~生理指標の活用で、フレーバー評価の背景にあるインドネシア人消費者の感情を明らかに~
株式会社マクロミル(本社:東京都港区、代表執行役社長 グローバルCEO:スコット・アーンスト 以下、当社)と、当社子会社の株式会社センタン(本社:東京都港区 代表取締役社長 田中尊信 以下、センタン社)が共同で提供するニューロリサーチサービスが、Takasago International (Singapore) Pte. Ltd.(高砂香料工業株式会社のASEAN拠点、本社:東京都大田区 代表取締役社長 桝村聡 以下、高砂シンガポール)が開発するインドネシア市場向けフレーバー(※)の、女性消費者を対象としたマーケティングリサーチに活用されたことを発表します。
※飲料、菓子、乳製品、調理加工食品など、数多くの食品をよりおいしく味わうために欠かすことのできない香味や風味を与える食品原料
本サービスは、センタン社が有する学術および技術的知見を活用し、脳波や心拍数、皮膚電位反応などの生理指標から、“考える前に自然に反応してしまう神経活動”の測定を可能にします。アンケートなどの主観調査と組み合わせることで、言葉には表しにくい情動を定量化できることが特長です。
近年、消費者態度や嗜好の多様化が急激に進む中で、より科学的で客観的なデータを取得できるニューロなどの生体情報を、マーケティングに活用する研究が進んでいます。そのような環境下、当社では2017年1月に、ニューロマーケティングのパイオニアであるセンタン社と提携し、脳波を含む生体情報を活用したマーケティングリサーチ事業のグローバル展開を開始しています。
本事例では、高砂シンガポールのフレーバー部門が、インドネシア人女性を対象とするフレーバー好感度調査に活用した、『ニューロ官能調査』を紹介いたします。
同社はこれまで、アンケートによる調査でフレーバーの好感度を評価していました。しかし、フレーバーに対する反応を細やかに表現するボキャブラリーが豊富ではなかったり、国によっては礼儀を重んじて控えめになる傾向があるアジア人にとって、好感度を尋ねる質問や言葉による評価を求める当手法は負荷が高く、好みを正確に特定できない結果につながる可能性がありました。今回、従来のアンケート調査に、脳波などの生理指標を組み合せたマクロミルのニューロ官能調査を導入することで、フレーバーの好みに影響する感情的な反応を把握するとともに、特に好感度の高く出たフレーバーが持つ強みを明らかにしました。
■背景
高砂シンガポールにおいて、従来のアンケート調査単体では、フレーバー評価の背景にある被験者の感情を把握しにくい、ということが特に大きな課題でした。脳波など生理指標の活用により、消費者の嗜好の客観的把握が可能となることから、ニューロ官能調査の実施へとつながりました。
■ニューロ官能調査について
マクロミルのニューロ官能調査は、脳波(注意喚起や気分で変化)、心拍数と皮膚電位反応(興奮やストレスで変化)の生理反応を測定し、消費者が発する好き・嫌いなどの情動を定量評価することが可能です。無意識に生じる生理反応のデータと、アンケートによる主観的な評価との相関関係を分析することで、主観に偏らない、より深い消費者のフレーバーに対する評価を得ることができます。
■調査結果抜粋
アンケート結果(意識的反応)からは、全6種のフレーバー(F1~F6)のうち、F1とF6が高い総合好感度を獲得していることが分かりました(図1)。
図1 <意識的反応> 総合好感度の平均スコア
F2とF4も同様な評価を得てはいるものの、F1とF6は他の評価軸においても全体的に高くスコアが出ていたため、特にこれら2つのフレーバーについて生理指標(無意識的反応)を分析し(図2)、高い好感度の背景にある感情を明らかにするとともに、女性をターゲットにした際のインドネシア市場におけるポテンシャルを評価しました。
その結果、F1は「落ち着き」の指標でのみ他のフレーバーに比べて高い評価を得ている(脳波ー後頭部アルファ波のスコア)一方で、F6は被験者の「覚醒」を刺激し(脳波ー後頭部アルファ波と皮膚電位反応のスコア)、「快さ」を促進していた(脳波ー左側前頭部ベータ波と心拍数のスコア)ことが、それぞれの生理反応から読み取れました。これらの特徴は、F1とF6を高く評価するという、女性被験者の選択に影響した感情を指し示しており、各フレーバーが持つ強みであるとも言えます。また、よりポジティブな感覚を被験者に与えたF6については、より高い市場ポテンシャルを有すると考えられます。
