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STORY システムを超えるITサービスを目指す。相続DXサービス『サラス』の挑戦

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システムを超えるITサービスを目指す。相続DXサービス『サラス』の挑戦

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SAMURAI Security株式会社代表取締役CEOの濱川です。

わたしたちSAMURAI Securityは2022年から相続DXをテーマに、AIとブロックチェーン技術を使った相続支援サービス『サラス』を展開しています。

現代日本の相続問題は危機感の不足

相続市場は年間50兆円にもなる巨大市場で、2040年には70兆円にまで拡大する成長市場でもあります。その巨大な成長市場で現在起きている変化が急速なデジタル化です。昨今、ネットバンクやアプリ、電子マネーのように手元で保管できず本人以外が極めてアクセスしにくいデジタル資産が急増しています。通常デジタル資産はパスワードや生体認証等のセキュリティが施されているため、あらかじめ家族間で情報共有するなどの事前準備が無いと相続を失敗して資産逸失する可能性があります。

すでに4人に3人がデジタル資産を保有する現代日本において相続の事前準備を怠ることは大きなリスクなのです。



相続は家族・親族がいる方にとって必ず訪れる身近なライフイベントです。しかし、多くの方が「他人ごと」として実感が湧かないのではないでしょうか。このように資産逸失のリスクに対して圧倒的な危機感不足こそが現代日本における相続市場の問題なのです。

相続DXに取り組むきっかけは実体験だった

わたし(濱川)が「相続の問題」に取り組むきっかけは2021年の実父の急死でした。相続は事前の準備や対策、残された家族の心痛など一切慮ることなく、死の瞬間から始まります。父の相続はわたしにとって初めての相続体験だったので、文字通り右往左往しながら手探りで進め、ようやく一息つけたのは父の死後半年を経過した頃でした。

そのとき痛感したのは恐怖でした。「もしわたしが死んだときに、残された家族に同じ苦労をさせるのか?わたしは家族に全財産残すことができるのか?」

父と違い、わたしはデジタル資産も多く有価証券も保有していました。「果たして家族がその資産にアクセスできるのか?」その答えは間違いなく「否」です。



デジタル資産を家族に残すにはデジタルで適切に管理すること、そして自分のメッセージをしっかり残すことが大切です。しかし、日本にはそれらのニーズを満たすサービスがありませんでした。

「無いならわたしたちがつくる!」わたしが相続DXに取り組むことを決めた瞬間です。相続DXサービス「サラス」はわたしの経験、直面した恐怖から生まれたのです。

相続DXの難しさは「定型化」できないこと

デジタル技術は正解が決まっている手順をテンプレートに落とし込む「定型化」によって業務効率を高めることに長けています。銀行のATMや会計ソフトはその強みを存分に活かしている例でしょう。

だからわたしも「デジタル資産の整理・管理もデジタルで行うほうが理にかなっている。今後、相続対策はデジタルが主流になる。相続市場はDXを必要としている」そう思っていました。

しかし実際に相続対策のデジタルサービスを構築して気付かされたことがあります。


相続対策は定型化できない!


相続対策は家族や親族の構成、保有している資産、現在の住まいや環境によって優先順位が異なります。ある人は不動産の処分に悩み、ある人は家族に知られたくない資産があり、ある人はペットの安全が最優先です。人間関係が須く円満ではないし、資産構成も変化します。つまり、何から始めて、どんな悩みから解消していくか準備も対策も人によって異なります。つまり定型化できないのです。

業務用システムであれば、強制的に手順どおり対策させれば良いのですが、あいにくわたしたちが想定するユーザは悩みも課題も十人十色の消費者です。興味関心が無い作業を強制してもそっぽを向かれるだけです。

利便性だけでは越えられない相続DXを阻む壁

問題はそれだけではありません。最大の問題は相続・終活に対する忌避感です。「相続や終活は死を連想させる」とタブー視する人は少なくありません。いや、むしろ根強く残っているといえるでしょう。相続を他人ごとと考えるのは、自分ごととして考えたくない相続への忌避感が大きく影響していると思っています。

その忌避感が残る限り、どれだけ便利なサービスであっても使ってもらうことはできません。積極的に避けているのだから当然です。


最後に立ちはだかるハードルは法律や商習慣の壁です。法律によって遺言書は「手書き」でなければ法的効力がありません。つまりデジタル完結できないのです。また法的には有効な遺言書であっても公正証書でなければ受け付けないという話もあります。相続は不正やトラブルが多いため、相続資産を取り扱う金融機関などは厳密なルールが存在します。そのために相続人たちは多大な労力を払うことになります。

テンプレ化できない問題、死に対する忌避感、そして法律や商習慣。これらをクリアしなければ安全に資産を相続できない。

なんと高い壁でしょうか。わたしたちは、単に便利なデジタルサービスをつくるだけでは相続DXを実現することはできないという現実を突きつけられたのです。

人格を感じるシステムの実現へ

相続DXに立ちはだかる壁をどのようにクリアするのか?わたしたちは明確なコンセプトを求めれました。その答えが「システムを超える」です

相続市場が真に求めているもの、それはあるときは自分がやるべきことを示唆してくれる先生であり、あるときは面倒な作業を代行してくれるアシスタントであり、あるときは家族に言えない悩みを吐露する友人です。しかしそんな便利な人は存在しません。だからこそ、ときに先生となり、ときにアシスタントとなり、ときに友人となり頼ることができる「人格を持つサービス」をユーザに提供しようと決めたのです。もちろん、実態はデジタルシステムですが、システムを超えた人格でありユーザのことを一番身近に支える存在。それこそがわたしたちが目指すべきサービスと決め、お金を守る神様である弁天様(サラスヴァティ)にあやかりサービス名を「サラス」と命名しました。


サラスはシステムを超えるITサービスを目指す

サラスはテンプレート化して作業効率を高めるシステムを目指していません。

一人ひとりのユーザが抱える興味関心・優先順位を理解して、相続に対する忌避感を緩和しつつ、法律や商習慣に適合して資産を守り、継承する、まるで「わたし専属のコンシェルジュ」として振る舞うことを目指しています。



ユーザはサラスと会話することで、少しずつ相続対策が進みさまざまな相続リスクを軽減します。それだけでなく、後悔のない人生を送るためのお金や時間の使い方を考えるきっかけをつくります。生前贈与や寄付などの新しいお金の使い道を紹介することでユーザの後半生を支えるサービスとなることを目指して日々改善を行っています。

システムを超える先生・アシスタント・友人として認められる日は遠いかもしれません。しかし、IT技術は急速に進歩しています。技術をうまく活用することでシステムを超えることは不可能ではないと信じています。


サラスの基盤技術はコンシェルジュ機能を担うAI技術と遺言管理や認証系を担うブロックチェーン技術です。先進IT技術をうまく利用してシステムの基本性能を高めつつ、システムを超える「愛着」を感じてもらう。わたしたちの挑戦は始まったばかりです。


今はまだ「相続や終活への忌避感」そして「ITサービスへの警戒感」が大きい世相ですが、万が一に備えて生命保険に入るくらいの感覚で「万が一に備えてサラスを使う」が新常識になるようにしたいと考えています。わたしたちの挑戦によって相続のリスクが低減して「誰も不幸にならない相続」社会をめざしてわたしたち、そして「サラス」の挑戦は続きます。






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