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Release ファーウェイ 2020年度アニュアルレポート記者会見 質疑応答

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ファーウェイ 2020年度アニュアルレポート記者会見 質疑応答

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本リリースは3月31日に中国・深センで発表されたAnnual report 2020における質疑応答の日本語翻訳版です

講演者

ファーウェイ輪番会長 胡厚崑(Ken Hu) 氏

ファーウェイCFO 史延丽(Yanli Shi) 氏


01 Shenzhen Special Zone Daily紙、Zhou Yumeng氏:周知の通り、過去2年に渡りファーウェイには多難な時期となっています。しかし、現在進行中の米国からの経済制裁による苦難にも関わらず、ここまでの事業成果を上げられたのはなぜなのでしょうか。かなりの努力があったことと思います。この1年でファーウェイがここまでの成果を収められた理由について、Ken氏に詳細を伺いたいと思います。

Ken Hu:ご質問ありがとうございます。プレゼンテーションでもお話しましたが、2020年にはわずかですが収益成長を達成しました。確かに、前年に比べると収益成長は明らかに鈍化しています。過去5年に渡り、弊社の収益と純利益のCAGRはどちらも14%を超えてきました。しかし昨年は、この数値はどちらも減少しています。したがって、弊社が昨年順調ではなかったという指摘は的を得ています。現在も進行中の米国からの圧力が、この成長の鈍化の直接の理由であることを認めざるを得ません。米国の制裁は、弊社のコンシューマー事業、とくにスマートフォン事業に重大な影響をもたらしています。

こうした困難にも関わらず、なぜそれでも弊社が成長を成し遂げたのか。その理由は何なのかというご質問でしたね。

まず弊社は、サプライチェーンの多様化など、非常に大きな努力を費やしました。これにより、供給の継続が保たれました。弊社の成長はまた、イノベーションに対する膨大な投資によるところが大きいです。弊社は昨年、収益の15%以上を研究開発に再投資しました。この割合はとても大きなものです。全従業員のたゆまぬ努力、そして弊社のパートナーおよび顧客からの信頼と支援がなければ成し遂げられなかったでしょう。

2つ目に、客観的に見て弊社は昨年の拡大の潮流に乗ることができ、いくつもの機会を掴むことで成長に繋げられたことが挙げられます。

その1つは、キャリア事業になります。ご認識のとおり、パンデミックにより状況が厳しかったにもかかわらず、特にデータトラフィックにおけるネットワークの需要の急増がありました。これは多くの人々が自宅から勤務をしたためです。キャリア事業では、キャパシティ、カバレッジ、そしてそのネットワークのサービスを拡大する喫緊の需要にさらされていました。結果として、弊社のキャリア事業は2020年を通し堅調であり続けました。

法人事業に関しては、去年も含め過去数年に渡り、2桁の対前年比成長を達成してきました。

コンシューマー事業では、携帯電話事業からの収益の減少にも関わらず、「8+N」事業で65%以上の成長を達成しました。「8+N」事業からの収益がその他の悪影響を相殺できたのです。

現在、地域別で弊社事業を見てみると、キャリア事業、法人事業、コンシューマー事業のすべてが中国市場で見事な成果を上げ、この市場が弊社の昨年の収益の65.6%に貢献しています。中国では、5G普及の初期フェーズは基本的に昨年完了しており、5Gへの投資が急速に拡大しました。

複数の産業において中国の事業者と団体はデジタル化を進めることを決断し、インテリジェントな事業環境への変革を行い始めています。国際競争力の観点から見ると、この分野では先駆的と言えるでしょう。これによりデジタルにおける設備、ソリューション、クラウドの需要が高まりました。様々な業界でのデジタル化の加速により、中国のクラウド市場は昨年目覚ましい成長を見せました。

弊社のコンシューマービジネスでは、携帯電話販売台数において減少を見たものの、中国のコンシューマー市場ではそれでも上昇を見ています。

02 Bloomberg紙、Gao Yuan氏:ファーウェイのスマートフォン事業は深刻な課題に直面したとおっしゃられました。2020年の後半を見ると、中国市場ですら、ファーウェイのスマートフォン出荷台数は急激に減少しています。チップの供給が絞られる中、特にスマートフォン事業において、コンシューマー事業の先行きをどう見ていますか?部品供給およびファーウェイのスマートフォン事業を取り巻くグローバルな要因に対応する事ができるのでしょうか?

