Thinkings株式会社では、2024年5月29日に東京都中央区のThinkings本社にて「HR領域における『AI活用』最新トレンドと展望の発表会」を開催しました。
ゲストにAI専門メディア「AINOW」の編集長である小澤 健祐氏を迎え、HR領域における生成AIの最新トレンドを解説。人手不足に起因する企業の競争力低下などの問題の解決に向けたAI活用法もご紹介いただきました。今回はこちらのイベントの様子をお届けします!
目次
1. イベント概要
2.講演プログラム
3.小澤 健祐氏:HR領域による「AI活用」の最新トレンドと展望
4.Thinkings CHRO 佐藤 邦彦:sonar ATSが描く、AIを活用した「次世代HRプラットフォーム構想」
5.Thinkings プロダクトマネージャー 後藤 耕大:新機能「AI求人作成アシスト(β)」デモと概要説明
6.まとめ
- イベント概要
- タイトル:HR領域における「AI活用」最新トレンドと展望の発表会- AIは人手不足問題の解決や企業成長のカギとなるのか?sonar ATSが構想する未来
- 開催日:2024年5月29日(水)
- 主催 :Thinkings株式会社
- 会場 :Thinkings本社 東京都中央区日本橋
- 講演プログラム
- はじめに このイベントについて
- Thinkings株式会社ご紹介
- HR領域における「AI活用」の最新トレンドと展望
- sonar ATSが描く、AIを活用した「次世代HRプラットフォーム構想」
- 新機能「AI求人作成アシスタント(β)」について
- 質疑応答
- 閉会のご挨拶
- 小澤 健祐氏:HR領域における「AI活用」の最新トレンドと展望
本イベントの前半は、企業のAI活用が進まない現状や背景をはじめ、今後の未来感など小澤氏による講演が行われました。
プロフィール
AI専門メディアAINOW
編集長 小澤 健祐(おざわ けんすけ)
「人間とAIが共存する社会をつくる」がビジョン。
ディップが運営するAI専門メディア AINOW編集長を務める。
一般社団法人生成AI活用普及協会 協議員。書籍「生成AI導入の教科書」。
1000本以上のAI関連記事を執筆。その他、AI領域で幅広く活動。AIベンチャー Carnotの事業戦略や生成AI教育事業を展開するCynthialyの顧問、日本最大のAI活用コミュニティ「SHIFT AI」のモデレーター&パートナーインフルエンサー、ディップの生成AI活用推進プロジェクト「dip AI Force」の推進も務める。
AIに関するトークセッションのモデレーターや登壇も多数。
- 企業のAI活用が進んでいない現状とその背景
小澤氏:現在、日本で生成AIを導入済みの企業は、いずれの統計でも10%程度です。しかし、生成AIを導入している企業でも、実際の活用率はせいぜい20~30%程度で、活用が進んでいないのが現状といえます。
生成AIは、開発段階で膨大なデータを学習した1つのモデルを作り、その入力をもとによりよい出力を推定してくれるシステムで、本来はコンテンツ生成に特化したAIです。ところが、ChatGPTの賢さから、生成AIを対話型で答えを教えてくれるチャットボットだと、多くの人が間違って認識してしまっています。そのため検索ツールの延長線としての使い方に留まっており、HR領域でも生成AI活用が進んでいないのが現状なのです。
一方で、生成AIを活用しやすい環境は整っています。これまで、AI導入にはプロジェクトを組み、数千万円の予算をかける必要がありました。しかし、いまは技術革新により簡単に生成AIを使えるようになりました。ですから、今後は部署単位で生成AIを導入し、活用しながら付加価値を高めていくことが求められます。
HR領域で生成AIを活用するには、デジタルデータ活用が重要です。これをDXと掛け合わせて考えてみましょう。
まずDXには「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」の2つの要素があります。「デジタイゼーション」はアナログなデータをデジタル化するプロセスを指します。一方、デジタルデータを活用して新たな付加価値を生み出そうというのが「デジタライゼーション」です。そうしたなか、生成AIはデジタライゼーションに大きなインパクトをもたらす技術といえるでしょう。
既存業務が適正なフローのなかでデジタルデータとして処理されているのであれば、生成AIの活用が可能です。
ところが、そもそも多くの会社では部署ごとに使っているチャットサービスが違うなど、ツールの統一やデータベースの連携ができておらず、デジタルデータが整備されていないことで、生成AIの活用に至らないという背景があります。
