで理想の未来を実現する。
2023年に台湾の工場なども含めて海外パートナーと、日本市場への販売開始に向けた調整を完了しました。2024年より製造を開始できるよう、現在国内での需要開拓を進めています。2023年度中には先行的に100台のContact Chargeの販売を目指します。2024年度には年間1,000台以上の販売を目標に事業を拡大していきます。
Contact Charge 先行予約チラシ
一方で、当社が想い描く未来は、充電切れの心配のない世界の実現です。Contact Chargeの開発はその第一歩です。2024年度にContact Chargeの販売を進め、当技術及び当社の認知拡大を行った上で、2025年度にはSharing Chargersの事業開発を加速させていく計画です。2026年度には国内でのサービスリリース、2028年度には世界展開を目指して事業を推進していきます。
当社の事業計画
充電インフラ事業にかける想い
充電器のシェアリングサービスを通して、社会に全く新しい充電インフラを構築するという当社の事業は壮大で、奇抜なアイデアに感じられるかもしれません。しかし一度世界に目を向けると、充電切れの課題に向けて同様の取り組みが進められていることが分かります。社会の至る所に、充電を行いたいと考えるユーザーはたくさん存在しています。そういったユーザーに対して、世界でも置くだけで簡単に充電できる充電環境の整備が進められています。
海外における公共施設へのワイヤレス充電器の導入事例
海外の後追いではなく、フロントランナーとして、最先端技術の導入を進め、より快適な都市空間を築き上げていきたい。どこでも誰でも置くだけで簡単に充電ができる充電環境を整備することができれば、レストラン、喫茶店、オフィス、ホテルなど、様々な所でテーブルの上にスマホやパソコンを置いているだけで自然に充電が行われます。それによって、わざわざ意識的に充電ケーブルを挿して充電を行う必要がなくなります。このサービスを通して、充電切れにならないスマホ、充電しなくていいパソコンを実現していきます。そして、Sharing Chargersの世界展開を進め、世界規模の充電インフラ事業を通して、サービスを掛け合わせた新しい日本のモノづくり(充電不要な電子機器)を世界へお届けします。
世界は急速なスピードで進化していきます。世界のフロントランナーとしてサービスを展開していくチャンスは今しかありません。当社はスタートアップの一つとして、様々なパートナーと協業しながら事業を加速していきます。Contact Charge、Sharing Chargersの導入にご協力頂ける皆さま、共に事業を推進して頂ける皆さま、ぜひご気軽にお声かけ頂ければ幸甚の極みです。
関連リンク
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ホームページ
チャーブルクラウドファンディング
https://camp-fire.jp/projects/view/602589
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