Ken Hu:ファーウェイのコンシューマー事業は、特にスマートフォン事業において常に注目されてきました。過去数年に渡り、ファーウェイは世界でトップクラスのスマートフォンブランドとなり、今日では何億人にも上る人々が弊社の携帯電話を使用しています。供給制限により、弊社のスマートフォン事業は確かにこの一年で大きな影響を受けました。

今後については、供給制限の成り行き見通しが立たないため、スマートフォン事業の成績について確かなことは言えません。ただし、弊社は例年の新製品発売を続け、新たなフラッグシップ製品を予定通り導入します。つい最近になって、2世代目となるフォルダブル・スマートフォン、Mate X2を発表しました。発売以来、最も引く手あまたとなった製品の一つとなっています。これはつまり、弊社のスマートフォンが市場を牽引していることを意味し、今後もこの立場を維持できることを確信しています。

ファーウェイのコンシューマー事業にとって、スマートフォンはその一部に過ぎません。ご質問にもう少し詳しく答えるのに、ファーウェイのコンシューマー事業計画についてお話します。簡単に言うと、ファーウェイは5つの主要かつ汎用的なアプリケーションシナリオにおいて消費者にシームレスなAIライフの実体験を届けるという、ユーザーセントリックな戦略を採用しています。

この戦略を実現するため、HarmonyOS、HMS、AIなどのいくつかの主要なテクノロジーでの深きに渡るイノベーションに取り組まなければなりません。これこそ弊社が過去数年で取り組んできていることであり、また今後も取り組み続けることになります。これらこそが、弊社のコア・コンピテンシーとなります。

これに加え、サービス・エコシステムをハードウェア・エコシステムに積極的に統合していきます。消費者にとって実現される実体験としては、ユニークなユーザーIDで様々な端末へのアクセスが可能になります。様々な端末間での幅広いサービスを、シームレスかつインテリジェントに体験できるようになります。

コンシューマー事業は、消費者とその実体験に基づくものとなるべきであり、ハードウェアは単にこれを実現するための手段でしかありません。スマートフォンも例外ではなく、この戦略を既に何年も採用してきています。昨年、スマートフォンの販売台数に減少が見られると同時に、その他のハードウェアとサービスに急成長が見られています。これこそ、弊社の戦略に対する自信を深める理由であり、またそれは未来のコンシューマー市場の在り方に沿ったものなのです。

まとめると、スマートフォンは弊社にとって未来志向のコンシューマー戦略の一部ではあるものの、その戦略にとっての全てではないということです。今現在、チャネル・パートナー、サービス・パートナー、その他エコシステム・パートナーなどの弊社パートナーより、この戦略について既に多大な支持を得ています。このコンシューマー戦略をさらに実践していくに当たり、ファーウェイが提供するコンシューマー・セントリックなハードウェア、ソフトウェア、サービスが増えていくものと確信しています。

03 BBC、Gordon Corera氏:去年御社は米国の制裁になんとか対応できましたが、この制裁はすぐには止まず、政権交代後のワシントンの政策は米国と中国の断絶をより深めるものになりそうである点について伺います。長期的に、どのような影響がありますか?そして特に、御社ではチップの在庫を確保していると報道されていますが、中国国内で5Gとスマートフォンの高性能チップを製造できるようになるまでどれくらいかかると思われますか?

Ken Hu:今日この場にお集まりの他の記者の皆さんも、この質問にはご関心がお有りでしょう。こうした地政学的摩擦は、ファーウェイのような企業にどのような影響を与えるのでしょうか。ファーウェイの過去2年に渡る経験を見れば、こうした摩擦は弊社のような多国籍企業にとってグローバルサプライチェーンへの深刻な損害をもたらすのが分かります。

この混乱から利益を得るのは誰なのか、想像も付きません。産業の観点から言えるのは、サプライチェーンの上流、下流にいるすべての関係者が損害を被っています。このグローバルサプライチェーンの断絶の直接的な結果として、昨年ファーウェイの事業収益の一部に減少が見られました。

弊社の上流に位置するサプライヤーが、この摩擦で損害を被っています。周知の通り、ファーウェイは何年にも渡り米国のサプライヤーから毎年100~200億米ドル分の購入を行ってきています。この断絶は、こうした米国のサプライヤーにとって大きな損害となっています。

ファーウェイによる調達が禁止された際、これらの企業は代わりとなる顧客をすぐに見つけられませんでした。もちろん、損失の一部をカバーできる購入者を見つけることはできてはいます。しかし、ファーウェイの事業は消滅してはいません。その調達の大部分は、米国以外の地域のサプライヤーに向けられました。

