国内初となる、一般向けEDR/CDR(事故データ抽出・解析)セミナー。政府が自動運転車への装着義務化を検討しているEDR(イベントデーターレコーダー)のデータ読取装置のクラッシュデータ・リトリーバル(CDR)。そのCDRの国内の第一人者とも言われるCDRジャパン株式会社ブリッジ 代表 藤田隆之氏とCDRのアジアパシフィックの責任者をされているボッシュ株式会社 セクション・マネージャー 里 廉太郎 氏をお迎えし、今話題の先進運転支援システム搭載車に関するエーダスビジネス最前線について大いに語っていただきました。
[動画1: https://www.youtube.com/watch?v=lzJc5Y2UfxQ ]
スピーカー
・CDRジャパン 株式会社ブリッジ 代表取締役 藤田 隆之 様
・ボッシュ株式会社 オートモーティブ事業部 テクニカルサービス&サポート部 セクション・マネージャー 里 廉太郎 様
ナレーター それではCDR セミナーを始めていただきたいと思います。本日の講師を務めますのは CDR ジャパン株式会社ブリッジの藤田隆之氏です。
藤田隆之氏(以下、藤田氏)CDR ジャパン藤田と申します。今日短い時間ですけども皆さんと共に新しい技術、CDRを上手に伝えてまいりたいと思いますのでよろしくお願いします。
ナレーター ボッシュ株式会社より、里廉太郎氏です。
里廉太郎氏(以下、里氏)東京のほうより、今回の講習に参りました。CDRジャパンさんからご依頼を受けましてボッシュの方から参りました。CDRのアジアパシフィックの責任者をしております里と申します。よろしくお願いいたします。
~2018年にも法規化?~
藤田氏 それではですね、CDRとはどういうものかということで簡単にご説明をすると、飛行機が飛んでるときにフライトレコーダーというのをつけていると思うんですけれども、そのフライトレコーダーの自動車版みたいなイメージしていただければイメージが湧きやすいんじゃないかなと思います。
車が走ってるデータをエアバックモジュール(ACM)の中にデータを記録をしている。あるイベントが起きた時にそのデータを吸い出して、 後々解析できるようにする、という仕掛けでございます。
内容はちょっと難しいんですけども基本的にレポートに出てくるものは英語で出てくるいうことで、これから簡単に概要を説明をして行きたいと思います。それではまず映像を見ていただければと思います。よろしくお願いします。
[動画2: https://www.youtube.com/watch?v=2mftxRpTqFc ]
藤田氏 はい、というわけで CDR ですね、今から簡単に国内の動きと米国の動きと含めて説明をして参りたいと思います。このCDR、実は米国生まれの仕組みでございまして、米国では実は17年前からこのデータを基に事故解析をしてるということになっています。
今アメリカでは市警さんと通常事故も含めて、ほぼ100%に近いぐらいの割合でCDRのデータを抽出して事故の解析をしているという実態です。日本はまだまだEDRを搭載してるメーカーが少ないというか・・・。
里氏 少なくはないんですが読み取りをしていないと。
藤田氏 ということが今の状況でございます。こちら参考資料として政府が打出してる大綱の位置づけと今後のスケジュールです。
実は2018年に法案を検討してます。将来的にEDRが米国のように法規化される日がやがてやってくると思います。ちなみに米国では2012年の9月から法規化されてますので、現在米国で発売されている車両につきましては、全てEDRが搭載されているということになります。
~EDR(イベントデータレコーダー)とは?~
CDR/EDRの内容なんですけども、実はこの2018年1月26日、里さんがボッシュとして発表されてる内容なんですけども、順番に簡単に説明をしていきたいと思います。アジェンダとしては、EDR、CDRなどがあります。
まずEDRとは、イベントデータレコーダーというものになります。どういうものかと申しますと、事故が発生した時ポストクラッシュとありますが、ここを0として考えた時にマイナス5秒前からの車両のデータですね、ハンドルをどれくらい切ってとか、ブレーキを踏んでたのか、アクセルがどれぐらい踏んでいたのかとか、シートベルトをしてたのかとか、お手元の資料の中にクラッシュデータ・パラメータ例とあると思うんですけれども、このような内容がデータとして吸い上げられると。
これは車のタイプによってデータの吸出しのパラメータが違いますので、最近の車両はすごくパラメータが増えていると。詳細なデータが取れるということになります。事故ですねマイナス5秒前から記録をして、前後衝突ですね、250ミリ秒(0.25秒)まで記録をしています。
里氏 一例ですね。長く取ってる場合もありますし、大体250ミリ秒です。
