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Release コーポレートガバナンス改革は自社のグランドデザインに基づく取締役会改革が求められるフェーズへ

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コーポレートガバナンス改革は自社のグランドデザインに基づく取締役会改革が求められるフェーズへ

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~「2024 年コーポレートガバナンス・サーベイ(CG サーベイ)」結果公表~

HRガバナンス・リーダーズ株式会社(代表取締役社長 CEO 内ヶ崎 茂、 以下「HRGL」)は、この度「2024年コーポレートガバナンス・サーベイ(CGサーベイ)」を実施しましたので、その結果概要を公表します。

本サーベイは、コーポレートガバナンスの要諦となる指名・報酬・人的資本の各分野を中心に取締役会(各委員会含む)改革などの視点で構成しています。昨年まで実施していた「指名・報酬ガバナンスサーベイ」からコーポレートガバナンス全般にバージョンアップしており、今年度はプライム市場上場大企業を中心に400社近くの企業にご参加申込いただきました。企業のサステナブルな成長に貢献するコーポレートガバナンスのグランドデザインを描く際に、ご活用いただくことを期待しております。

【主な調査結果】
- 取締役会の主要な役割を確認したところ、最も多かったのが「経営の基本方針の決定」であり、次いで「業務執行に対する監督/モニタリング」であった。取締役会の構成の構成を見直し・検討する上で必要と思われる事項は「多様性の確保(属性)」、「スキルマトリックス」などが多数を占めた
- 人的資本経営とその開示の取組み状況について、5F全ての項目において3年連続で取組みが進んでいたが、「動的な人材ポートフォリオ」「リスキル・学び直し」の取組みは相対的に道半ばであった。また、取締役会が改善KPIを通じて人的資本経営の進捗を確認する企業、投資家から得られたフィードバックを社内の人的資本経営へ反映できている企業はそれぞれ17.1%に過ぎず、取組みの実効性に課題感がみられた
- 指名委員会、報酬委員会の開催回数は双方とも増加傾向にあった。指名委員会の審議事項では、「選任の決定」(77.6%)を挙げる企業の割合が最も多かった。「選任の決定」「解任の決定」の審議の対象者を役位別にみると、社長・CEOはほぼ全て、社外取締役では約8割の企業が実施していた。報酬委員会では、最も多く挙げられた「報酬水準・構成(MIX)」(90.3%)など多くの審議事項で増加傾向がみられた
- 直近3年間(2022年~2024年)における社長の総報酬額およびインセンティブ報酬(変動報酬)の構成比率は概ね増加傾向であった(いずれも中央値)。特に時価総額1兆円以上の企業群では、総報酬額は2億円(昨年比11.1%増)、変動報酬額の比率は62.5%(昨年比7.4%pt増)と最も大きく増加した
- 直近3年間(2022年~2024年)における社外取締役の総報酬額(中央値)は、特に時価総額1兆円以上の企業群で増加傾向がみられた
- インセンティブ報酬の評価指標のうち将来財務指標(非財務指標)に着目すると、E(環境)指標「GHG排出量関連」、S(社会)指標「従業員満足度関連」といった、定量評価しやすい指標の採用が比較的多くみられた


今回の結果について、HRGLのコンサルタントは以下のように述べています。

プリンシパル 柏櫓 洋之
「取締役会の構成の見直し・検討にあたって、機関投資家、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)といった外部からの要請への対応にのみとどまる企業が比較的多くみられています。持続的成長・中長期的な企業価値向上に向けたコーポレートガバナンス改革の実質化をより推し進めるためには、コーポレートガバナンス改革に向けた自社のグランドデザインを策定した上で、自社の目指す取締役会の姿を描き、持続的に機能発揮できるよう適切な新陳代謝を促す仕組みを構築することが今後一層求められると考えます。」

シニアコンサルタント 橋本 謙太郎
「人的資本経営の取組みは着実に進捗しているものの、事業戦略と連動した取組みで遅れがみられます。取組みの実効性でも課題感が目立ち、KPIの進捗を取締役会へ報告していないケース、取締役会が監督基準を定めていないケースが多くみられました。開示が目的化し、投資家からのフィードバックを活かせていないケースも多数でした。取締役会でのモニタリングポイントを明確化し、投資家と効果的なコミュニケーションを取るには、各社が行うべき人事施策を、経営戦略と紐づけて論理的に整理することが必要と言えます。」

