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ヤマハが開発する次世代ライブビューイング「Distance Viewing」は音楽ライブ業界をどう変えるのか

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ヤマハが開発をすすめる次世代ライブビューイング、「Distance Viewing」。実際のライブパフォーマンスを忠実に記録し、それをステージ上でバーチャル再現するというものだ。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、影響を受けている音楽ライブ業界の再活性化を目的に開発されたという。

そんな「Distance Viewing」の第1弾となるバーチャルライブが今月19日、ライブ&カフェ・スペース「Veats Shibuya」にて開催された。音楽ユニット「ORESAMA(オレサマ)」が前日に行ったライブパフォーマンスを再現したバーチャルライブイベントだ。

音楽ライブの真空パック

柘植秀幸氏

メディア向けに開催された体験会では、「Distance Viewing」の企画・開発を担当したヤマハ デザイン研究所の柘植秀幸氏から開発背景やシステム詳細の説明があった。

開発の背景には同氏の音楽ライブに対する熱い思いがある。あるアーティストの解散ライブを見たことをきっかけにして結果的にヤマハに入社するまでになったという同氏は、人生観をも変えられる音楽ライブの文化を絶やすまいと、「Distance Viewing」のプロジェクトを始動。5月に着手してから急ピッチで開発を進めてきたという。

ポイントは、できるだけ多くの人に音楽ライブの臨場感を楽しんでもらうこと。

実際のライブで使われたライブの音響や照明、そして映像を別々に記録し(同氏はこれを「ライブの真空パック」と表現)、それをライブハウスに設置された大型スクリーンに映し出す。等身大の映像とライブさながらの照明演出によって、通常のオンライン配信にはない迫力を生み出すという。

また、これまでの音楽ライブの実施方法とは異なり、映画館のように記録したものを何度も利用することで、1度のビューイングでの参加人数を抑えながら何度も繰り返し行うことができる。

「Distance Viewing」のこれから

では実際のDistance Viewingに様子はというと……。今回メディア向け体験会で上映(便宜上このように表現するが、上記の通り実際はただの「上映」ではない)されたのは、『OPEN THE WORLDS』と『cute cute』の2曲。

ステージ上に設置された大きなスクリーンには等身大サイズのアーティストが映し出され、ライブハウスの音響機器や照明によってリアルのライブさながらの臨場感を味わうことができる。本当のライブには劣るものの、やはりスマートフォンで動画を見ているだけでは感じられない興奮があった。

メディア体験会では、会場となったライブハウス「Veats Shibuya」の店長である川上氏も登壇。同氏曰く、ライブハウスの現状は非常に厳しく、来場者の数はコロナ前に比べて1/3以下まで減っているとのこと。音楽の始まりの場所であり、終わりの場所でもあるライブハウスという場所を絶やさないために、今後もこのような取り組みに協力していきたいと話した。

アーティストのパフォーマンスをより多くのファンに届け、ライブハウスの新たな動員源を創出するーー。そんな新しい取り組みである「Distance Viewing」にはこれからも注目したい。

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