株式会社FaroStar(ファーロスター)は、最先端技術で次世代モビリティが「ぶつかれない世界」を実現するために、代表の星尚男によって2019年に設立されました。現在、災害時やエンターテイメントでの利用が進み、物資輸送も試行されているドローンや、万博でのお披露目を計画している空飛ぶクルマ等、次世代モビリティの開発が進んでいます。我々は、それら次世代モビリティの運用に必要な情報・技術を蓄積しつつ、飛行禁止空域での飛行や他の航空機とのニアミスなど重大事故につながるインシデントの発生を最小化することを目指し、次世代モビリティとその周囲の環境の安全を保ちながら、より効率的に運用するための仕組み作りを推進しています。
今回のストーリーでは、その中核となる「都市交通自動管制システム(UMTCs)」のご紹介とともに、物流2024年問題を解決する手段の1つとなり得る「空飛ぶ船」の魅力についてお伝えします。
「ぶつかれない世界」を実現する「都市交通自動管制システム(UMTCs)」
次世代モビリティは、ドローン、空飛ぶクルマ、自動運転タクシー、自律型ロボット、そして現在ファーロスターで開発中の「空飛ぶ船(WISE)」など、今後も続々と登場してくると思われます。次世代モビリティの多くは無人で自動運転となっています。現状では、それぞれの次世代モビリティが稼働する空間が離れているため、交わる可能性が少なく、モビリティの持つ個々の制御機能やルート管理機能で運用することが可能です。しかし、今後次世代モビリティが増え、交差する可能性が高まると、個々だけでなく、全体としてのコントロールが必要となります。事業者や機体、速度が異なるモビリティを一元管理し、「ぶつかれない世界」を実現するのが、ファーロスターが開発した「都市交通自動管制システム(UMTCs)」(特許 第7195626号、特許 第7215739号)です。
次世代モビリティの「ぶつかれない世界」を実現するソリューション
都市交通自動管制システム「UMTCs」って?
UMTCsとは、Urban Mobility Traffic Control Systemsの略であり、高度200m以下で運用される次世代航空モビリティ、海洋モビリティ及び先進安全自動車などのUrban Mobility(都市交通)に対し、ファーロスターの東京HQにあるUMTCsの管制センターがリアルタイムに各モビリティの位置情報を取得し、複数のモビリティを自動的に交通管制するシステムのことを称しています。航空モビリティはドローン等の「無人航空機」、海洋モビリティは「無人船舶」やファーロスターが開発中の「無人表面効果翼船」が管制の対象となります。
異なるモビリティ同士の衝突回避が管理可能なUMTCs
UMTCs(都市交通自動管制システム)は、次世代航空モビリティの場合、同じ空域を飛行する飛行体を検知する「Guardian Shield」と呼ばれるファーロスターが開発したシステムによって飛行体の情報を取得し、AURORAと呼ばれる衝突回避自動管制技術が飛行体を常時モニターしており、「衝突の可能性あり」とAURORAが判断すると、次世代モビリティを安全な位置に移動させる指示を発出するシステムです。AURORA(Automatically Remote Operation Resolution Advisory System)は、AIアルゴリズムであり、Guardian Shieldからの情報を常にモニターしています。「衝突の可能性あり/なし」の判定をAURORAはUMTCsへ自動で通知します。通知を受信したUMTCsは回避行動の指示をモビリティに対して発出し、安全な位置へ移動させます。その後「衝突の可能性なし」とAURORAが判断したら、基のコースへ戻す指示を発出することで、モビリティ同士の衝突を回避することが可能となります。
このような衝突回避を所有者が異なる(事業者が異なる)モビリティ間でも管理することが可能なのが、弊社のUMTCsとなります。
UMTCsによる次世代モビリティ衝突回避の仕組み(イメージ図)
UMTCsの可能性と必要性
