こう聞くと、最近Amazonが展開を始めたばかりの「Flow」を想像する人もいるだろう。まさしく、同様のサービスだ。もちろん、Amazonの場合、自社で扱っている商品のみを提示するわけだが、SlyceはAmazonが扱っていないものも豊富に取り揃えているのが強みだ。
店で実物を見てからネットで買うという行為は「ショールーミング」といって米国などではちょっとした問題になっているようだが、このショールーミングをより手軽なものにするのが、スマホで撮影した写真やデスクトップ端末でスキャンしたカタログなどの画像を認識する技術だ。このサービスで重要なのは、正確性とスピードだが、Slyceではデータをもとに数秒でほぼ正確な商品を提示する。
この高度な画像認識技術により、撮影もしくはスキャンした商品を照会するとすぐに商品名と値段が表示されるので、「欲しい!」という気持ちをそのまま行動に移せるのが消費者の心理をくすぐるようだ。また、“ついで買い”に誘導することができるのも小売にとってはプラス要素だろう。
小売店がショールーミングで困っている面があるのは事実だろうが、その一方、実在店舗で売れなくてもネットで売れれば販売額は伸びるわけで、新たなマーケティング手法としての活用が期待される。そうした需要をにらみ、Slyceはこのほど調達した資金1075万ドルをもとにさらにパートナーを拡大したい考えだ。
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