藤田氏 側突ですね、横転、その記録も常にとっています。プリクラッシュデータ、ポストクラッシュデータとありますが、プリクラッシュデータとは事故発生時までの状態を記録するものであると。 一方、ポストクラッシュデータというのは事故発生時からエアバッグの展開・終了までの状態を記録をするというものになっております。
~CDRの90日ルールとは~
EDRとはということで、実はですね米国で法規化されている49 CFR Part 563という法規がこのように示しているものなんですけども、EDRで記録を取る場合に、ここに書いてあることは絶対に守ってくださいよ、というそういうレギュレーションがここに示されています。
上から定義ですね。スコープ、目的、範囲、データの読み出しツールということで項目がありますけども、アメリカの場合、自動車メーカーが車を販売したと同時にですね、このCDR、ツールですね、90日以内に一般に市販で買えないといけないとルールがありまして、新車が発売された90日後には確実にCDRのデータが抜き出せる機械が手に入るようにしてるということになってます。
日本もやがてEDRの搭載が義務付けされて作業として行われるようになれば、この90日ルールというものが主流になってくると思っております。
クラッシュデータ・リトリーバル、内容なんですけども、ここに今展示をしてございますACM。こちらがエアバックコントロールモジュールです、エアバックコンピュータといいますね。この中に16進のデータで記録される。データは車両を動かすために使ってるモジュールとセンサーを使いまして、キャンのデータをこの中に書き込んでいると。イベントがあった時にそのマイナス5秒前からのデータをキャプチャーする、抜き出してくるというような仕掛けになっております。
エアバックモジュールがありまして、各専用のケーブルを全部入れると100本近くはあると思います。色んなメーカーの設定がございますので、ケーブルですね、それとモジュールがあって、パソコンを接続してデータのレポートするという仕掛けになっております。
これも今直接エアバックモジュールからデータを吸い出しているんですけども、通常であれば皆さんが診断機を繋ぐ16ピンのポートですね、こちらからもデータが抽出できるようになっています。ただし事故なんかで、車に損傷があった場合、電源が確保できないとか、 回線が切断されてるという場合においては、キャンの通信網が遮断されていますので、データが取れない場合もある。電源がなければデータが取れない場合もございますので、その場合は直接ACMでデータを抜き出すような仕掛けを持っています。
そしてこれちょっと分かりにくいんですけど、時系列ですね、どういう状態でデータにデータを取ってるのかいうことになるんですけども、(立ち上がって説明)
マイナス5秒4、3、2、1というイメージですけども、このポイントでイベント記録トリガーが開きます。モニター後、エアバックを展開させようかどうしようかと言う時系列になっているんですけども、全部英語で書いてあるのでちょっと分かりづらいと思うけど、皆さんが診断機で色んな故障コード・データを取られる時に実測値のモードがあると思いますが、フリーズフレームデータというものがあります。
最後のサンプル点のところで、実はフリーズフレームデータというものを一回取っています。取った情報を最後のサンプル点で取って、それからホストクラッシュ移っていくんですけど、イベントが終了した後にですね、全てその情報を書き込んでいますので、事故の前の状態、故障があったのかなかったのか、隣に助手席に人が乗ってたのか乗ってなかったのか、シートベルトをしてたのか、とかいう情報も全て後から確認することができるということになっています。下のグラフはクラッシュした時の加速度変化、これをグラフとして表してるということになります。
~99.3%のメーカーが米国ではEDR搭載車両を販売~
このクラッシュデータサンプルですね、色々パラメータがあるんですけれども、世代によって取れる間隔だとか取れる項目が変化をしております。これからはどんどん新しい機能が車に備わってきますので、クラッシュデータのデータのパラメータがどんどん増えていくということを聞いております。
そしてアメリカのUS市場のEDR搭載メーカーなんですけど、2018年1月現在の情報によると2017年度新車販売台数における99.3%のメーカーが米国ではEDR搭載車両を販売をしているということになりました。ほとんどついてます。
そのうちCDRツールの法規ですね、49 Part 563という米国のニッツァというところが法規をしているレギュレーションがあるんですけれども、そこで対応しているメーカーは何と86.9%になります。右側を見ていただければ分かると思うんですけど、GM、フォード、下がっていただいてトヨタ、ホンダ、日産、マツダ、メルセデス・・・、あれ?ほとんど日本で入っている車ですね。
実は自動車メーカー、EDR搭載している準備をしておりますが、日本ではまだ法規化をされてないので、日本で現在吸い出せる車というのはトヨタ車、レクサスを含めてですね、フォード、クライスラー、フィアット、アウディ、ボルボ。17メーカーの51ブランドということになっております。