今後、利用が確実に増え、航空・海洋モビリティの運航が多くなるにつれて、モビリティ同士の衝突の危険性が増えると予想されます。人口減少も急激に進んでいるため、「運転手」が操作するモビリティは限界があり、無人化が進むと考えられます。それぞれのモビリティには衝突回避機能が付けられることになりますが、センサーや電子機器のトラブルによる障害物検知の遅れも想定されます。そのため次世代モビリティを監視し、衝突するリスクをできるだけ削減する管制が必要であると考えています。特に、個々の事業者が設定したルートは各事業者のみが認識しており、そのルート上を他の事業者が通過するか否かはわからない状況でモビリティを運航させることは非常に危険です。次世代モビリティ運航全体を俯瞰し、管理できる仕組みが必要と考えます。ファーロスターのUMTCsによる管制は自動で行われ、人の判断によるミス等のリスクを減らすことを目指しています。
国内で唯一「空飛ぶ船」の開発に着手。背景にある世界の技術進歩と発展とは
ファーロスターが開発中の「空飛ぶ(WISE-UV)」実証試験機イメージ
UMTCsで管制する1つのモビリティとして「表面効果翼船」があります。現状、ファーロスターは国内で唯一、その商用利用開発を進めています。(注:ファーロスター調べ)
表面効果翼船(Wing In Surface Effect Ship、略称:WISES)自体は新しいものではなく、過去に作られた経緯があります。その起源は第二次世界大戦直前のスカンディナヴィアに遡ります。その後、1960年代に旧ソ連のロスチスラフ・アレクセーエフとドイツのアレクサンダー・リピッシュがそれぞれ異なるタイプの表面効果翼船を開発しました。ロスチスラフ・アレクセーエフは水中翼船の研究所を主導し、そのプロジェクトは最終的に「カスピ海の怪物」と呼ばれたエクラノプランとして結実しました。一方、リピッシュはアメリカのコリンズ・ラジオ社から高速艇製造の依頼を受け、表面効果翼船としてX-112を開発しました。しかし、それ以降、商用化されることなく、現在に至っています。
しかし、近年、小型の表面効果翼船の開発が進行し始めました。そのコンセプトは多様で、シンガポールのST Engineeringが開発している8人乗りデルタ翼機AirFish-8や、アメリカのスタートアップREGENTが開発しているSeaglider(乗客12名、乗員+2名)などがあります。また、Defense Advanced Research Projects Agency(DARPA:米国総務省国防高等研究計画局)は昨年、Liberty Lifter Seaplane Wing-in-Ground Effectの実物大デモンストレーターの設計を開始することを発表しました。
現在、再び開発が検討されるようになってきたのは、様々な要素技術の進歩があったからと言えます。機体に使用できる新しい材料の開発や、安価で高性能なセンサー関連の発展は非常に重要なポイントになっています。また、これまで利用されていたエンジン機関ではなく、電動推進のパワーアップも開発を進めやすくしています。電動推進はCO2削減問題からも注目されています。
これらの要素技術の進歩を具体化するために、ファーロスターでは「空飛ぶ船(WISE-UV)」の開発を進めています。
物流2024年問題の解決策。人類に新しい“交通手段”を提示し、再配達ゼロへ
ファーロスターは、表面効果翼船の開発を通じて、新しい交通手段を人類に提供することを目指しています。
特に初期の段階では物資輸送手段としての利用を想定しており、「物流2024年問題」におけるモーダルシフトの1つの手段として利用されることを考えています。
現在の開発プロジェクトでは、時速300kmで飛行する目標を設定しており、これにより東京から宮崎までを約4時間で移動できると計算されています。これにより、利用者の利便性を損なうことなく、長距離輸送の負担を軽減できると考えています。
この「空飛ぶ船(WISE-UV)」もUMTCsによって管理され、他の次世代モビリティとの衝突を回避することが可能となります。
ファーロスターは、次世代モビリティ関連のソリューション提供を通じて、「次世代モビリティで宅配の再配達をゼロにする」という目標を掲げています。長距離輸送を含む輸送手段の1つとして「空飛ぶ船(WISE-UV)」を用いた物流問題解決の1つの手段を提供します。その空飛ぶ船を含め、物流ラストワンマイルで利用が進むと予測されるドローンや、ファーロスターが開発している自律型配送ロボットの管理をUMTCs(都市交通自動管制システム)で行います。さらにファーロスターが開発を進めているドローンポート付き宅配ボックスを組み合わせて、安全かつ安心に物資を届ける仕組み作りを進めています。またそれぞれのリアルタイムの位置情報をユーザに提供することで、再配達をゼロにしたいと考えます。
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