シニアマネージャー 古川 拓馬
「指名委員会の審議回数は3年連続増加し、指名委員会での審議が活発化されていることが読み取れます。審議内容の詳細をみると、外形的な仕組みの議論から、役員指名およびその候補者育成に移ってきています。また、その対象者も社長・CEOだけでなく、社内取締役や社外取締役、さらに一部の企業では、執行役・執行役員にまで広がっており形式から実質へ審議内容が深化してきています。取締役会の構成やCEO及びCEOに続く経営人財のサクセッションなど、より一層、指名委員会での議論は重要になっていくと感じます。」

シニアコンサルタント 高荒 菜花
「社長の報酬は、昨年に引き続きインセンティブ報酬の増加がみられ、特に時価総額1兆円以上の企業群における報酬の構成比率は欧州企業の水準に着実に近づいています。インセンティブ報酬の評価指標は、将来財務指標(非財務指標)の採用が引き続き増加しており、特に定量評価しやすい指標の採用が多くみられました。企業価値向上に繋がる報酬ガバナンスを実現するためには、制度の設計・運用のみならず、報酬制度の運用を通じた経営陣のモニタリングや、投資家とのコミュニケーションなどに目を向けることも重要となります。」

■「コーポレートガバナンス・サーベイ」のご案内はこちら
■HRGLオンランセミナー 「2024年コーポレートガバナンス・サーベイ(CGサーベイ)結果報告会 コーポレートガバナンスの最新潮流」のご案内はこちら

1.取締役会領域
■取締役会の役割
本年のサーベイ参加企業(指名領域)を対象に取締役会の主要な役割を確認したところ、最も多かったのが「経営の基本方針の決定」(97.2%)であり、次いで「業務執行に対する監督/モニタリング」(96.7%)でした(図表1)。取締役会の役割として役員指名/報酬に関する監督を担っている企業はそれぞれ68.7%、64.2%と7割弱にとどまりました。

図表1 取締役会の主要な役割
画像1:
※複数選択、N=246社


■取締役会構成の見直しに必要と思われる事項
取締役会の構成を見直し・検討する上で必要と思われる事項を尋ねたところ、
「多様性の確保(属性)」(86.2%)、「スキルマトリックス」(80.1%)、「社外取締役の比率」(77.2%)が多数を占めていました。他方で、「取締役個人の評価」、「ボードサクセッションの考え方の検討」といった要素を取締役会構成の見直しにあたって考慮する企業はそれぞれ26.4%、17.5%と少数にとどまりました。

図表2 取締役会の構成を見直し・検討する上で必要と思われる事項
画像2:
※複数選択、N=246社


2. 人的資本領域
■人的資本経営とその開示の取組み状況
人材版伊藤レポートでは、人財戦略に求められる3つの視点(3P)と5つの要素(5F)で構成される「3P・5Fモデル(*1)」が提唱されています。直近3年間連続して本サーベイに参加している企業177社を対象に、人的資本経営とその開示の取組み状況を、5つの要素(5F)に合わせて確認すると、全ての項目において3年連続で取組みが進んでいました(図表3)。ただし、5Fの中でも二極化が進んでおり、「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」「従業員エンゲージメント」「時間や場所にとらわれない働き方」に比べて、「動的な人材ポートフォリオ」「リスキル・学び直し」の2項目で取組みが広がっていませんでした。

図表3 人材戦略で求められる5つの要素(5F)のうち、実施済かつ開示済の企業の割合
画像3:
※N:177社


(*1) 2020年9月に公表された人材版伊藤レポート
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/pdf/20200930_1.pdf)では、人財戦略に求められる視点として、1.経営戦略と人材戦略の連動、2.As is‐To be ギャップの定量把握、3.人材戦略の実行プロセスを通じた企業文化への定着の3つを、共通要素として、1.動的な人材ポートフォリオ、個人・組織の活性化、2.知・経験のダイバーシティ&インクルージョン、3.リスキル・学び直し、4.従業員エンゲージメント、5.時間や場所にとらわれない働き方の5つを示しており、これらを「3P・5Fモデル」として整理している。

