ITホールディングスグループのクオリカ株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:加藤 明、以下クオリカ)は、経済産業省 産学連携イノベーション推進事業 東京大学大槌イノベーション協創事業の林業プロジェクト(東京大学 大学院農学生命科学研究科 森林利用学研究室 農学博士 仁多見俊夫准教授 『日本の木』コンソーシアム)に2013年5月から参加し、2014年12月に開発テーマの一つである『造材丸太属性情報収集システム』を開発しました。
なお、今回のシステムは2014年12月10日に岩手県釜石市にて実証実験を実施しています。
今回の林業プロジェクトの研究テーマは以下の3つで、
1.機能化森林GISを活用した森林資源管理システムの開発
2.未利用林地残材収集の新システム開発
3.造材丸太属性情報収集システム開発
当社は、造材丸太属性情報収集システム開発と実証実験に携わりました。
「造材丸太属性情報収集システム開発」ではICTを活用し造材作業時に林業機械を操作しながら木材直径・長さを正確に読取る機構の開発と、造材丸太属性情報を効率よく取集して在庫管理の基礎情報として活かせる事を実現しました。
システム概要は以下の通りです。(図:造材丸太属性情報収集システム概要図)
1. 林業機械のヘッド部分に装着したカメラから送られてくる映像を見ながら、切断した木材の断面を撮影。
2. 撮影した断面を画像解析した木材の直径情報に、作業者や作業場所の位置情報などを付加してクラウド環境へデータを送信。
3. ネットワーク接続端末からクラウド環境へアクセスし造材情報を確認。
今回のシステム開発で実用性を考えた際、林業機械の運転席は非常に狭く限られたスペースで撮影操作を行う必要がありました。また、機械の振動や埃・油などの耐環境性も考慮する必要がありました。そこで、耐環境性の特徴を備えた自社開発のタッチパネル型コンピュータである『WebLight(ウェブライト)』を使用し、データ送信にはM2Mソリューションで車載実績のある『CareQube(ケアキューブ)』を用いた構成としました。
開発の成果として、材積計測誤差がこれまで2割だったものを人力検寸と同じ精度に高める事ができました。また、造材された素材データを迅速に製品データベース化できるため、サプライチェーンの正確なトレースを可能にしました。さらに、データベース化された素材データをインターネット使って、製材所や工務店など広い顧客に効率的に公開できようになりました。
図:造材丸太属性情報収集システム概要図
今後は、開発した造材丸太属性情報収集システムの実用化に向けて、『日本の木』コンソーシアムの活動を通して機構の改善やデータの集約と表示機能の充実などに取り組んでいくとともに、新たな研究テーマに取り組んで行く予定です。
今後検討している新たなテーマは以下の通りです。
・素材情報をさらに簡易で正確に収集する手法の検討。
・サプライチェーンの確実で簡便な確保のために、ICタグ打込機能など実現方法の検討。
・生産する素材情報のみならず、切り落とす枝や梢端部、端材部分などの質、量を把握する機能の実現と、ユニットへの搭載の検討。
また、M2M/IoT市場においてはこれまで得意としてきた特殊車輛、産業機械分野へのICTの適用だけでなく、新たな付加価値産業の創出が期待される林業・農業分野や、社会的に課題解決が求められるエネルギー関連や高齢者の見守りなどにも積極的にソリューション提供して行きたいと考えています。
■2014年12月10日に岩手県釜石市で行われた実証試験の様子
・造材丸太属性情報収集システムを説明する東京大学大学院の仁多見准教授
・プロセッサ先端に取付けられたカメラ映像がキャビン内のWebLightにリアル表示される様子
・建設機械にヘッドが装着されている高性能林業機械の全容
・造材丸太属性情報がCareQube端末を通してリアルタイムに確認できる様子
<東京大学 大学院農学生命科学研究科 森林利用学研究室 農学博士 仁多見俊夫准教授からのコメント>
林業では、どのような規格の素材がどれほど(数量)どこに(位置)あるのか、という情報が商売の基礎です。運搬トラックを手配したり、市場や製材所の需要にマッチした納品には欠かせません。今回開発したICT技術を組み合わせた造材プロセッサユニットは、造材処理時に素材形状データを正確に把握するとともに地域森林情報基盤*1のデータベースへアップロードします*2。素材生産作業と同時に販売、運搬など後続のビジネス課題に対応できるようになります。ICタグによるサプライチェーン管理などへ発展していくものと期待しています。
*1:森林立木資源情報などから施業提案表やコストシミュレーションを簡便にできるようにしたもの。仁多見研究室(東京大学大学院農学生命科学研究科)とシステム開発会社が研究開発し、機能強化を進めている。
*2:下図のように生産処理した素材の場所、規格、数量を図上で把握できます。
<CareQubeについて>
CareQubeは、M2M/IoT技術を取入れた“アフターマーケットソリューション”で機器からデータ収集するCareQubeプローブ端末と、データ送信する通信キャリア網やクラウド環境などを1つのパッケージにしたサービスとして提供しています。様々な機器に取付けが可能で、そこから得られるデータを機器の保全やアフターマーケットサービスの提供に活用する事ができます。
詳細はこちらをご覧ください。
http://www.qualica.co.jp/service/manufact/ams/careqube/index.html
<WebLightについて>
WebLightは1998年の発売以来、製造業、外食産業、小売専門店業界、自治体を中心に累計約80,000台を導入しているタッチパネル情報端末です。
タッチパネル液晶やディスクレス・ファンレス構造、基本ソフトにWindows Embeddedを採用した高い耐久性と、電源スイッチのon/offで起動/終了が可能といった優れた操作性を備えています。
詳細はこちらをご覧ください。
http://www.qualica.co.jp/service/terminal/weblight/index.html
■クオリカの概要(http://www.qualica.co.jp)
所在地:東京都新宿区西新宿8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー23F
事業概要:1982年コマツの全額出資による情報システム会社として創業し、現在はITホールディングスグループの一員として、製造業および流通サービス業(飲食業・小売業)様向けにクラウドサービス、業務用システム開発、パッケージソフト開発、システム運用、情報端末製造・販売等の幅広い事業を展開しています。
【お客様からのお問い合わせ】
テクノロジーインサイド事業部 事業開発室 TEL:03-5937-0761
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