交通機関における遅延や渋滞、店舗での行列など、生活の中で生じる消極的な待ち時間をためることで、自分の好きな時間に有効活用できる画期的なサービス。「苦しい時」を「楽しい時」に変換するという、逆転の発想が実にユニークだ。
開発にあたったのは、9月に発足したばかりのスタートアップ企業、H2H。「目から鱗」の本アプリは、どのようにして生まれたのだろうか。代表取締役、木村 雄幸氏(きむら たけゆき)に、お話を伺った。
BLE技術を身近な生活に活用した稀有なサービス
Q1、「TIME Wallet」開発のきっかけと経緯について、教えてください。
話は、十数年前に勤務していたポイントサービスに関する企画運営会社の経営者と昨年秋、久しぶりに再会したところまでさかのぼります。(中略)
一緒に食事をしているとき、その方が「ポイントだけで、人生を過ごすことはできないかなあ?」と言ったのです。
(中略)確かに、ポイントはお金と似ていて、疑似通貨としての側面も持っている。もしかしたら、本当にポイントで過ごせる時代が来るかもしれないな、と私もぼんやりと思いました。
その言葉が頭に残ったまま時は流れ、翌年の春。O2O(Online to Offline)の世界で、ビーコンが熱いという話を耳にし、リサーチしたところ、何社かが店頭にビーコンを設置して「来店ポイント」を付与するサービスを行っていることを知ったのです。
そのとき、「来店ポイント」は顧客の購買とは直接的には関係がなく、来店のきっかけにはなるが、それ以上でもそれ以下でもないな、と感じました。
来店、買う人、買わない人、すぐ帰る人、長くいる人。巡り巡って考えるうち、「滞在時間」をポイントにしてためられたら面白いなと思いつき、「TIME Wallet」の開発を決意したのです。
Q2、「TIME Wallet」とは、どんなアプリなのでしょうか?
その名のとおり、「時間の財布」として時間をためたり、使ったりできるスマートフォンアプリです。
(中略)どこかで過ごした時間をポイントとしてため、ためたポイントをアプリの中で提供する「タイムクーポン」という、各種サービス利用のためのクーポンに交換できるシステムです。
(中略)「タイムクーポン」は、動画を見たり、自宅でのちょっとしたお手伝いの時間に使えるようになっております。
現在は実証実験段階ですが、今後は正式リリースに向けて、更に「タイムクーポン」の拡充をしていくつもりです。例えば、英会話のレッスン、スーパー銭湯での利用、カラオケ店や飲食店の食べ放題・飲み放題の延長券など、そういったことも視野に入れております。
このアプリの真骨頂は、時間をためる仕組みにあります。(中略)Bluetoothの電波を発するBeaconを店舗等に設置し、ユーザーのスマートフォンが電波を検知した時間からロストした時間を計測することで、各場所での滞在時間を算出します。
数あるBeaconのサービスで、このような活用方法は、全国的にも世界的にも珍しいと、自負しております。
消極的な時間をためて楽しい時間に有効利用
Q3、本アプリの魅力は、どんなところにあるのでしょうか?
たまった「消極的な時間」を、「楽しい時間」に還元できる点です。
例えば、調剤薬局で薬をもらうまでの時間、飲食店での待ち時間、車で渋滞に巻き込まれている時間は、ユーザーにとっては、あまりうれしくない時間だと思いますが、マッサージを受ける時間、カラオケをしている時間、映画を鑑賞する時間は、楽しい時間です。
本サービスでは「あまりうれしくない時間」をmin(分)としてため、「楽しい時間」に変換することができます。また、時間を提供する事業者側には、顧客に対するお詫びや感謝の気持ちを個々に示すことができる、という利点があります。(中略)
Q4、これからアプリを使うユーザーへ、メッセージをお願いします!
「TIME Wallet」は、時間をためて使える、本邦初の無料アプリです。サービスを通じて、ユーザーの皆さまの充実した生活をサポートしてまいりますので、是非試してみてください!
TIME Wallet