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STORY 4年で登録口座数1,000万超え。「ゆうちょ通帳アプリ」がユーザーに支持される理由

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4年で登録口座数1,000万超え。「ゆうちょ通帳アプリ」がユーザーに支持される理由

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「ゆうちょ通帳アプリ」は、ゆうちょ銀行の口座利用者がスマートフォンでいつでも残高や明細などを確認できるアプリ。フォーデジットが体験設計からフロントエンドまでデザインを手掛けました。2020年2月のアプリリリース後も「シンプル」で「使いやすい」を追求し続け、ユーザーに向き合いながら機能追加を続けています。今回はゆうちょ銀行とフォーデジットのプロジェクトメンバーに、リリース後の取り組みや今後の展望について話を聞きました。




金元 達哉 - Tatsuya KANAMOTO

ゆうちょ銀行

営業部門 デジタルサービス事業部

グループリーダー




冨樫 亮平 – Ryohei TOGASHI

ゆうちょ銀行

営業部門 デジタルサービス事業部

マネジャー



新田 望 – Nozomu NITTA

フォーデジット

執行役員



リリース直後の体制変化と機能追加の変遷


新田:

2020年2月にリリースした「ゆうちょ通帳アプリ」は、リリース後も機能追加を続けてきていて、金元さんはリリース直後に、冨樫さんは2022年4月にジョインしたんですよね。


金元:

そうですね。2022年の1月から3月にかけて最初の大規模なアップデートをしたのですが、私はその検討のところから入りました。で、ユーザー数も伸びてきて、社内でもアプリの存在感が大きくなり、追加でメンバーをアサインしようとなった時に頭に浮かんで声をかけたのが冨樫でした。


冨樫:

自分自身、ジョインする前から便利なアプリだったので使っていたんです。だから「担当できるなんてラッキーだな」と思っていました。


新田:

振り返ると、リリース後はまずは基本的なバンキング機能を整えて、より便利に使ってもらおうと機能追加をしてきました。2022年の3月までに投資信託、送金機能を追加、その後はATM入出金やQRコードによる納付機能、家計簿アプリへのリンク追加、「ことら送金」機能など、世にあるバンキングサービスが一通り追加されて、今やっとひと段落したところ…という感じですね。



金元:

基本的にはこちらから追加したい機能をオーダーし、ユーザーインタビューを踏まえて、使い勝手を考えたご提案していただくという流れを繰り返してきました。


新田:

あらたまった提案というよりは、一緒にディスカッションして方向性を決め、それを可視化していくような感じで進めていきましたよね。


金元:

こちらとしては色々アイデアを出していただけるのでありがたかったですね。


新田:

正直なところ、リリースした後にプロジェクトメンバーが変わってしまって、新しいメンバーのみなさんにそれまでの取り組み方やサービスコンセプトへの想いなどを受け入れてもらえるのかという部分についてはちょっと不安はありましたが、みなさんユーザー視点でのマインドを持って入ってきて頂いたので、変わらずオープンなディスカッションができたのはすごくやりやすかったです。



冨樫:

おかげさまで一通りの機能は揃ってきたので、昨年の9月くらいからはユーザーインタビューをもとにUI/UXの改善や、「もっとこういうことができたらいいよね」という機能追加を検討するフェーズに入りました。


金元:

スタート時から思っていたのは、デザインそのものがごちゃごちゃしていなくて、シンプル。入り口が明確で分かりやすいので、どこを見ればやりたいことができるかがユーザーにストレートに伝わっていると思っています。


新田:

最初に定義した、ユーザーを意識してわかりやすくシンプルであること、というベースは変えずに、ユーザーテストを繰り返しながら機能を追加してきました。


金元:

初期段階からスーパーアプリ的な作りにしていくかどうかの議論も出ました。でもそうなると表示する機能や接続するサービスが増え、どうしても複雑になります。「ユーザーが本当に使いやすいのか」を常に考えていたので、それだけは避けたかったんですよ。


新田:

アプリ開発にはつきものの「ビジネス面を考えるとやりたいけど、ユーザー的にはシンプルな方がいい」というジレンマが社内にもあったということですよね。


金元:

はい。ただ、自分たちの「これを使ってほしい」を押し売りしたいわけではないし、その思いを作る側の認識としてきちんと持っていたいとは思っていました。シンプルかつユーザーがどう使いたいのかを常に念頭に置いてきたことで、結果として他の金融機関さんのものとは少し違うアプリになったのかな、とは思っています。


なぜ登録数1,000万超えという圧倒的な数字を実現できたのか


冨樫:

今年の2月には登録口座数がついに1,000万を突破しました。こうしたユーザーからの支持だけでなく、2020年にはグッドデザイン賞を、2024年にはトップパブリッシャー賞をいただくことができました。


新田:

1,000万という数字が、アプリダウンロード数ではなくて登録口座数というのが圧倒的ですよね。


冨樫:

登録数が大きく伸びたのは、2022年1月に基本的な機能を実装した後でした。やはり機能が増えて便利になったというのが大きかったと思います。



金元:

バンキングアプリは若年層の獲得には苦労するとよく言われるのですが、我々のアプリは20代が伸びてきていて、なおかつ40〜50代のユーザーも多い。高齢の方はあまり多くないですが、ゆうちょ銀行の口座を使っていただいている方は高齢者も多いので、将来的にはそういう方々にも使ってもらえるものにはしていきたいと考えています。



冨樫:

