ブロックチェーン技術を提供するテックビューロ株式会社(本社: 大阪府大阪市、代表取締役:朝山 貴生、以下「テックビューロ」)とオープンソースプロジェクトNEMは本日付で提携し、Mijinの大幅に改良された新型コアエンジンであるコードネーム「Catapult(カタパルト)」を共通で採用することを発表いたしました。
報道関係者各位
ブロックチェーン技術(※1)を提供するテックビューロ株式会社(本社: 大阪府大阪市、代表取締役:朝山 貴生、以下「テックビューロ」)とオープンソースプロジェクトNEMは本日付で提携し、Mijinの大幅に改良された新型コアエンジンであるコードネーム「Catapult(カタパルト)」を共通で採用することを発表いたしました。
提携の詳細
NEMは2014年に発足した、次世代のブロックチェーンプロジェクトです。ネイティブでマルチシグ(複数署名)に対応し、複数のアセットを作成管理できる「Namespace」と「Mosaic」機能を備える一方、それら全てがAPIから容易に扱えるなど、NEMは2年以上にわたり高度で安定したブロックチェーン技術を提供してきました。
そのオープンソースプロジェクトであるパブリック型のブロックチェーンNEMに対して、2015年秋からNEMコア開発者3人がテックビューロの元で開発してきたプライベート型のブロックチェーン技術が「Mijin」です。
「Mijin」は、地理的に分散した環境で秒間4桁のトランザクションを安定して捌くなど、プライベートな利用環境では圧倒的なパフォーマンスを提供します。2016年4月にはDragonfly Fintechの協力により、銀行による第三者実験によってMijinが勘定システムとして適用可能であることが実証され、性能だけでは無くその堅牢さも証明されました。
2016年初頭から密かに開発が進んでいたMijinの新型コアエンジン。テックビューロはそのエンジンの完成と同時に、それをNEMに無償提供することでオープンソースプロジェクトに貢献することを決定いたしました。これによりMijinとNEMのブロックチェー技術をより強化させ、両者の関係をさらに密接とし、双方のリソースを活用しながら相互の発展を加速することを目的として今回の提携と相成りました。
新型共通コア「Catapult」
Mijinの新型コアエンジン「Catapult」は、そのアーキテクチャが根本から見直され、昨年秋から提供されていたバージョンに比較して、以下のような点において大幅な改善が施されています。利用するユーザーからの使用や利便性には全くの変化無しに、よりクリティカルで安全性を要する金融関連のシステム構築にも耐えうる高性能エンジンとして開発されています。
JAVA言語からC++言語への移行によるパフォーマンスの向上
メモリー管理の効率化
柔軟性の向上
スループットの向上
全体的なパフォーマンスの向上
安定性の向上
httpプロトコル通信からソケット通信への低レイヤー移行
ネットワーク通信の効率化
Dragonfly Fintech Pte Ltd.のCEOロン・ウォンは新型コアについて、「従来のバージョンでさえも、銀行による第三者実験により勘定システムへの適用が可能であると実証されたMijinのブロックチェーン技術が、Catapultコアではパフォーマンス、アーキテクチャ、セキュリティ、実装全ての面において圧倒的な向上を見せています。スループット向上を実現しただけではなく、用途に応じたサーバーごとに分割して設計されており、プライベート型であるかパブリック型であるかに関わらず、分散された環境での管理も容易とします。これはDragonflyのサービスにとっても重要なコアとなるでしょう。」とコメントしています。
この新しいアーキテクチャにより、MijinとNEMは暗号通貨業界において最先端のプロジェクトとなります。Catapultの手法はブロックチェーンシステム設計の新しい指標となり、同業界でも前例のない、エンタープライズ用途への布石となります。
この最新技術が今後はmijinだけではなく、nemのオープンソースプロジェクトにも提供されます。
新たなエコシステム形成へ
Mijinが初期のバージョンからNEMとの共通API・仕様を貫いてきた理由は以下の通りです:
既存NEMアプリケーションの活用
開発コミュニティの共有と活性化
パブリック(NEM)とプライベート(Mijin)の両タイプのブロックチェーンを活用したアプリケーション開発の効率化
