2023年6月に正式リリースした「佐賀市公式スーパーアプリ」は、スマートフォンを通じて市民、企業、地域、行政をつなぐプラットフォームです。ごみ収集日のプッシュ通知、図書館利用カードのデジタル化、電子申請や防災情報提供など、生活を便利で快適にする機能を厳選して搭載しています。
このアプリの特徴は、何といっても「みんなで創ること」。行政だけでなく、市民・企業・地域みんなでアプリを育て、みんなで関わって地域社会を豊かにするプラットフォームを目指しています。
地域マップや掲示板を活用した地域情報共有などの双方向コミュニケーション機能やデジタル市民証(佐賀市ID)を活用した新たな市民サービス創出等を計画しており、ますます暮らしに役立つアプリへと進化します。
本ストーリーでは、佐賀市公式スーパーアプリが“爆誕”した経緯と描く未来についてお伝えします。
「デジタル化で本当に便利になってる?」この疑問から「みんながつながるデジタルタッチポイント」としてのアプリ開発を開始
1990年代後半からインターネットが普及し、社会のあらゆる場所でデジタル化が進んでいます。行政においても業務効率化や住民サービスにおいてデジタル化に取り組んでいますが、デジタル化することそのものが目的になってしまうこともあり、その恩恵が見えにくい状況になっています。「デジタル化で行政サービスは本当に便利になっているのか?」この疑問からデジタルの力を最大限に活用する必要性を感じました。
現在、スマートフォンの世帯保有率は約9割。年代やライフスタイルによって興味関心はそれぞれ違いますが、多くの人がスマートフォンを保有しており、スマートフォンには市民みんなをつなぐ可能性が秘められています。ここに着目して、佐賀市民向けスマートフォンアプリを開発し、デジタルによる集いの場=みんながつながる「デジタルタッチポイント」を創ろうと動き出しました。
佐賀市スマートシティ宣言と市民サービスDXの具現化
佐賀市は、2022年3月に佐賀市DX推進方針を策定し、同年7月には、スマートシティ宣言を行いました。「スマート・ローカル!SAGACITY」をスローガンに佐賀市版DXを推進しています。
重点分野の1つ「市民サービスDX」を具現化する取り組みとして、佐賀市公式スーパーアプリを構築しました。
市民に寄り添い、便利で快適な行政サービスを届けたい。テレビのリモコンのようなアプリがあったら
“スーパーアプリ”とは、一つのアプリだけで、生活に必要ないろいろな機能がまとめて手に入るアプリのことを言います。テレビのリモコンは、一つのリモコンで、あらゆるチャンネルが見られます。それと同じで、一つのアプリで、市が提供する色々なサービスがワンストップで手に入るというものです。
これまではスマホから一つのサービスを受けるには、一つずつアプリを入れて、別々に会員登録をしなければなりませんでした。これは例えて言えば、10個のテレビ番組を見るのに、10個のリモコンを用意して、それぞれに初期設定して使いこなせと言われているようなものです。
この不便さを一気に解決し、市民に便利で快適な行政サービスを届けたい。この思いを込め、市民生活を便利にするさまざまな機能を、一つのアプリにぎゅっとまとめた佐賀市版アプリを開発することにしました。
縦割り組織に“横串”を通す。部門間調整が最大の難関だった
行政機関は、業務の役割分担を部署ごとに明確にしています。責任の所在が明らかになるだけでなく、専門性の高い行政サービスを提供できるメリットがあります。一方、異なる業務を行う部署間で連携し、施策や業務を効率的に行うためには強力なガバナンスが求められるという運営の難しさも同時に持ち合わせています。
スーパーアプリ構築の大きなハードルはこの部署間調整でした。様々なカテゴリの機能を持つスーパーアプリを一つの部署だけで創ることは極めて困難であり、共に創る仲間が必要でした。そこで、必要な機能や情報を整理し、担当部署との協議を何度も粘り強く行い、分野を跨いだ連携に奔走しました。
また、スーパーアプリの仕様決定、業者選定、契約締結を含め、庁内全体で一致団結して立ち止まることなく「佐賀市公式スーパーアプリは日本一の自治体アプリだ」と誇れる未来を目標に突き進みました。
若手市長の直下に、若手職員ワーキンググループが発足
佐賀市長は全国の県庁所在地の首長で3番目に若く、新しい取り組みについても積極的にチャレンジする気風が組織にも浸透しています。その中で、市長をトップとした「佐賀市DX推進本部会議」を設置し、その下に部局を横断して集まった若手職員によるワーキンググループを結成しました。
若手職員のデジタルネイティブ世代ならではの柔軟な発想を取り入れながら、「日本一便利なまち」を目指してDXを強力に推進しています。
写真:坂井市長(中央)と若手ワーキンググループのメンバー
スーパーアプリ開発に向けて、「スーパーなアプリとはどんなものか?」「市民のニーズは何か?」若手ワーキンググループでの協議を始め、庁内各部署への聞き取りを繰り返し行いました。
一大プロジェクトのパートナーが地元のIT企業に決まる
スーパーアプリ構築を委託する業者の選定はプロポーザル方式で行い、地元のIT企業である株式会社オプティムに決定しました。同社は、社長である菅谷俊二氏が佐賀大学在学中に起業した会社で、「愛する佐賀市のために」と名乗りをあげてくれました。
同社は、AI・ドローン・ビッグデータ活用や医療・農業・建設など多岐に渡る分野でDX事業を全国展開しており、技術力と豊富な経験が業者選定の決め手となり、佐賀市版DXを推進する本市にとって最適なパートナーとなりました。
アプリリリースまでの短い期間の中、アジャイルな手法で開発項目一つひとつに対応し、密に協議を重ね、短期間での開発を進めました。
β版のリリース開始
2022年度は、UI・UXを含めたアプリ基盤や管理システムの構築を行い、下記機能(ミニアプリ)を実装しました。
◎ ごみカレンダー
◎ 施設予約
◎ 電子申請
◎ 地域の天気
◎ 図書館(貸出状況・予約)
◎ 子育て、コロナ等(HPリンク)
◎ 図書館カードのデジタル化
◎ 窓口待ち人数表示
◎ 防災・防犯情報プッシュ通知
◎ 佐賀市公式SNS など
まずはβ版として2023年4月に一般公開し、市民のみなさまのご意見を伺いながら完成度を高めることとしました。
「デジ田交付金タイプ2」に九州で唯一採択
佐賀市は、「全国のモデルとなる取組み」として国の2022年度第2次補正予算分デジタル田園都市国家構想交付金のタイプ2に九州で唯一採択されました。評価されたポイントは、佐賀市公式スーパーアプリのコンセプト「みんなで創る」こと。市民・企業・地域のみんなが参加でき、地域社会が持続可能になる仕組みがあることでした。アプリ開発が佳境を迎える中、交付金申請に向けて関係者全員で協力したため、採択決定を受けた時は感極まりました。
スーパーアプリ本格リリース!