講演中の小澤氏
- デジタルデータと生成AIの活用で、よりよいアプローチを実現
小澤氏:いままでは、デジタルデータ活用といってもCSVのような特定の形式でコンピュータが処理しやすい情報しか処理できず、簡単な予測や意思決定にしか活用できませんでした。ところが、デジタルデータを生成AIと掛け合わせると、たとえば候補者の職務経験のような、いままで見ることができなかった非構造化データを見ることが可能になります。
つまり、生成AIをDXのなかに入れると、いままで扱うことができなかった画像から音声、テキストまで、幅広い情報を扱うことができるようになる。これがまさにHR領域へのインパクトといえます。
近年、HR領域ではさまざまなチャネルを活用した採用広報が流行っています。こうした状況下こそ、デジタルデータを貯めながら、sonar ATSのような管理システムでフローを管理することで、よりよいアプローチへと変えていく必要があると思います。
- 生成AI活用で候補者へ「ものすごいラブコール」も送れるように
小澤氏:採用のスカウトサービスでは、候補者に定型文を送っているケースがあると思います。これを、生成AIが活用できる環境を整えることによって「本当にあなたに適した仕事ですよ!」というような、ものすごいラブコールが送信できるようになります。
HR領域での生成AI活用の具体例として、求人情報『バイトル』は対話型アルバイト探しサービス「dip AIエージェント」を運営しています。アルバイトを探している人が、たとえば「人と話せる仕事」というようなやりたい仕事の内容を入力すると、適切な求人情報の候補をAIが選んで表示してくれるのです。
このシステムの特徴は、現場の営業マンがユニフォームの可愛いさや店長の人柄といった、アナログな一次情報をすべてデータ登録していることにあります。ここに生成AIを掛け合わせることで、より求職者にマッチした求人情報の候補を出せるという付加価値につながっているのです。
- Thinkings CHRO 佐藤 邦彦:sonar ATSが描く、AIを活用した「次世代HRプラットフォーム構想」
本イベントの後半は、Thinkings株式会社執行役員CHROの佐藤によるAIを活用したsonar ATSの「次世代HRプラットフォーム」の解説です。
プロフィール
Thinkings株式会社
執行役員CHRO 佐藤 邦彦(さとう くにひこ)
1999年東京理科大学理工学部卒業後、アクセンチュア入社。
2003年にアイ・エム・ジェイに転職し、事業会社人事としてのキャリアをスタート。
2011年以降、さまざまな事業会社の人事を歴任し、2020年4月よりリクルートワークス研究所に参画。2022年8月まで『Works』編集長を務める。2022年10月にThinkings株式会社執行役員CHROに就任。人事経験20年。
出身:東京 家族:妻と子ども2人(典型的な共働き4人家族)
趣味:マラソン(停滞)、ゴルフ(停滞)、登山(発展途上)、YouTubeサーフィン
- 採用の最適化を実現する「次世代HRプラットフォーム」構想とは
佐藤:私たちが提唱する「次世代HRプラットフォーム」とは、デジタリゼーション的な業務効率化だけではなく、もう一歩踏み込んだ「採用の最適化」を実現するプラットフォームです。採用の最適化とは、戦略立案や応募、選考といった企業・候補者にとっての採用体験の質向上のことをいいます。
この構想の背景には、人材不足の問題があります。2040年には約1,100万人の労働力不足になるという試算が出ており、経営課題として人材不足は避けて通れません。さらに売り手市場の進行や価値観の多様化も相まって、採用の難易度が上がっています。こうした状況で、私たちは採用管理だけではなく、AIを活用したプラットフォームとして、経営の課題解決に貢献していく必要があると考えました。
- 採用環境が年々難化するなか、採用課題をAIがアシストする世界を実現
佐藤:上の図は、企業の採用環境の変化予測とsonar ATSの次世代HRプラットフォーム構想の将来像です。
現在も、すでに人手不足などの影響があり、大企業ですら人材獲得に苦戦している状況です。こうしたなか、積極的にAIを活用している企業では、特定の業務をAIによる支援、代替を進めています。
たとえば、書類選考やエントリーシート評価の精度向上や、求人票作成の効率化です。
また1、2年後には、人手不足がさらに深刻化するため、AIによる個別最適化を実現します。候補者のステータスや特性、志向性を踏まえて、採用フローを変えるといったことが、AIで代替できるフェーズにまで進めることを考えています。