図2 <無意識的反応> 生理指標の測定値
※本調査の被験者はジャカルタに住むインドネシア人女性に限定しており、同地における男性の嗜好やフレーバー好感度の把握および女性から得られた結果との比較・検証については、現段階では実施しておりません。
■事例詳細:
詳細は、下記URLより、事例ページをご参照ください。
【高砂シンガポール ニューロ官能調査活用事例】
URL:https://www.macromill.com/case-stories/takasago-singapore.html
本サービスは、当社が注力するAIやニューロを活用した新事業領域です。今後も、両社が培ってきたノウハウと実績を組み合わせ、生理情報を活用したマーケティングリサーチサービスの開発および、これまで得られなかった、より深い消費者インサイトや意思決定プロセスに迫るマーケティングリサーチ、そして、デジタルマーケティングのソリューションの提供・開発にむけた取り組みをさらに強化してまいります。
以上
■Takasago International (Singapore) Pte. Ltd.(本社:高砂香料工業株式会社)について
高砂香料工業株式会社は、香料業界のリーディングカンパニーとして、東京を本拠地に、世界27の国と地域で事業を展開しています。ソフトドリンク、デザートや菓子類、乳製品や加工食品向けのフレーバー提供や、果汁ジュース、コーヒー紅茶などの食品原料製造も手掛けています。フレグランス部門では、クリエイティビティと性能・安全性を両立し調合した、香水や化粧品、シャンプーや洗剤などの家庭用品向けフレグランスを生み出しています。Takasago International (Singapore) Pte. Ltd.は、ASEAN拠点の中枢としての役割を担っています。
■株式会社センタンについて
センタン社は、マクロミルグループの一員として、脳科学・心理学の知見に基づいたマーケティング・コンサルタントサービスを提供しています。最先端の科学的知見をもって産業分野へ貢献するという、日本では未知の分野への挑戦を始めた創業時より現在まで、100を超えるプロジェクトに携わってきました。商品開発やマーケティングなど、クライアント企業の課題に新しい手法で取り組みます。
■株式会社マクロミルについて
マクロミルは、高品質・スピーディな市場調査を提供する、国内インターネット・マーケティング・リサーチのリーディング・カンパニーです。市場シェアNo.1※の豊富なリサーチ実績とノウハウをもとに、お客様のマーケティング課題解決に向けて最適なソリューションを提供しています。世界15カ国、40以上の拠点を展開しており、世界に誇れる実行力と、時代を変革するテクノロジーを統合し、唯一無二のグローバル・デジタル・リサーチ・カンパニーを目指します。
(※ オンライン・マーケティング・リサーチ市場シェア=マクロミル単体及び電通マクロミルインサイトのオンライン・マーケティングリサーチに係る売上高(2017年12月末時点の12ヶ月換算(LTM)数値÷日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)によって推計された日本のMR業界市場規模・アドホック調査のうちインターネット調査分(2017年度分))(出典:日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)2018年7月31日付第43回経営業務実態調査)
【会社概要】
資 本 金:880百万円(2018年6月末時点)
代 表 者:代表執行役社長 グローバルCEO スコット・アーンスト
本 社:東京都港区港南2-16-1 品川イーストワンタワー 11F
事業内容:マーケティングリサーチ事業
設 立:2000年1月31日
売 上 高:40,024百万円(2018年6月期)
URL :https://www.macromill.com/
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