~ANAの新プロジェクト「乗ると元気になるヒコーキ」第一弾のアプリ提供を皮切りに、時差ボケ調整プラットフォームの実現を目指す~
テクノロジーで人々の睡眠課題を解決するSleepTech(スリープテック)事業を展開する株式会社ニューロスペース(本社:東京都墨田区、代表取締役:小林 孝徳、以下 ニューロスペース)と、ANAホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:片野坂 真哉、以下ANA)は、時差ボケを伴う海外渡航者向けの時差ボケ調整ソリューションを共同開発し、その第一弾としてANA社員(アスリート社員含む)の協力を得た時差ボケ調整アプリの共同実証を開始します。
【社会的な課題背景】
2017年の一年間に日本を出国した日本人は、累計で1,789万人(※1)と近年増加傾向にあります。訪日外国人旅行者数も、2017年は2,869万人と3年で2倍のペースで増加しており、年間5,000万人に届く海外旅行者が日本を行き来していますが、日本と欧米諸国など、時差が5時間以上離れた場所へ、飛行機などにより短時間で移動する際に、誰もが苦しむのが体内時計と現地時間とのズレ、「時差ボケ」です。不眠、睡眠の質の低下、疲労、日中の覚醒困難、消化不良、便秘や下痢など、時差ボケの間は生活の質(QOL)の低下が避けられず、帰国後も日中のパフォーマンスに影響が出てしまい、それらによる経済損失額がイギリスでは年間300億円(※2)を超えるという試算もあります。しかし、時差ボケ自体、航空機による海外旅行が一般的になったごく最近になって経験され始めた現象であり、総合的な理解も乏しいことから、半ば時差ボケを感じるのは当たり前と、未だその対策は本質的に講じられていないのが現状です。
一方、近年の基礎研究の発展により、体内時計を司る中枢神経ネットワークやリズム調整遺伝子群が解明され、徐々にその調整メカニズムが理解されるようになったのと同時に、時差ボケが単純な体内時計と生活リズムとのズレだけでなく、「睡眠」や「代謝」などと密接な関係があることも明らかとなり、体内時計が様々なインプットを基に体内で複雑に制御されている実態が分かりつつあります。
今回の共同開発・実証を通じて、このような生活者のQOLの面でも、経済的な面でも現代社会の大きな課題となっている時差ボケに対して、最新の基礎科学の知識とIoT技術、そして航空産業の知見を融合するという、常識にとらわれない新たな枠組みで課題解決を行う取り組みとなります。
※1:法務省入国管理局調べ
※2:Jet lag: costing Brits 65m days of holiday a year ( https://www.kayak.co.uk/news/jet-lag-costs-brits/ )
【ANAとの共同開発の背景】
今回の取り組みでは、ニューロスペースとANAの両社で、時差ボケ調整アプリの共同開発および共同実証実験を実施し、両社のそれぞれの強みを生かし、社会的課題である海外渡航時の時差ボケ解決に取り組みます。ANAでは、渡航者が到着地で自分らしさを存分に発揮し、最高のパフォーマンスを出せるような、心身ともに充実した状態で到着してほしい、という考えのもと、渡航前や機内での過ごし方を提案する「ANA Travel Wellness -乗ると元気になるヒコーキ-」プロジェクトを立ち上げ、その第一弾の取り組みとして今回の共同開発の実施を決定しました。
【共同開発・実証の概要】
今回共同開発する時差ボケ調整アプリは、海外渡航者が渡航中や帰国後に悩まされる時差ボケからくる日中の眠気や集中力の低下、時差に伴う就寝時間の変化による寝つきの悪さなどを和らげることを目的としたアプリです。今回開発する時差ボケ調整アルゴリズムを活用し、ユーザーには、出発地と渡航先とどの程度の時差があるのか、時差ボケが渡航中・帰国後のどのタイミングで発生するリスクがあるのか、わかりやすく情報提供されます。また、フライト情報や現地での予定をもとに、時差ボケを調整するために必要な、光の浴び方、食事のとり方、睡眠・仮眠の取り方、体の動かし方など、やると良いこと、やってはいけないことが、出国前、渡航中、帰国後のそれぞれのタイミングにおいて、一人一人に最適化して推奨されます。
■ 時差ボケ調整アプリイメージ
現在開発中の時差ボケ調整アプリで、2018年10月頃を目途にまずは一部のANA社員(アスリート社員含む)を対象に実際の海外出張時の利用をスタートし、機能や効果の実証実験を行います。その後、ユーザーの声とフィードバックを基にしたオープンな開発を進めてまいります。
【今後の展望】