■人的資本経営の社内外モニタリング実施状況
人的資本経営における社内のモニタリングについて、取締役会の果たす役割を確認したところ、「As is-To beギャップを埋めるための人事施策について、進捗を測る改善KPIを設定」を行っている企業が29.7%に対して、「取締役会が、改善KPIを通じて人的資本経営の進捗を確認」している企業は17.1%にとどまりました(図表4)。また、「取締役会が、人的資本経営の中長期的な目指すべき方向性(基本方針)を議論・策定」している企業は33.7%、「取締役会が、上記方針に沿った経営がなされているかを監督」している企業は24.4%という結果となりました。社外の目(投資家)によるモニタリングについても確認しましたが、「IRの場で投資家と人的資本に関する対話を実施し、得られたフィードバックを社内の人的資本経営へ反映」できている企業は17.1%に過ぎませんでした。

図表4 人的資本経営における社内外のモニタリング
画像4:
※複数選択:N=246社


3.指名委員会領域
■指名委員会の活動状況
直近3年連続して本サーベイに参加している160社(指名委員会設置済)について、指名委員会の開催回数の平均値は2024年では5.5回であり、2022年の4.6回、2023年の5.2回から増加傾向にありました。また、今年のサーベイ参加企業246社を対象に、指名委員会の審議事項についてみたところ、「選任の決定」(77.6%)を挙げる企業の割合が最も多く、続いて、「解任の決定」(70.7%)「人財要件定義・スキルマトリックス」(66.7%)でした(図表5)。

図表5 指名委員会の審議事項
画像5:
※複数選択、N=246社


■指名委員会の審議事項の対象者
指名委員会の審議事項として各事項を挙げた企業に対して、どの役位まで審議の対象としているかを尋ねたところ、社長・CEOだけでなく、社内取締役においても「選任の決定」「退任後の処遇」「人財要件定義・スキルマトリックス」など6つの審議事項で9割以上の企業が審議の対象としていました(図表6)。「選任の決定」「解任の決定」については、社外取締役では約8割、執行役・執行役員では約6割、社内外の監査役・監査等委員では4割前後の企業が審議の対象としています。

図表6 後継者計画の審議事項の対象者
画像6:
※Nは指名委員会で各審議事項を審議していると回答した企業数(図表中の分母参照)


4.報酬領域
■報酬委員会の運営状況
直近3年間連続して本サーベイに参加している238社(報酬委員会設置済)を対象に報酬委員会の審議事項を確認すると、最も多く挙げられた「報酬水準・構成(MIX)」(90.3%)をはじめ、「定性評価」(67.6%)、「会議体の運営方法」(42.9%)、「クローバック・マルス条項の設定」(32.4%)、「ピアグループの選定」(31.1%)などが3年連続で増加しました(図表7)。他方、「投資家とのエンゲージメント・開示方針」は2割程度にとどまっています。報酬委員会の開催回数をみると、2024年の平均値は4.9回であり、2022年の4.3回、2023年の4.7回から増加傾向にありました。

図表7 報酬委員会の審議事項
画像7:
※複数選択、N: 238社※2024年は「報酬の支給対象者の範囲(執行役員、グループ子会社役員等)」の調査を行っていない


■社長 報酬水準
直近3年間連続して本サーベイに参加している企業群において、2024年の社長の総報酬額(中央値)は8,680万円でした。時価総額別の推移をみると、「1,000億円以上5,000億円未満」、「5,000億円以上1兆円未満」、「1兆円以上」の企業群で、総報酬額は概ね増加傾向を示していました(図表8)。「1兆円以上」の企業群では2億円となっており、昨年比11.1%と最も増加していました。

総報酬額が増加した要因の1つに変動報酬額の上昇が挙げられます。総報酬額における変動報酬額(賞与等の年次インセンティブと株式報酬等の中長期インセンティブの和)の比率をみると、「1兆円以上」の企業群においては直近3年間で7.4%ptと最も大きく増加しており62.5%でした(図表9)。それ以外の時価総額の企業群においても同比率は上昇傾向にありました。
なお、基本給与を算定・検討する際に時にインフレなどの市況環境を考慮する企業の割合は6.7%にとどまっていました。

