2020年にリリースした釣果記録ゲームアプリFishRanker。「すべての釣り人に栄光を」をスローガンに掲げ、釣果記録や釣果情報の共有ができるサービスを提供してきました。
FishRankerの大きな特長は目を惹くデザイン、誰でも使いやすいUIとUX、そしてゲーミフィケーション。アプリを通して釣った喜びをさらに大きなものにするため、釣り人にとって楽しく便利な体験を追求しています。
一方で、釣り場の減少や水産資源保護の観点から、釣り人を取り巻く環境は日に日に厳しく変化しています。釣り人が記録する「釣果情報」の価値や可能性が問われている今、新たに掲げた「健全な釣りの文化を、次の世代へ」というミッション。 釣り人みんなでできる、持続可能な取り組みとは?
このストーリーではアプリの誕生から方針の変化、そして今後の展望までお伝えしていきます。
2020年にリリースされたスマホ向け釣果記録ゲームアプリFishRankerとは
SIIG株式会社が開発している釣果記録アプリ「FishRanker」は2020年にリリースされたスマートフォン向けのアプリケーションです。 釣り人にとって大切な思い出である釣果写真と、釣れた地域、潮汐、天気など、魚が釣れたときの情報や条件を簡単に記録することができます。 独自性としてゲーミフィケーションを取り入れており、地域で魚の大きさを競ったり、特定の条件を達成することでアイテムを獲得したりと、ゲーム感覚で楽しく継続できる要素を兼ね備えています。 2023年にはAI機能を搭載。釣った魚にカメラを向けると、AIが魚種を判別。AR機能でサイズも自動で計測し、最短5秒での釣果記録を実現しました。
釣果写真は釣り人の人生の一部。釣り人向けのサービスを開発しようと思ったきっかけ
FishRanker開発のきっかけとなった出来事は、大きく二つありました。
SIIG株式会社では、釣り関連のウェブサイト制作や運用を現在に至るまで数多く手がけてきました。釣り関連サイトを運用する中で驚いたのは釣果情報のニーズの高さでした。「この場所でこの魚が釣れている」というローカルでピンポイントな情報は特に人気があり、釣果情報へのニーズが高いという知見が蓄積されていきました。
もうひとつは代表である谷川の父、正義さんが、釣り歴50年以上の大ベテラン釣り師であったこと。正義さんが大物を釣って帰ってきた日は、決まって谷川が写真を撮っていました。それは父親とのコミュニケーションの一つでもあったと同時に、当時のポジティブな感情や、釣りに対する熱い想いが現在も釣果写真や釣果メモと共に残されているのです。
これらの釣果写真や釣った時の感情は消費されていく一過性の釣果情報としてではなく、釣り人の自己表現や歴史としてポジティブに積み上げることのできるサービスを作りたいと考えました。
FishRanker誕生のヒントは、あの大人気ゲームアプリ。数百万人の釣り人向けのサービスとして開発スタート
釣り人の釣果情報の共有を、どうすればサービスとして展開できるだろうか?
その答えがアプリだと確信したきっかけは、「ポケモンGO」でした。
ゲーミフィケーションを活用し、アプリで釣果記録を楽しみながら個々のパーソナリティに紐づく記録として蓄積することで、単なる釣果記録アプリではなく、数百万人の釣り人の自己表現とコミュニケーションが実現できるアプリになると確信しました。これにより、アプリを軸としたサービスの形が見えたのです。
会社として初めてのアプリ開発。着想から7年をかけてリリース
サービスの着想から6年、開発に着手して1年、試行錯誤の末に2020年11月にiOS版、2021年5月にAndroid版をリリースしました。
FishRankerは会社として初めて開発したアプリです。 それまで行ってきたWebデザインやサイト制作とは全く異なる領域のため、最初は手探りの状態でした。 計画から実装、テストなど、すべてが初めての経験であり、四苦八苦しながらやっとの思いで完成させたアプリをリリースした時の達成感は、今までにないものでした。 アプリのリリース前には事前登録を経て、心待ちにしていたプレイヤーの存在に、とても元気付けられました。
AIの搭載で更なる利便性と体験価値を追求
FishRankerは「釣果の記録」というユーザーに提供する機能的な価値と、既存のサービスにはない独自性や体験価値を追求しています。