さらに2、3年後には、人事のリソース不足もさらに深刻化することが予想され、現場の業務でのAI活用もさらに進化するでしょう。候補者と面接官とのマッチングの自動化や、内定承諾後のフォロー、入社後のオンボーディングプランなど、いまは一律で行っているものを、相手に合わせてパターンを変えることもできるかもしれません。
そして3年以降は、採用の複雑化・多様化はさらに進みます。そのような状況では、採用目標に沿った採用計画や実行支援のパターン化、求人を掲載する媒体選定といった部分にもAIが踏み込み、HRビジネスのBPR化(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)が進行するでしょう。
当社では、さらに開発力を高めて、このようなHRプラットフォーム構想を実現させ、この採用難の時代を乗り切っていくことに、寄与していきたいと考えています。
※AIを活用して候補者とのマッチング精度向上と選考業務を効率化「sonar AI」:https://hr.sonar-ats.jp/report_ai_assistant-ai
- Thinkings プロダクトマネージャー 後藤 耕大:新機能「AI求人作成アシスト(β)」について
本イベントの終盤には、Thinkingsでプロダクトマネジメントを担当する後藤による2024年4月にリリースされた「AI求人アシスタント(β)」のデモと概要説明がありました。
プロフィール
Thinkings株式会社
Product Management Team 後藤 耕大(ごとう こうだい)
ものづくりが好きで、学生時代は独学でサイト制作に熱中。
新卒で地元・九州から上京し、制作会社に入社、webデザイナーやフロントエンジニアとして、WEBサイト制作を担当。
その後、デジタル系広告代理店にて大手企業のデジタルサービスのUXコンサルティングや、マーケティング領域のDXプロジェクトに従事し、2022年にThinkingsにジョイン。
現在は、プロダクトマネジメントチームのマネージャーを担う。3歳と0歳の娘たちに翻弄される日々。
後藤:求人票の作成は、採用の基本的かつ重要な業務です。しかし、多くの採用担当者が求人票作成に課題を感じていると分かりました。こうした課題を解決したいというのが新機能開発に至った背景です。
そこで、sonar ATSにAI機能を標準的に装備することにしました。それにより人材要件や人物像、求人票のパターンをAIに提案させたり、人材要件や人物像のたたき案を作成したり、といったお客さまの業務効率化や質的な向上を支援していきます。
- AI求人作成アシスタント(β)のデモンストレーション
使い方としては、まず採用したい職種やその背景を簡単に入力します。すると提案要件が出てきます。それをさらに修正依頼するといったやり取りを通じて、人材要件の解像度を上げていったり、ターゲットのイメージを膨らませたりすることができます。
このような形で人材要件を固めた後、実際の人物像を作成します。次に、これまでの職歴や性格、趣味といったペルソナ情報の叩きが出力されてきます。それをもとに、人事と事業部側との間で採用したい人材のイメージを合わせることが可能です。人材要件と人物像を作った後、これまでの情報をもとに求人票を作成してくれます。
※採用管理システムsonar ATS、「AI求人作成アシスタント(β)」をリリース
https://hr.sonar-ats.jp/report_ai_assistant
- まとめ
本イベントでは、HR領域におけるAI活用の現状と将来の展望について、具体例を交えて解説が行われました。小澤氏の講演では、企業が生成AIを活用する上でのポイントについて解説。
続く佐藤による講演では、AIを活用した「次世代HRプラットフォーム」構想をご紹介しました。HR領域における生成AIの活用は、業務効率化だけでなく、採用活動全体の最適化を目指すものであり、将来の採用環境を見据えた取り組みといえるでしょう。
さらに、sonar ATSの新機能「AI求人作成アシスタント(β)」がどのように求人票作成を支援し、採用担当者の負担を軽減するか、実演しました。
今後、採用環境はますます難化することが予想されます。そうしたなか、企業が直面する採用課題を解決するために、生成AIが重要な役割を果たすことが期待されます。Thinkingsでは、今後もAIを活用したソリューションを提供し、企業の採用活動を支援してまいります。
左:Thinkings 後藤、中央:AINOW 小澤氏、右:Thinkings CHRO 佐藤
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