しかし、開発側からすれば、これこそ一番頭を悩ませているところ。作業過程が煩雑になりがちなため、大切なことを見落とす可能性もないとは言えない。
「Balto(バルト)」は、そうした課題を解決するために生まれたもの。アプリ開発におけるフィードバックを、従来からは想像もつかないほど、簡潔化する支援ツールだ。チーム内のコミュニケーション円滑化と、アプリの改善サイクル高速化にも、大いに貢献してくれそうだ。
提供元は、2011年創業のグッドパッチ。デザイナーのカワマタ さとし氏が、取材に応じてくれた。
・自社アプリ開発過程での課題解決のために生まれたツール
Q1:まずは、「Balto」開発のきっかけから、お聞かせください。
グッドパッチで開発しているアプリへの、フィードバック作業の面倒を解決するために、社内ツールとして開発されたのがきっかけです。
アプリを開発している際に気付いた不具合や、デザインのズレに対してフィードバックをしたくても、都度キャプチャを撮ってパソコンに送ったり、コメントを書いてスプレットシートに添付するなど、フィードバックの一連の動作が煩雑だったことが、(開発の)主な理由です。
Q2:「Balto」を利用することで、エンジニアたちには、どのようなメリットがもたらされるのでしょうか?
開発メンバーから、多くのフィードバックを集めることができます。エンジニアだけでは気付けなかった体験上の課題や、アイデアをフィードバックとして、「Balto」にためることが可能です。
さらに、フィードバックをためる箇所が「Balto」に集約されるため、スプレッドシートやSlackなどから探す手間が省け、エンジニアはプロダクトを磨くための作業に、集中することができます。
・利便性を向上させる数々の機能を実装予定
Q3:開発に当たって最も苦労したのは、どんなところでしょうか。
チームで使うことを想定しているため、権限が複数あったりと、仕様が複雑になりがちだったので、矛盾が起きないように、整合性を取るところで苦労しました。
クロスプラットフォーム(ウェブ、iOS、Android)を、同時にリリースする経験があまりなかったため、同じような世界観、挙動、体験を作り上げるのも大変でした。「Balto」のポジティブなフィードバック体験が実現できるように、チームで注意深く取り組みました。
Q4:リリースされたばかりではありますが、サービスの今後の展開について、決まっていることがありましたら教えてください。
開発者の皆さまにとってさらに便利に、ポジティブにプロダクト開発してもらえるサービスにしていきたい、と考えています。
直近の予定としては、GitHub連携や過去バージョンのアプリインストール機能、SDKなしでの配布機能などを考えています。また、海外を含め、たくさんの方々に使っていただくために、クレジットカード決済機能の開発も予定しています。(今後は)「Balto」を利用する方からフィードバックをいただきながら、柔軟に成長させていくつもりです。
これまで、サービスのユーザーインターフェースデザインに特化して活動してきたという同社。この「Balto」にも、彼らならではの経験と知識が生かされている。ツールは、14日間無料でトライアル可能。開発作業でお悩みなら、一度試してみてはいかがだろうか。(取材・文 乾 雅美)
フィードバックツール Balto