加えて、米国の制裁の多くは影響力の大きい国家的戦略であり、サプライヤーは米国製の部品の影響を今後の供給能力に対し極小化する必要があります。このように、業界全体に良くない影響があります。

明らかに、ファーウェイは影響をまともに受けた企業の一社であり、一連の成り行きをとても不公平なものであると見ています。しかし、実際は主に米国のサプライヤーである弊社の上流にいるサプライヤーも痛みを感じています。さらに、供給網の最後にいる消費者にも、痛みを伴っています。政治的決断により産業のサプライチェーンにおける非常に多くの関係者に損害をもたらしているのなら、なぜ状況を改善しようとしないのでしょうか?

チップ供給での不当な制裁に対し、過去2年間弊社は部品在庫確保に多額の投資をしました。特に法人に関し、お客様の需要に長期間応えるのに十分な在庫量となっています。チップ供給自体が改善するかどうかについては、グローバルな半導体サプライチェーンでのコラボレーションがどのように復元されるかに依ると思います。

デジタル化は進展を続け、世界はよりチップに依存していくことになるでしょう。多くの分野でこのことが言えます。例えば、自動車向けのチップ供給はここ数ヶ月で品薄になりました。自動車業界全体に膨大な影響を及ぼしています。グローバル化された半導体サプライチェーンは、ある程度世界全体の社会の進展の礎となっているということを言いたいのです。この根本的な問題に対応するため、世界規模でのコラボレーションを検討し直す必要があります。

04 Yicai、Li Na氏:Shi氏に質問です。2018年以降、ファーウェイの営業利益率は減少をたどっており、2018年には10.2%でしたが2019年には9.1%、2020年には8.1%となっています。この減少傾向について、詳しくお話いただけないでしょうか。Ken氏は先程、短期的には外部環境がどうなるかについてまだ明確ではないとおっしゃいました。これに対し、どのように対応していくのでしょうか。

Yanli Shi:弊社を長く知っている方ならお分かりですが、ファーウェイは高い営業利益を追求する企業ではありません。昨年に渡り直面した課題に対応するため、研究開発、そして未来に大きく投資しながらも事業の継続性を維持する必要がありました。Ken氏がちょうど申したように、弊社の研究開発への投資は昨年の収益の約16%に上ります。研究開発への多額の投資戦略は、今後も崩しません。

これに加え、パンデミックへの対応もありました。システマティックな、かつ責任のあるやり方で操業を再開できるように努めてきました。このため、ロジスティクスと管理サービスでのコスト高に繋がりました。こうした理由で、営業利益率の減少が見られるのです。

今後将来への投資を続けるとともに、将来の成長の余地を拡大していきます。同時に、効率の改善に最善を尽くし、運営コストを減らすためデジタルツールを駆使していきます。

05 UAE The National、Alkesh Sharma氏:ファーウェイは、中東地域での事業をどのように捉えていますか?中東市場は伸びているのか、それとも縮小しているのでしょうか。そして、ファーウェイはこれまで中東地域およびグローバルでどれほどの5Gの契約を締結してきていますか?

Ken Hu:ファーウェイは、中東で20年以上に渡り営業しています。今では弊社は、中東地域でのICTインフラストラクチャおよびコンシューマー端末で非常に重要な役割を果たしています。地域のお客様、政府、施政者と非常に良好な関係を築いています。中東地域は、弊社にとって非常に重要な収益源となっています。

例えばUAEでは、ファーウェイはすべての5Gネットワークでのサプライヤーとして重要な位置にあります。実際、3Gネットワークの展開が世界で初めて行われた際、UAEのキャリアであるEtisalatはファーウェイの3G設備を採用した初のお客様となりました。今日、アブダビやドバイ国際空港で飛行機を乗り継ぐ場合、世界最高のネットワークエクスペリエンスが得られるようになっています。

弊社の法人事業では、過去5~10年で非常に大きな進歩を見ています。UAEでは、ファーウェイは多くの企業にサービスを提供しており、パブリッククラウドサービスの提供に関し地域のパートナーと協業しています。特にスマートフォンなどのコンシューマー向け端末は、中東地域では非常によく売れています。ドバイでは、ブルジュ・ハリファにファーウェイスマートフォンの広告が毎晩輝いていたのを思い出します。長期間に渡り広告を掲示し、世界で最もクリエイティブな広告とも言われました。

<中略>

06 Reuters、David Kirton 氏:中国国外で、パンデミックによるものとより広範囲に渡る地政学的要因による収益の減少度合いについてお話しいただけますか?そして、御社はセキュリティ面でも議論となるエリアであるクラウドコンピューティング、AI、デジタル化を推進していることを踏まえ、来年のファーウェイは中国での収益により依存度が高まるのでしょうか?