アプリ内には釣果の記録機能に加え、クエストやランキング、釣り人専用のプロフィール機能、リアルタイムで釣行を記録できる機能など独自の機能を盛り込んでいます。
2023年には魚種判別AIとサイズ測定のAR機能も搭載しました。これにより魚種、サイズ、日時、潮汐、気象状況、キャッチアンドリリース、釣った場所(管理釣り場/遊漁船)など、釣りに関するあらゆる情報を撮影と同時に自動で記録することが可能となりました。※AI機能は現在クローズドテスト中のため、一部のユーザーのみ使用できます。
また釣果の記録だけでなく「釣行の記録」も可能であり、釣った思い出や釣れた時の状況をより鮮明に記録することもできます。
釣った場所の情報を非公開に。方針変更の背景
かつてFishRankerは「どこで何が釣れているか」が分かる、いわゆる「釣れる場所」の情報も大きな強みとしたサービスでした。
しかし、釣り場の情報は強いニーズがある一方で、非常にデリケートなものでもあります。
特定の場所が公開されることで、その釣り場の魅力や価値が失われる可能性があります。また、その場に多くの釣り人が集まることによる競争・混雑といったトラブルや、環境への負荷が生じる可能性があります。
実際にSNS等で拡散された釣り場に釣り人が集中した結果、釣り禁止となるケースも増加しています。釣り場の情報を共有すること自体が、将来的に釣り場を減らしてしまう可能性があります。
そういった昨今の状況から、SNSでの善意の情報公開も第三者から非難されてしまうことがしばしばあります。「釣り場は隠さなければいけない」というような不文律があるこの状況も、不健全だと感じます。
こういった実態から目を逸らすことはできず「誰もが安心して使えるサービスを作ろう」と、詳しい釣り場情報は共有できないように制限することを決めました。
また、私たちは、自身や友人・家族とともに「釣り場を探索する」という体験にも大きな価値があると考えています。第三者からの情報によって、そういった魅力ある冒険の道程を奪ってしまわないような配慮が必要だと考えています。
釣果アプリで水産資源を管理。釣り文化存続のために
SIIG株式会社では「FishRanker」の開発と運営、釣り大会の企画運営に加えて、水産庁の事業である水産資源管理システムの開発を並行して行っています。
2020年に新漁業法が施行されました。国が水産資源の管理に力を入れている理由の一つに、日本の魚が大きく減少していることが挙げられています。
2023年8月には、クロマグロ遊漁の採捕報告アプリに弊社が開発したAI技術を導入した実証実験がスタートしました。全国各地の遊漁船の船長や釣り人が協力者として実験に参加しています。
魚がいなくなっているということは、漁業はもちろんのこと、釣り文化も存続の危機にあるということ。
今私たちにできることは、FishRankerのプレイヤーから提供いただいた情報を天然魚の回復のために活かし、釣りを持続可能にし、健全な釣り文化を後世に伝えていくこと。
資源管理として重要である、魚の採捕報告が必要になった今、私たちのアプリを通して、釣り人ひとりひとりが未来へと貢献できる仕組みを普及させることを目指しています。
革新的な釣り大会「佐渡ビッグゲーム」。アプリを駆使した資源保全と安全管理
新潟県の離島、佐渡島を舞台に開催している佐渡ビッグゲームは、日本最大級の釣り大会であると同時に日本最先端の大会であることの双方を目指しています。 2023年10月には4回目となる大会を開催し、スポンサー、参加者数ともに過去最多となりました。
佐渡ビッグゲームでは、アプリを活用した参加者の安全管理を行っています、また、不要なキープを最小限に抑えるためにAIによる計測、その結果のリアルタイム報告などを行い、検量への魚の持ち込みを不要とする大会を実現しました。
楽しみながら釣り文化を持続可能にする仕組みづくり
釣りは自然との一体感を味わうことができ、予想外の興奮や感動をもたらしてくれる素晴らしいアクティビティです。「釣り上げる」楽しさだけではなく、道具の選定から釣り場の探索、生き物の尊さ、食べる喜びなど、デジタルの世界では味わえない冒険や発見があります。 この文化を次の世代に残していくために、私たちはこれからも、釣りの楽しさを最大限にしていくと共に、釣り人の社会的役割の確立や、釣りを取り巻く様々な問題の解決を目指していきます。
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