今後はMijinとNEMがより密接に協業することにより、単にAPI仕様の互換性を保持するだけではなく、企業体であるテックビューロとオープンソースコミュニティであるNEMを矛盾なく融合した、新たなエコシステムの形成を目指します。
NEMのコア開発者であるjaguar0625は、「テックビューロとのパートナーシップは、NEMの開発において重要なマイルストーンを意味します。NEMは2年以上前に始まり、今日までその存続力を証明してきました。テックビューロの投資とサポートにより、NEMはその将来をより明るいものにし、そして最先端のパブリックブロックチェーンプラットフォームへと進化することが可能となります。世界をよりよいものとするために、ブロックチェーン技術への情熱を共有出来るテックビューロというパートナーを得ることができたのは、我々にとっても非常に幸運です。」と述べています。
新たなエコシステムでは、新機能を検討する際にもNEMコミュニティからのフィードバックを得ることによって、さらに開発と実装の効率を上げることが可能となるほか、コンテンツ制作やドキュメンテーション、アプリケーション開発においても2者がリソースを共有し、様々な言語圏でのPRにおいて同じベクトルで活動できることとなります。
Mijinの夏のオープンソース公開に向けて
テックビューロでは、2016年夏にMijinのオープンソース化と、世界に向けてデュアルライセンシングによるディストリビューションを開始いたします。MijinとNEMにおける新型コアCatapult採用の正式な日時は追って別途発表する予定です。
既にテックビューロはシリーズAとして2016年5月に7.2億円の資金調達を実施しており、世界におけるMijinの展開と、暗号通貨取引所Zaifのサービス拡大に尽力して参ります。
テックビューロの代表である朝山貴生は、「これは、一事業体とオープンソースコミュニティを、衝突や矛盾させることなく一つのビジョンの元に融合させ、双方の既存文化を浸食することなく、プロダクト開発を今までに無い効率で行おうという前例のない大きなチャレンジとなります。しかしそれが一旦回転し始めれば、その舵取りが困難であるとしても、我々が予想もしないポジティブな効果をもたらすに違いありません。そしてその結果生まれる今後のMijinとNEMは、新しいエコシステムによる、歴史に残る産物となると考えております。」とコメントしています。
■「テックビューロ株式会社」について( Webサイト http://techbureau.jp/ )
テックビューロ株式会社は、暗号通貨技術とブロックチェーン技術に基づいたソフトウェアとサービスを開発しているクリプト・フィンテック・ラボ(Crypto-Fintech Lab.)です。ビットコインを含む暗合通貨の為替取引プラットフォーム「Zaif」やプライベート・ブロックチェーン基盤ソフトウェア「Mijin」の他、ブロックチェーン技術導入の受託開発やコンサルティングサービスを提供しております。
■「Mijin」について( webサイト http://mijin.io/ )
「Mijin」は、クラウド上や自社データセンター内に、企業内や企業間で利用可能なプライベート・ブロックチェーン環境を構築できるプラットフォームです。既存のデータベースや勘定システムを置き換えて劇的にコストを削減すると同時に、改ざん不可能なセキュリティ環境が構築できる他、実質ゼロダウンタイムを実現します。金融機関から電子マネー、ポイント、オンラインゲーム、ロジスティクスまで、幅広くご利用頂けます。2013年からの開発経験を持つプロジェクト「nem」のチームがテックビューロに合流して開発した、汎用性の高いブロックチェーンプラットフォームです。
【用語解説】
※1: ビットコインによって発明された、P2P方式によるデータ処理の基盤技術です。複数のコンピューターが分散型合意形成を行い、暗号署名しながらブロック単位で複数データを処理するのが特徴です。安価なコンピューターで稼働し、ゼロダウンタイムと、改ざん不可能なセキュリティを実現します。バックアップや冗長化も必要なく、劇的なコスト削減が可能であり、キャパシティを超えても落ちないため、金融機関にも注目されています。
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