Ken Hu:1つ目の質問に関しては、地域での利益に影響する要因が何かを言明するのは難しくなります。本当のところ、答えを持ち合わせていません。

2021年の全世界での収益構造に変化があるかについてもご質問いただきました。これを予測するのも、難しいです。中国市場での成績は、良いものとなり続けるでしょう。世界的には、COVID-19の感染拡大が沈静化する中、あらゆる国での需要が回復するものと予測しています。

個人的に、私は2021年の中国国外での収益について楽観視しています。ただし、パンデミックの収束がいつになるかはわからないため、明確な数値は述べられません。

07 Panorama Network、Wang Yanfei 氏:自動車事業での進捗はいかがでしょうか?新しい車両の市場投入はいつになりますか?自動車事業への期待と計画は、どのようなものでしょうか。

Ken Hu:自動車産業は、各分野から多くの注目を集めています。自動車について語る場合、ICT企業を差し置くことはできないでしょう。トレンドがこれを明確に語っています。自動車産業は、他の業界と同じく、デジタル・トランスフォーメーションにおいて重大な分岐点に差し掛かっています。自動車には長い歴史があり、極限まで電子化が進み、インテリジェントなものとなるでしょう。これは決して止められないトレンドであると同時に、ファーウェイはこれを見越してきました。

ファーウェイでは、長い時間をかけてICTの専門技術者を育成してきており、革新を続けています。自動車のデジタル化では、弊社の専門技術者が活躍できる場を非常に多くもたらします。弊社では、インテリジェント・ビークルに対する投資を何年も前に始めています。インテリジェント・ビークルに関する戦略を公表し、インテリジェント・ビークルの新しい構成要素のプロバイダーとして自社を位置づけました。もととなった動機は、未来のインテリジェントな電気自動車の主要エリアのいくつかで用いられる競争力のある製品向けに弊社のICTテクノロジーを活用できることがあります。これには、インテリジェント・ドライビング、インテリジェント・ビークル・クラウドサービス、インテリジェント・コクピット、インテリジェント・コネクティビティ、そしてmPowerが挙げられます。

現時点でも、インテリジェント・ビークルの構成要素プロバイダーとして自社を位置づけています。この位置づけは、明確に規定しています。昨年、弊社はインテリジェント・オートモーティブ事業とコンシューマー事業の投資管理の合理化を決断しました。これにより、2つのメリットが実現しています。

1つ目は、弊社での実績をコンシューマー・エクスペリエンスに適用し、インテリジェント・ビークルの構成要素でのイノベーションを実現することです。

2つ目は、ファーウェイはコンシューマー製品デザイン、特に産業デザインに強みがあることです。ここでの強みが弊社のインテリジェント・オートモーティブ事業での立ち位置をさらに強化し、競争優位性に鋭さをもたせ、そして自動車OEMがより優れた車両を生産することを支援できるようになることを期待しています。

08 Barrett、Lee Barret氏:ファーウェイを前身としたHiSiliconにより、ファーウェイはチップ設計では歴史的に非常に優位にあります。HiSiliconを通して、今でもテクノロジー開発に取り組んでいるのかどうか、またチップ製造参入もしくはチップ製造研究の意思はあるのか、お聞かせください。

Ken Hu:HiSiliconへのご関心、ありがとうございます。HiSilicon部門は非常に安定しており、弊社はイノベーションにおける多くの目標があることから、チームが仕事に専念しています。

チップに関しては、ファーウェイの位置づけはICTシステムおよび設備プロバイダーである、という点を再強調したいと思います。弊社は今でも、グローバルなチップのサプライチェーンに強く依存しています。HiSiliconはこれまで、強力なチップ設計能力を身につけてきており、また世界の半導体産業とも提携しています。弊社としては、半導体産業がさらに発展するには、今後もグローバルでの提携がメインストリームとなり、またそうであるべきだと確信しています。

このことから、オープンであり、かつ協力的なイノベーションへのアプローチを取り続けていきます。各国政府、とくに世界の政治的指導者が半導体サプライチェーンを元通りにし、世界規模での協力体制を更に強化していくことを支援することを期待しています。

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