月1回は起動して触ってくれているアクティブユーザーの割合はずっと70%を超えていて、使っていただいている機能を見ると、残高と入出金の明細を確認しているユーザーがほとんどです。これは本当に使いたい機能への導線づくりができているのだと思っています。


新田:

「日常接点を目的にアプリケーションを作る」というのはいろんな会社が考えていると思いますが、ここまでアクティブ率が高いアプリはあまり聞いたことがないですね。


冨樫:

グッドデザイン賞の評価では、「あらゆる世代にとってやさしいデザインとシンプルな操作性」を評価していただいています。


新田:

まずは求められているものをきちんと提供し、その結果として数字がついてきて、さらに改善を考える余裕が生まれているという、すごく理想的な成長スパイラルができていますよね。「シンプル」を維持したことでユーザーから支持されて、その結果が1,000万口座という数字になったんだろうと思います。


冨樫:

リリース時は基本的な機能だけでちょうどホーム画面に収まるくらいでしたが、機能を増やしていこうとすると、どうしても重たくなっていきます。新しい機能を考える時に画面がビジーにならないようなUIをうまく考えていただけているので、リリースからのコンセプトを維持しやすく、とても助かっています。



新田:

このチームでは「シンプル」という軸を共通認識にできているからこそ、追加で「これがやりたい」という意見があった時に、それをどう崩さずに実現させるかは、やはり難しいし苦労するところ。ただ、そういう時でも基本的にユーザーの声を聞くのが僕らのスタイル。「この機能はどこに入れるといいのか」「本当に使うのか」、そういうところを聞きながら作れていると思っています。


金元:

20代にタッチできているというのも、やっぱりデザインの力がすごく大きい。


冨樫:

つねにユーザーを意識して検討していた結果ですよね。ユーザーが増えてきたからといって、機能を増やしてデザインもガラッと変えたりするのは、既存のユーザーにも影響が出ますし、やりたいとは思っていません。ユーザーの声をきちんと聞きながら、自分たちのやりたいようにやらせてもらっているので、僕らもすごく楽しいですし、手応えを感じています。


「シンプル」で「使いやすい」を追求し、2,500万口座を目指す


新田:

さて、機能も増えて、やりたいこともいろいろとできるようになってきて、「次はどうするか」ですよね。使いやすさを優先し余計なものを排除してきた結果の1,000万口座という数字なので、機能を増やしつつも、その「シンプル」をどう維持するかが一番の悩みどころだと思っています。


金元:

基本的にはニーズのほとんどが「残高を見たい」なので、そこを複雑にする必要はないですよね。そのほかの手続きについては、ほとんどの人がやりたいからやるわけではなく、どちらかというとやらなきゃいけない、ストレスの時間。なので、さっと終わるようにシンプルにしてあげたいですよね。「シンプルがいい」というのはそういうことでもあるので、それはこれからもブレずに続けていきたいです。ただ、シンプルがゆえにアプリ内でやりたいことがすぐに終わってしまい、メニューを認知していないという現状もあるので、そのあたりは工夫が必要だと思っています。


新田:

ベースは崩さずに、遊び心も大事にしていきたいですよね。


冨樫:

遊び心といえば、「猫」。いいですよね(笑)


新田:

あれは「招き猫」で、ゆうちょ銀行を猫のように日常に近いところにあるものとして表したんです。銀行アプリだとどうしても堅くて小難しいような印象を持たれるので、どこに行ってもゆうちょ銀行が身近にあるように、アプリに対しても身近に感じてもらい、ちょっとずつお金が貯まっていくような印象を持ってもらいたいという思いで招き猫となりました。



冨樫:

そうだったんですね。実際に「癒される」という声もありますからね。


金元:

「残高を見て終わり」というのも楽しくないので、シンプルな中に少しでも楽しんでもらえる要素は今後も入れていきたいですよね。例えば、ユーザーの声の中に「金融の話を聞きたい」というものがあったりもするので、そういう情報発信や勉強できるような仕組みも考えていければ。


冨樫:

そういった新しい仕掛けをする時に、ユーザーインタビューという定期的に直接声を聞ける機会があるのはすごく貴重です。


金元:

何千と集計するアンケート調査ももちろん役立ちますが、自分で聞いた生の声というのは意外と残るんですよね。


新田:

相手の顔が浮かんで、声のトーンや温度感もイメージできる状態で脳にインプットされるからすごく残りますね。


冨樫:

「本当に嫌なんだな」とか「気に入っているんだな」とか、分かりますもんね。



新田:

ちなみに、掲げられている目標はありますか?


金元:

2028年度末に向けて2,500万口座、としています。夢のある数字ですが、だからといって目線は変えたくないですね。単純に数が多ければいいという話ではなくて、「本当に使いたい」と思っている人を集めたいですし、引き続きアクティブユーザーを大事にしたいです。


冨樫:

そのための中身としては、認証機能の追加や他のアプリとの連携といったことは考えていきたいですね。ユーザーにとっても便利な機能だと思いますので。


新田:

今後何が追加されても、「シンプル」で「使いやすい」を目指していくことは変わりありません。あとは、先ほど金元さんがおっしゃったように、面倒な手続きをシンプルにしてあげることと、ちょっと面倒だけどやっておいた方がいいこと、これらのバランスを崩さないようにしながら、求められているものをシンプルかつ適切な状態で提供し続けていきたいと思っています。



編集・執筆:glassy&co. 

撮影:吉田周平




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