直近は、時差ボケ調整アプリの開発および実証実験を進め、早期にアプリの一般公開を目指します。また、時差ボケ調整アプリでユーザーに提供される助言や推奨の実践がしやすくなるよう、出発前・到着後のラウンジサービスとの連携、機内での食事や光などの最適化、渡航先でのANAグループ・提携先でのサービス連携など、アプリ内に留まらないサービス提供を検討していきます。さらには、今後は外部の連携パートナー企業にも時差ボケ調整プラットフォームを開放し、時差ボケ調整アプリに連動したサービス提供(自宅での快適な睡眠、空港までの移動、空港でのサービス、ホテルでのサービス、ビジネスパーソン向けのサービス等)が可能になるよう、外部とのオープンな連携も目指します。
【ANAホールディングス株式会社 デジタル・デザイン・ラボ 津田チーフディレクターのコメント】
飛行機を利用するお客様は、観光・商談・大会など到着地に何かしらの目的があって、そこでベストパフォーマンスを発揮したいはずですが、その直前に乗る飛行機で疲れてぐったりしてしまうケースも多いので、エアラインとして何とかできないかと考えたのが「乗ると元気になるヒコーキ」プロジェクトの発端です。大学の力も借りて「旅の疲労」について調査研究した結果を踏まえて、最大の原因の一つである「時差ボケ」の解消策を第一弾として取り組むことになりました。
ANAも出資するリアルテックファンドを通じて知り合ったニューロスペース社は、睡眠に関するノウハウや最先端テクノロジーを持つメンバーがそろっており、睡眠改善のソリューション開発・提供についての実績もあるスタートアップです。グローバル化が加速する国際社会の中で、エアラインとして時差ボケ解消に取り組むことは社会的意義も大きく、今後スピード感・一体感を持って進めていくためにも、ニューロスペース社は私たちの最適なパートナーであると確信しています。まずは、時差ボケ解消アプリの共同開発から着手していきますが、それにとどまることない時差ボケ解消あるいは機内での快眠等につながるサービスの共同開発・協業も視野に入れて、提携関係を深化させて行けるよう期待しています。
【ニューロスペースによる時差ボケ問題解決への取り組み】
ニューロスペースは、最先端睡眠テクノロジーをもとに、独自の睡眠計測デバイスと解析アルゴリズムをもとに「睡眠解析プラットフォーム」を構築し、計測された個人毎の睡眠データを、AIを活用した独自の解析技術で個人ごとに睡眠解析結果や最適ソリューション、改善データを提供するシステム基盤を提供しています。
ニューロスペースはこれまで、産業現場における多様な働き方に起因する睡眠課題の解決や生産性の向上のため、睡眠からのアプローチを中心とした「ビジネスパーソン向けの睡眠改善プログラム」を提供し、時差ボケに悩むグローバルなビジネス環境で働く企業・従業員に向けたプログラムも展開し、ソリューションノウハウを蓄積してきました。また、睡眠計測・解析のテクノロジー(SleepTech)とIoTを掛け合わせ、空調や照明等の睡眠環境制御を行う「一般ユーザー向けの睡眠×IoTソリューション」などを手掛けてきました。それらの取り組みで得られた睡眠に関するノウハウや生活改善アプローチ、睡眠計測・解析を軸としIoTを実現するSleepTechをベースに、この度、社会的課題の一つである時差ボケにニューロスペースならではの睡眠アプローチとSleepTechでソリューションの提供を開始します。
【ANAホールディングス株式会社について】
本社:東京都港区東新橋1丁目5番2号 汐留シティセンター
代表者:代表取締役社長 片野坂 真哉
創業:1952年12月27日
URL:https://www.ana.co.jp/group/
事業内容:グループの経営戦略策定、経営管理及びそれに付帯する業務
※「乗ると元気になるヒコーキ」とは
お客様が到着地で自分らしさを存分に発揮し、最高のパフォーマンスを出せるような、心身ともに充実した状態で到着してほしい、という考えのもと、渡航前や機内での過ごし方を提案するさまざまなアイデアの実現に取り組んでいくプロジェクト
【株式会社ニューロスペースについて】
企業向け睡眠改善プログラムを国内大手企業に提供し、企業の健康経営と生産性最大化を支援。
また、最先端睡眠テクノロジーをもとに、独自の睡眠計測デバイスと解析アルゴリズムをもとに、共同研究開発も行う睡眠テクノロジーベンチャーです。
本社:東京都墨田区横川1丁目16−3 横川倉庫 センターオブガレージ
代表者:代表取締役社長 小林孝徳
創業:2013年12月
URL:https://neurospace.jp/
事業内容:睡眠センシング技術および簡易評価アルゴリズムの開発、睡眠ビジネスに関わる研究開発の技術的支援、睡眠改善プログラムによる企業の健康経営の支援、睡眠ソリューション開発支援およびアルゴリズムAPIのライセンス提供
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