里氏 アメリカで17メーカー51ブランドで、今藤田さんが言われた6メーカーというのが日本で今現在読める車両メーカーになります。
藤田氏 そしてですね、海外での動きはどうなのか、というところになってるんですけども、CDRの対応状況は米国では2012年の9月から法規化をされておりますので、常に販売する車についてはEDRが搭載されているということになります。そしてお隣の韓国も実は法規化がされております。
トレーニングの内容がここに書いてあります。実はこのCDRのモジュールなんですけれども、元々99年ですね、GMのべトロニクス社ということろが作っておりました技術なんですが、2003年にボッシュがそのべトロニクスを買収しまして、それからEDRの活用が始まってきたんですけども、このモジュールがなかなかわかりづらい内容になってまして、トレーニングと一緒に米国でも販売を開始して、現在もそういう形をとってます。
日本でもこのモジュールだけの販売じゃなく、トレーニングもセットで販売をしているということになっております。
~日本におけるCDRの今後について~
日本での今後の活動なんですけども、一応CDRアナリスト認定トレーニングというのを設けておりまして、これは東京の渋谷ボッシュ本社で2ヶ月に1回アナリストトレーニングをやっています。車両の基礎知識を学ぶためのトレーニングも2ヶ月に一回開催をしておりまして、多くの方に受講をしていただいています。
トレーニングの制度ですね、実は米国と全く同じトレーニング資料を使っておりまして、米国と同じトレーニング内容で日本もトレーニングをしてます。
里氏 ベースはアメリカの物を使ってるのですが、日本の法規というのは若干違ってたりとかですね、慣習というのが違いますので、ベースはそうなんですが実はトレーニングの監修というのを自動車メーカーさんと法執行機関さんとしていただいて、一応ボッシュの認定なんですが、ステークホルダー(利害関係者)、業界で標準として使えるような形でトレーニングの内容の監修を行って日本でトレーニングを実施しております。
藤田氏 というとこですねトレーニングなんですけども、基礎トレーニングが4日間ありまして1日8時間みっちりあります。その後にCDRトレーニングを設けておりまして、これが8時間5日ですね、合計9日間トレーニングをして、CDRアナリストの試験を受けて立もらうという見立てで動いております。
今後の自動車の方向性、自動運転とは?
それから今後の自動車の方向性についてよく自動運転という言葉が出てくると思うんですけども、ここの部分についてはアジアパシフィックのCDRの責任者の里 廉太郎より詳しく説明をいたしますので、里さん宜しくお願い致します 。
里氏 今藤田さんから説明頂いてるこの資料というのは、実は国交省の先ほどの自動運転に関わる保険の求償ということで、今後の保険のシステムをどうしたらいいんだっていうのは実は大きな問題になっております。
その中で実はどういう形で責任を明確にしていくかという過程の中で、アメリカで17年運用実績のあるEDRの読み出しツールとして、ほとんどの市場の占有率の高いCDRというボッシュのクラッシュデータ・リトリーバルというツールの話をちょっと研究会でしてもらいたいということで、資料をボッシュの方で用意して発表させていただきました資料になります。
ここからお話しする部分というのはちょうど藤田さんが始めに大綱を簡単に説明いただいたと思いますが、その辺りの話になります。
こちらの方の整備制度大綱ということで、ちょうど今年の3月末ぐらいに実はその研究会の発表が行われまして、その中にEDRという文言が入っております。
具体的に言いますとEDRで自動運転車両のEDR等の記録装置の搭載とそれを活用する環境整備というふうになっております。そういった形で話が進んでいます。
じゃあなんで2020年の自動運転に関わってこのEDRの技術を使った事故解析の技術が必要かと簡単に説明させて頂きたいんですが、これはアクティブセーフティシステムの普及が一番大きな問題になります。簡単に言うとADAS(エーダス)であったり、今エーミングだったりとかって市場を騒がせていると思うのですが、実はそれよりその前の話として皆さんご存知だと思うんですが車というのはもうワイヤーでは繋がっておりません。
アクセルペダルっていうのは後ろにセンサーがいて、スロットルバルブまではワイヤーは繋がってなくて、飛行機で言うバイワイヤと言われるコンピューターでデータを取ってそれをアクチュエーターであるスロットルとかを動かすっていうことで、物が繋がってないというのがほとんどの今の車です。
ですので、その辺がもし壊れてた場合はドライバーさんが正しく運転していたのか、車が誤作動したのかっていうのが実は今はわからないっていうのが現状です。だからブラックボックス化とかという形で言われたりします。