図表8 社長 総報酬額(時価総額別)
画像8:
※N: 248社

図表9 社長 変動報酬比率(時価総額別)
画像9:
※N: 248社


■社外取締役 報酬水準
直近3年間連続して本サーベイに参加している企業群において、2024年の社外取締役の総報酬額(中央値)は1,125万円でした。「1兆円以上」の企業群では1,800万円と、直近3年間で14.6%と最も増加しました(図表10)。また、2024年に本サーベイに参加した企業のうち、社外取締役に対する中長期インセンティブ制度を導入している企業は9.9%でした。

図表10 社外取締役 総報酬額(時価総額別)
画像10:
※N: 220社


■インセンティブ報酬制度における評価指標(KPI)の採用状況
直近2年間連続して本サーベイに参加している311社を対象に、取締役および執行役の年次インセンティブもしくは中長期インセンティブ制度の報酬額の決定にあたってのKPIを集計した結果、営業利益や当期純利益、売上高、ROE(自己資本利益率)といった財務指標が上位を占めていました(図表11)。将来財務指標(非財務指標)に着目すると、年次インセンティブおよび中長期インセンティブの双方で、特にE(環境)指標「GHG排出量関連」、S(社会)指標「従業員満足度関連」といった、定量評価しやすい指標の採用が上位にのぼりました。また中長期インセンティブにおいては、欧米企業において比較的多く採用されている、株主価値を表す指標であるTSR(株主総利回り)の採用も前年比で4.5%pt増加しています。なお、将来財務指標(非財務指標)を導入している場合、報酬額の決定にあたり将来財務指標(非財務指標)の評価が占めるウェイトはSTIでおよそ1割-2割、LTIで2割-3割の水準でした。

図表11 インセンティブ報酬制度における評価指標(KPI)採用状況
画像11:
※N:311社 ※取締役、執行役、執行役員のいずれかの評価指標に採用していると回答した企業を集計している。 ※経年比較の観点から、本年新たに選択肢として設けた指標はランキングから除いている。

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2024年コーポレートガバナンス・サーベイ 概要
サーベイ期間:2024年6月~2024年8月
参加企業数:指名領域:246社、報酬領域:342社
現在、通常スケジュール後のご参加(レイト参加)も募集していますので、下記からお気軽にお問合せください。
https://www.hrgl.jp/service/compensationgovernance/compensationsurvey/
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HRGLウェビナー「2024年コーポレートガバナンス・サーベイ結果報告会 コーポレートガバナンスの最新潮流」
HRGLでは、上記の内容も含めた詳細について、2024年10月24日にウェビナーを開催します。ご参加希望の方は下記からお申込みください。
https://www.hrgl.jp/info/info-11378/

「コーポレートガバナンス・サーベイ(CGサーベイ)」について
「コーポレートガバナンス・サーベイ(CGサーベイ)」は、コーポレートガバナンス強化の要諦となる指名・報酬・人的資本の各分野を中心に取締役会などコーポレートガバナンス全般を本格的にカバーしています。具体的には、経営者を含む役員報酬に加え、指名・報酬委員会の運営からスキルマトリックス、後継者計画、社外取締役の選任などの設問が含まれています。さらに、コーポレートガバナンス改革の実質化をめざす上で必須の検討事項である「取締役会のあり方」や「社外取締役の機能発揮」などに関する設問も充実させています。これら日本企業のプラクティスについての最新情報を提供し、貴社のオリジナルガバナンスの向上を強力にサポートします。また、人的資本経営に関する設問も充実させています。
現在、通常スケジュール後のご参加(レイト参加)も募集しておりますので、お気軽にお問合せください。
https://www.hrgl.jp/service/compensationgovernance/compensationsurvey/

【HRガバナンス・リーダーズ株式会社 概要】
設 立:2020年4月(事業開始:2020年10月)
所在地:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-4-5
代表者 :代表取締役社長 CEO 内ヶ崎 茂
事業内容:サステナビリティガバナンスコンサルティング
ボードガバナンスコンサルティング
指名・人財・報酬ガバナンスコンサルティング
サステナビリティ経営・人的資本経営コンサルティング
上記コンサルティングに関する商品開発および調査研究・オピニオン発信
信託代理店業務
URL:https://www.hrgl.jp/

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