2023年6月11日、「お知らせ通知」「ホーム画面のカスタマイズ」機能を追加実装しスーパーアプリを本格リリースしました。プレミアム付き地域振興券とコラボもあり、華々しくアプリを本格リリースすることができました。
佐賀市公式スーパーアプリには「ご意見フォーム」があり、市民ニーズをキャッチできるようにしています。実は、お知らせ通知機能とホーム画面カスタマイズ機能は、β版をご利用した市民から寄せられたご意見を参考に開発しました。
1か月で2万ダウンロード超え。ポジティブな反響続々!
なんと、アプリ本格リリースから1か月足らずの時点で2万ダウンロードを超えました。同規模の自治体で、1万ダウンロードに1年近くかかっていた例もありますので、この伸びは驚異的です。
また、8月のサッカー日本代表の森保監督と「スポーツの力でまちを元気に!」というトークイベントに先立ち、新機能「イベントに参加しよう」で参加を募集したところ、あっという間に600名以上の応募がありました。
市民のみなさまから「ご意見フォーム」を通じて多数の感想をいただき、「市民生活に便利で快適な行政サービスを創りたい」を合言葉に邁進してきた成果を市民のみなさまからの言葉で評価いただいたことは、担当者の大きな励みとなりました。
※以下は「ご意見フォーム」に寄せられた実際のご意見
動きます、佐賀市。
予想以上のダウンロード数、利用者からの数々のうれしい感想が寄せられていますが、佐賀市公式スーパーアプリはスタートしたばかりです。今後もますますスーパーアプリをパワーアップさせます。直近では、次の機能を実装予定です。
◎とぴっくタウン(令和5年9月)
◎子育てナビ(令和5年10月)
◎デジタル市民証[佐賀市ID](令和5年10月)
◎学校出欠連絡(令和6年3月)
「とぴっくタウン」は、市民参加型・協働型の地域情報サイト「つながるさがし」と連動し、利用者が欲しい地域のお知らせやイベント情報をプッシュ通知でお届けします。また、校区ごとに地域マップと掲示板機能を搭載し、地域住民の双方向コミュニケーションを促進します。
「子育てナビ」は、子育てに役立つミニアプリです。予防接種や子育て施設など、佐賀市が蓄積したオープンデータを活用して子育て中の方にぴったりな情報をお知らせします。
「デジタル市民証」は、マイナンバーカードを活用して佐賀市民であることが確認できた方に発行される佐賀市IDです。避難所へのスムースな入所管理機能、限定イベント参加機能を提供予定です。
全国初!地域・企業が参画できる自治体アプリ
先述した「とぴっくタウン」と「子育てナビ」の2つは、市民共創をテーマに活動する団体が提供するサービスです。佐賀市公式スーパーアプリは、地域団体や企業が参画できる全国初のプラットフォームです。
この発想を成し得たのも、佐賀市がDXに取り組み始めた初期から、シビックテック(市民CivicとテクノロジーTechnologyを掛け合わせたもの)のプロフェッショナルである一般社団法人コード・フォー・ジャパンに佐賀市DXサポートチーム(アドバイザー)として加わっていただいたからこそです。
今後は、スーパーアプリ内のミニアプリ間でデータ連携を促進させ、本人確認手段とデータの利活用という付加価値をつけ、企業の参画を促進させていきます。
地域の絆を形に。みんなが主役のプラットフォームに
佐賀市の良さは「地域の絆」です。佐賀の人は優しく、温もりがあります。毎年、9万人が河川清掃に参加しており、佐賀県は消防団の組織率が20年連続で日本一です。一方、若い世代にはこの佐賀の良さが引き継がれづらくなっている課題があります。だからこそ、デジタルネイティブ世代に対し、便利なデジタル機能によって地域参加の後押しをしていければと考えています。
例えば、コミュニティ活動にポイントを付与することで「善意」の行動を促し、そのポイントで地産地消の消費が生まれて、「ありがとう」の連鎖が起きるなどです。
佐賀市公式スーパーアプリの誕生で、佐賀市が日本一便利なまちになるだけでなく、次世代につなぐ「ありがとう」の連鎖で、「日本一の幸せ」を実現していきたいです。
そしてこの佐賀市公式スーパーアプリ構想を全国に展開し、スーパーアプリのプラットフォームをシェアすることで距離を超えた仲間を増やし、デジタルを最大限に活用して、市民、企業、地域、行政をスマホでつなぐことで地域社会を豊かにする取組みの輪を広げていけるよう今後ともアプリに磨きをかけてまいります。
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