Spiber株式会社(取締役兼代表執行役:関山 和秀、本社:山形県鶴岡市覚岸寺字水上234-1、以下「当社」)は、当社が研究開発を行う人工構造タンパク質素材の本格的な量産化に向け、発酵・精製プロセスを担うマザープラントとして、タイ国東部のラヨーン県に位置するイースタンシーボード工業団地(注1)に量産設備(以下「本プラント」)の建設を決定しました。また、本プラントの建設を推し進めるべく、2018年9月末には株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)等を引受先とする第三者割当増資を実施し、50億円を調達しました。
本プラントは当社として初の海外拠点となり、当社が本社を置く山形県鶴岡市で既に稼働している発酵パイロットプラントの約100倍の規模(構造タンパク質の発酵生産プラントとしては世界最大規模となる見込み〔2018年11月28日現在、当社調べ〕)となります。年間数百トン規模の生産を計画している本プラントは、発酵・精製プロセスに関わる生産技術開発の拠点、グローバルな生産拠点整備の際のモデルとしての役割も果たします。今後、2019年半ばまでに着工し、2021年からの商業生産開始を目指します。出荷されたタンパク質は鶴岡市の本社内紡糸設備にて繊維に加工するため、当該紡糸設備の拡張・増設についても順次進める予定です。
タイ国は発酵の原料となるバイオマス資源が豊富であり、当社の当面の重点注力分野として位置付けるアパレル・自動車産業が集積しています。持続可能な開発目標の早期実現に政府として積極的に取り組むタイ国を新たな起点とし、持続可能な社会の実現、地球規模の課題解決に向けて一層尽力してまいります。
なお、タイ国における量産体制の確立に先んじて様々な施策・商品展開を計画しており、本年末より当社ホームページ等で順次発表していく予定です。
(注1)イースタンシーボード工業団地(ラヨーン)
(タイ語: นิคมอุตสาหกรรมอีสเทิร์นซีบอร์ด (ระยอง) 、英語:Eastern Seaboard Industrial Estate (Rayong))
WHA INDUSTRIAL DEVELOPMENT社が開発する工業団地であり、タイ政府が国内外の先進技術企業を集約させて成長の原動力とすることを目指す東部経済回廊地域の代表的な工業団地の一つ。タイ最大の国際港レムチャバン港が近く、日本や海外の自動車メーカー等の関連工場が立地する。1996年開設。
◼ Spiber株式会社について
設立 :2007年9月
所在地 :山形県鶴岡市覚岸寺字水上234-1
取締役兼代表執行役:関山 和秀
事業内容 :新世代バイオ素材開発
資本金等 :224億4,366万円(資本余剰金等含む)
社員数 :200名(2018年11月28日現在)
ホームページ :https://www.spiber.jp/
Spiberは、持続可能な次世代の基幹材料として期待されるタンパク質素材の産業化を目指して、2007年に設立されたスタートアップです。創業者である関山和秀と菅原潤一が2004年から慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)で取り組みはじめたクモ糸人工合成の研究成果を活用し、タンパク質由来の新素材「QMONOS(R)」を開発、世界に先駆けて量産技術の確立に成功しました。当社が生産する新素材の人工構造タンパク質は、繊維として布帛やニット、不織布への加工はもちろん、樹脂、フィルム、ゲルへの加工、また、複合材料への展開も可能です。当社は、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)のコア研究機関として、参画機関を含め40を超える企業や研究機関との共同研究開発を推進し、最先端の情報科学、合成生物学、高分子化学、材料工学等を駆使したタンパク質素材開発のプラットフォームを構築、タンパク質素材の産業化に不可欠な知的財産の網羅的集積を進めています。
◼ 人工構造タンパク質とは
タンパク質は20種類のアミノ酸が直鎖状に繋がった生体高分子であり、生命体を構成するもっとも重要な材料のひとつです。ほぼ無限に存在するアミノ酸の組み合わせパターンから様々な機能や特性を持ったタンパク質が進化の過程で生み出され、複雑で多様な生命システムを支えています。
タンパク質には酵素や抗体のように生理的な役割を果たすものと、細胞骨格やクモの糸のように構造的な役割を果たすものがあり、Spiberでは後者を「構造タンパク質」と定義しています。毛や爪などを構成する「ケラチン」や、骨、皮膚などを構成する「コラーゲン」も構造タンパク質のひとつと言えます。
人工構造タンパク質は、ほぼ無限の組み合わせの中から目的に応じてデザイン・選抜された構造タンパク質であり、微生物により発酵プロセスで生産されます。Spiber独自の技術により、多種多様な特性や形態の材料を設計することが可能です。原料を石油に依存せず、生化学的な資源循環が容易な人工構造タンパク質は、アパレル分野における脱マイクロプラスチック・脱アニマルのニーズ、輸送分野における軽量化のニーズ等に対し、大きな役割を果たせる可能性を秘めた持続可能な新素材です。
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