そういった場合、藤田さんが言われたように、飛行機の例で挙げますと、フライトレコーダーですね。それがないと何もわからないよという状況になっていまして。
実は車も全く同じで何が起こったか、誰が責任があるのかいうのは、そういったデータが無いと分からないという状況です。
自動運転でもそうなんですが、今の現在の車、特に衝突軽減ブレーキとかですね。ブレーキオーバーライドシステムとか、いろんなシステムとか高機能とか言われてるものっていうのは、ほとんどがコンピューターでシステム介入しているものが多いと。
強制的にブレーキかけたりとか、強制的にアクセル絞ったりすると、いうところですごく重要になると言われています。
いろいろ法規が、まだ最終決定されてないんですが、アメリカ・ヨーロッパ・日本いろんな国でいろんな検討がされてまして、一例としてここに乗せてある DMV2において提案されてるとかSAEでは、というような内容を発表させていただきました。
あくまでも参考でDMV って何なのだといいますと、カリフォルニアの州の規則というものになります。
アクティブセーフティーというのは一応ですね定義というのが大切ですので、定義をちょっと辞書から持ってまいりました。事故を未然に回避するためのブレーキ・操縦性・安定性などの運動性能や良好な視界、近い視認性を確保する高度な機能となります。予防安全とも言われますよ、ということです。
~EDRの「読み出しの法規化」について~
皆様ご存知な方も多いと思うんですが、SAEという技術基準を作る団体がございます。そちらの方で実はタスクフォースというのがありまして、EDRのレギュレーションを決めていたり、今後自動運転に関わる技術案件のレギュレーションを決めたりする団体があります。
アメリカ中心に加盟してまして、そちらの方からの発表資料によりますと今、自動運転に関してやはりEDRデータをキャプチャする必要があると。EDRだけでは足りない場合もあるのでデータロガー等も積んで見るのがいいだろうと言われております。
という形で実は今後の車の技術においてEDRというものを、事故の調査に活用できるようにすべきであるということがアメリカはもちろん、ヨーロッパそして中国・韓国等の自動車製造国の方で結構活発な議論されていまして、実際それに向けた法規化が今進んでおります。
ボッシュの予測ですとヨーロッパは3年以内ぐらいのスパンでヨーロッパ自体がEDRの「読み出しの法規化」ですね。ツールでの市場での読み出しの法規化。
そして中国も3年から5年以内ぐらいに読み出しの法規化。そして韓国は藤田さんが言われたように実は法規化されておりまして、そこに対して今日本が2020年に向けて法規化に向かっていると考えております。
というところで、また藤田さんにバトンタッチして、実際どんな感じかと話していただきます。
~この2、3年で大変革が訪れる?~
藤田氏 ありがとうございました。自動運転ですね…。我々が小学校の時に本当に車が自動運転で走るのかな、と思ってたんですけど、20年30年経つと本当にその技術が確立されて、近い将来そういう車が普通に走る日がいよいよやってきたかなと、私個人的な感想として思っております。
その中で車の技術がすごく進歩していって、何が一番追いついてないのかということを冷静になって考えて見ますと、 私もこの25年間ずっと自動車業界一本で取り組んできたわけでございますが、なんせこの進化の早さにくらい付いて行っているにも関わらず、まだまだその先があるというような流れで。
勉強しても勉強しても全然追いつかないという状況ではあるんですけれども、これからここ100年で自動車業界は大変革しますよ、と言われてますけれど、実際は多分この2、3年で実務も含めて大きな変化がやってくると思います。ADAS(エーダス)の件もあります、エーミングもあります、キャリブレーションもあります、このCDR/EDRもあります。
じゃあどこに向かって我々は行ったらいいのかということをよく質問されるんですけれども、私はいつも言います。今の車は本当に進化をしていきますので、まず幅広い知識を学んでいきましょうと。
元々車アナログで動いてますから、アナログ仕掛けのものを簡素化していって、デジタルの仕掛けに変わってきているものが大いにございます。部品点数を減らすですとか、コストを落とすとかという目的で電子化されてきたわけではございますが、あまりにも高度になりすぎたために...
続きは下記リンクをご覧ください。
http://autoalliance.jp/update/845/
<動画制作>
MAKALI
PRODUCER / DIRECTOR : KAMIDA KAZUNORI
PHOTOGRAFER : SYUTOU EISAKU
COPYRIGHT : AUTO ALLIANCE
PM:HIROSHI KINOSHITA
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