世の中には「ニッチトップ」と呼ばれる、専門的な分野で高いシェアを占め、業界をけん引するリーディング企業があります。事故車修理費見積りシステム「コグニセブン」を全国の自動車ディーラーや自動車修理工場に展開するコグニビジョンも、典型的なニッチトップです。コグニセブンを使えば、システム上で簡単かつ迅速に見積金額を算出できます。損害保険会社と自動車ディーラー、自動車修理工場の間の金額交渉もスムーズに行うことが可能で、使い勝手の良さから、全国の工場で導入が進み、多くの顧客から支持されています。
同システムは、ドイツで開発された「アウダテックスシステム」を参考に、1974年に日本の環境に合わせて独自に開発したシステムが源流となっています。以後、およそ半世紀を経て、業界ではトップクラスの販売実績を誇るシステムにまで成長を遂げているのです。
そうした中、コグニビジョンが数年前から着手したのが、この事故車修理費見積りシステムを、先端技術を取り入れながら、大幅に刷新するプロジェクトです。メンバーの一員としてプロジェクトを担うのは、2018年に設立されたデジタル推進部にキャリア入社として加入した、篠原(しのはら、2022年3月入社)と、藤原(ふじわら、2021年11月入社)。チーム力を生かした開発を重視するコグニビジョンが、新たな戦力として加わった2人と共に、どのように開発を推進していったのでしょうか。新たなシステムを構築するメンバーたちの挑戦とエンジニアとして得難い経験ややりがいを、篠原と藤原の視点を通じてお届けします。
〈プロフィール〉
篠原(しのはら)(写真左)
コグニビジョン株式会社 デジタル推進部
新卒で自社パッケージ開発会社に入社し、その後システム会社に転職して大手アパレルの販売予測システムの開発に従事。2022年3月、再度転職し、コグニビジョンに入社。デジタル推進部に所属し、現行のコグニセブンの大幅リニューアルに参画し、要件定義やベンダーコントロールを行っている。趣味はサウナ通いと映画館での映画鑑賞。
藤原(ふじわら)(写真右)
コグニビジョン株式会社 デジタル推進部
前職ではウェブアプリ開発を中心に、設計、実装、テスト工程を経験。2021年11月、コグニビジョンにキャリア入社し、次世代システムの開発に携わる。担当工程は設計、コーディング、テスト。学生の頃から吹奏楽をたしなみ、今でも休日はトロンボーンを吹いて過ごす。
責任重大な案件であることがモチベーション。“まねできないもの”を作ることもやりがいに
コグニビジョンが提供する事故車修理費見積りシステムは、およそ半世紀前に販売を開始した業界のパイオニア的な製品であり、現在までの間少しずつ機能を付け足すなどの改良を重ね、全国の自動車ディーラーや自動車修理工場の業務に貢献してきました。しかし、そうして改良に改良を重ねた結果、システム構成が複雑化し、ユーザーのニーズを捉えて迅速に機能を追加したり、改修したりするなど臨機応変に対応することが困難になっているのが現状です。
そこで、既存の機能を使い続けられるようにしながら、ユーザーの要望にしたがって、新しい機能の追加や変更を円滑に行えるように、システムの中身をほぼすべて作り変える業務を、チームのメンバーとして担っているのが篠原です。「システムのアーキテクチャを設計し直し、システム構成もプログラミング言語も、データ形式もほぼすべてを入れ替える大幅なアップデートとなります。同時に、ユニバーサルデザインのUI(ユーザーインターフェース)も新たに導入します。コグニセブンの画面の見た目も大きく変わり、ユーザーがシステムに熟練していなくても、直感的に操作して見積り作業ができるように、大きく進化するのが今回のアップデートです」と、篠原は話します。
一方、藤原がメンバーとして所属するチームが担当するのが、コグニセブンの次世代システムの開発です。従来のシステムとはコンセプトが全く異なるものであり、事故車の損傷部分を撮影した写真をシステムに取り込み、簡単な操作をするだけで概算的な見積りが作成できます。「この次世代システムを使えば、見積りの経験が全くない初心者でも、業務を行うことが可能です。篠原が担当するアップデートするコグニセブンと、私が担当する次世代システムは連係しており、2つのシステムを統合的に運用することによって、見積り作業のさらなる簡素化とスピード化を実現することができます」と、藤原は言います。
では、こうした新規開発に携わる魅力はどこにあるのでしょうか。大幅アップデートを担う篠原が言及するのは、「全国の数多くのユーザーが使っており、影響範囲も売り上げも大きい製品に関して、仕様の決定を自分自身が行えること」です。「これだけユーザーが多い製品の仕様を変えることは責任重大です。確かにプレッシャーは感じますが、うまくできた時の達成感も大きいと思います。その重要なポジションを任せてもらえることこそがモチベーションにつながっています」(篠原)
また、藤原は、「世の中にまねできる製品がないものを作れること」と話します。「前職ではカレンダーアプリなど他社でも作成できる製品の開発がメインでした。それに対し、コグニビジョンで携わっている次世代システムはどの会社も開発をしたことがない、未知の新製品です。つまり、見本はないですし、すぐには正解も見い出せません。しかし、それこそがやりがいです。どうするのがいいのか、何がユーザーにとって最適なのか、一つひとつ悩みながら自分たちで考えて、未来の扉を開いていけるエンジニア冥利に尽きる仕事だと感じています」(藤原)
ユーザーにとって「本当に必要だから作っている」実感。仲間と一緒にモノづくりをしたいという熱い思いから加入
現在、コグニビジョンでやりがいのある仕事に携わっている2人ですが、キャリア入社する前の前職では、いずれもエンジニアにとってはありがちな課題に直面していました。それが転職を決断し、新たな活躍の場としてコグニビジョンを選ぶ理由にもなっています。
