「今年こそは禁煙しよう」と思っても、手持ち無沙汰のときやイライラしたとき、ついタバコに手が伸びてしまう。禁煙を試みたことのある人は思い当たる節があるだろう。
「ストレスを感じずにタバコをやめられないか…」そう考えている人に有力な選択肢となりそうな禁煙パッチの試験が米国とオーストラリアで進められている。
・厚さ13ミリのウェアラブルタイプ
米国カルフォルニア拠点のスタートアップChrono Therapeuticsが開発したパッチは、ウェアラブルタイプで、2つのパーツから構成される。
1つは、ニコチンが入ったカートリッジ。もう1つはBluetoothチップやモーター、バッテリーを内蔵するコントローラー。厚みは13ミリで、現在開発中の第二世代では8ミリに抑える見込みだ。
・衝動が高まる前にニコチン注入
パッチは約10週間かけてニコチン依存を無くすのが目的。1日3回、ニコチンが皮膚から注入されるが、「タバコを吸いたい」という衝動が強くなる前に注入される。
1回目の注入は起床前。これは喫煙者の75%が起床して30分以内にタバコを吸うというデータに基づいている。
それから、「昼食後に一服」という衝動対策として、ランチ時間帯の前に2回目の注入。3回目はお酒などを飲む時間帯の前となる。
21ミリグラムから始まるニコチン量は最終的には7ミリグラムにまで減らされる。
・喫煙衝動の回数も記録
ただ、定期的なニコチン注入だけで喫煙衝動をコントロールするのは正直難しい。そこでChrono Therapeuticsのアプリでは衝動にかられたときの対策を紹介している。
また吸いたくなった時、パッチについているボタンを押すことで、どの時間帯に衝動が高まるのかをアプリに記録し、分析できるようになっている。
加えて、プログラムを開始して何日目なのか、衝動にかられる回数の変遷なども表示して、モチベーションの維持をサポートする。
禁煙パッチそのものは珍しくないが、科学的にニコチン摂取をコントロールし、かつ手元にあるスマホでメンタル部分も管理するというこの手法、試してみたいという声が世界中から聞こえてきそうだ。