家計簿サービスの運営を行うMoneySmartがリリースしたのは、中高生のための見守りアプリ「omamori(おまもり)」。案の定、児童向けとは、まったく違った視点で作られている。これが一体どのようにして、思春期の少年少女の役に立つのか?同社代表取締役兼UI/UXデザイナーの大宮 聡之(おおみや さとし)氏に、話を聞いた。
・中高生の居場所とお金の使い方を可視化
Q1:まずは、「omamori」開発のきっかけからお聞かせください。
研究開発として、電子マネー(ICカード)の残高を、リアルタイムで見える化するデバイスを作っていたところ、ハッカソンで賞をもらい、デバイスを使ってできるサービスを練ることになりました。
(そこから)自分自身が問題に感じていた、息子の交通系ICカード利用の管理と見守りに使えるのではないかと思い、開発が始まりました。デバイスとスマホはBLEで通信していますが、その連携の精度を上げるのに苦労しました。
Q2:「omamori」とは、どんなサービスなのでしょうか。
「omamori 」は、中高生の居場所とお金を見守る、家族向けの見守りサービスです。交通系ICカードの利用トラッキングデバイス「om2 wallet」(特許出願中)と、スマホアプリ(親向け・子ども向けの2つ)によって、子どもの居場所とお金利用の見守りを実現します。
特長は、居場所の見守りとおこづかい帳の記録を、自動で実行するところです。他にも、シミュレーターや自動アドバイスによって、親子のマネー教育をサポート したり、親子SNSでコミュニケーションを円滑に行うこともできるようになっています。
・行動範囲がぐんと広がる思春期世代のためのサービス
Q3:ターゲットを児童ではなく、あえて中高生にしたのはなぜですか?
まず、小学生の場合、素直に見守りケータイを持ってくれますが、中高生はそうはいかないこと、おこづかい(ICカード内のチャージを含む)を本格的に自分で管理するようになるのは、中学生以上だからです。加えて、行動範囲が拡大し、部活の遠征や繁華街(ゲームセンターなどを含む)に行くようになるのも、この年齢です。
これらの問題に対する解決策が、未だに原始的で効率が悪く、体験として洗練されていなかったため、彼らのためのサービスを作ることにしました。
Q4:これから「omamori」を、どんなサービスに育てていきたいとお考えですか?未来の展望をお聞かせください。
うちの息子は現在小学校5年生で、これから「omamori」の対象ユーザー層(中高生)に突入します。自分自身の状況と重ねながら、中高生の親御さんが使いたいサービスにしていきたいですね。
一方見守りは、子どもにとって窮屈なサービスになってしまう側面もあるので、子どもたちが利用してうれしくなるような仕組みも、考えていくつもりです。
アプリのマネー教育機能では、子育てや受験にかかる費用もシミュレートもしてくれるという。子どものみならず親側にとっても、利用する価値は十分ありそうだ。(取材・文 乾 雅美)
omamori ~居場所とお金を見守る、見まもりの新しいスタイル~