篠原の場合、前職では大規模なシステムの開発を担当していましたが、自身に裁量権がなく、要件定義にしたがって設計を行って実装する日々を送っていました。ただし、そうやって作った機能が現場のユーザーにあまり利用されないこともあり、忸怩たる思いがあったと語ります。「その点、コグニビジョンでは、メンバーである私でも一定の裁量権を与えられ、自分の判断で要件定義に必要な事項を盛り込むことができます。もちろん、社内の有識者にヒアリングを重ねた上で判断を行いますが、『ユーザーにとって本当に必要だから作っている』という実感が持てることが前職とは明らかに異なる優位点です」(篠原)
一方、藤原は、前職ではウェブアプリを開発する機会が多かったのですが、受託開発を請け負う体制の中、下流工程でそれぞれがタスクを与えられ、各自が一人で黙々とプログラミング作業とテストを行うケースが大半だったと言います。「自分としては、仲間と一緒に考えながらものづくりがやりたいという熱い思いを胸に秘め、それを実現するのはシステムを自社開発する事業会社だと考えました。転職エージェント経由で探したところ、条件に合う会社がコグニビジョンだったのです」(藤原)。
入社して驚いたのは組織が非常に“フラット”であること。皆でものづくりをする雰囲気と互助精神が根付く職場
そんな藤原がキャリア入社、チームに合流してまず驚いたのが、組織の関係性が非常にフラットだったことです。「当初、私が問題点に気づいて『こうした方がいいのでは』と何気なく上司にいうと、『確かにそうだね、そうしよう』と即座に採用されたことは衝撃的でした。一般的に加入したばかりの部下の意見を尊重して取り入れる組織はあまりないと思い込んでいたからです。チーム内では、他の若手メンバーも『こういう打ち合わせが必要ではないか』『この資料は不要ではないか』などと次々提案しており、それが改善につながる意見であれば、積極的に採用しようという雰囲気が当たり前のようにあります」(藤原)
そうした風通しの良い組織のため、構築するシステムに対しても議論百出します。そして、この光景を待ち望んでいたのが、藤原でした。「これこそ、まさに私が求めていた『皆で一緒にものづくりをしていく』環境です。自分にはない観点からの提案や意見も多く、一人で作る場合に比べ、より良いものが作れているという実感を日々かみしめながら開発を進めています」(藤原)
皆と一緒に仕事をするという意識は一体感を生み、互いにカバーしたり、助け合ったりする互助の精神も根付いています。これは篠原のチームも同様です。例えば、キャリア入社の篠原は、引き継いだシステムの設計に疑問がある際、「誰か知っている人はいないか」とチーム全体にチャットなどで投げかけることがあります。すると、必ず誰かしらが反応し、「昔から携わっているこの人ならきっと分かるから一緒に聞きに行こう」と、その人の元まで一緒に付き添ってくれます。
あるいは、藤原がどうしても分からない点があると投げかけると、自分のタスクとは直接関係ないにも関わらず、一緒に解決に向けて考えてくれると言います。「困ったらフォローしてくれる人が誰か必ずいることは、キャリア入社した私たちにとって、心強い限り」と、藤原は話します。
チームでものづくりをする中で身に付いた「周りを見る力」。今後も新機能の実装を通じて経験と技量を深めていく
藤原は、チームでものづくりをしていく中で、従来の自分にはなかったスキルが身に付いていると感じているそうです。それは、ひと言でいうと「周りを見る力」です。「他のメンバーが私をフォローするのと同様に、私も周りの人の仕事に気を配れるようになり、必要に応じて声をかけて助けるようにしています。逆に、自分がピンチの時は手が空いていそうなメンバーにヘルプを依頼することもあります。そうして、周りを見ながら相互に助け合ってチームプレーができるようになった点も私にとっては大きな成長です」(藤原)
また、篠原は大幅アップデートのプロジェクトで自身のやるべきことが山積する中、タスク管理能力が飛躍的に向上していることを実感していると言います。「こうしたある程度規模の大きい案件では関係者が多岐にわたり、システムを一緒に開発している外部の協力会社や社内の他部署の社員、同じチームのメンバー、上司などから、さまざまな問い合わせや依頼があり、タスクをいっぱい抱えることもあります。そんな時、大切なのは適切に優先順位を付け、期限を延ばせる件は予め調整するなど、交通整理をして進めることです。そうすることで次から次へと舞い込むタスクをうまく捌けるようになった点は、コグニビジョンで大規模な案件の上流工程に携わったからこそ身に付いた力だと考えています」(篠原)
篠原は、要件定義を行って、それを外部の協力会社に伝えて設計、実装してもらう業務も数多くこなしており、そこでも着実にベンダーコントロールを行うスキルを磨いています。「一番やってはいけないのが、協力会社から出来上がってきた設計や成果物に不足があり、出戻りとなってプロジェクトが遅延すること。そうならないためにも、要件定義書に補足資料を付けるなどして、しっかりと共通認識を作れるように工夫しています。このような協力会社の管理も自分のキャリアの中であまり経験してこなかった業務であり、スキルアップできている点です」(篠原)
こうして、篠原と藤原がチームのメンバーと協力しながら作ってきたシステムも、いよいよ大詰めの段階を迎えています。「ただし、リリースされても、顧客の要望を聞いた上で新機能を実装するなど、新しい開発を行うフェーズは今後も増えていくと考えられます。コグニビジョンの一員として、そうして新しいプロダクトを作り上げていくプロセスを経験しながら、エンジニアとしての実績と技量を深めていければいい」と、篠原は考えています。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