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STORY 指をかざすだけで決済可能なスマートリングで、生活にワクワクを。「RINGO PAY」開発ストーリー

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指をかざすだけで決済可能なスマートリングで、生活にワクワクを。「RINGO PAY」開発ストーリー

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2023年4月17日、VITROは「RINGO PAY BLACK」の発売を発表しました。プロダクトデザイナーの高橋良爾が主宰する「ほぼひとり実験家電メーカー」VITRO。これまでテクノロジー×デザインで、さまざまな実験的プロダクトを作り続けてきました。


そんなVITROが手掛ける日本製スマートリング「RINGO PAY」は、充電不要で素早く電子マネー決済ができるプロダクトです。都市部を中心に電子マネー決済やタッチレス決済など、キャッシュレス化の動きが近年は加速しています。


「RINGO PAY BLACK」は、そんなキャッシュレス決済を今まで以上にスマートにするアイテム。生活にワクワクを与えられる、そしてファッション性も追い求めたRINGO PAY開発の裏側について高橋からお伝えします。


テクノロジー×デザインでワクワクするプロダクトを作りたい

ほぼひとりメーカーVITRO代表を務める高橋は独学でプロダクトデザインを学び、国際家具見本市ミラノサローネなどに出展してきました。


VITROでは高橋が企画からデザインまでをおこなっており、町工場やエンジニアやテクノロジストなどさまざまな人々の力を借りながら、ワクワクするようなものを世の中に出しています。


ミニマリストのための世界最小級Arduino互換基板 8pino


置くだけで、日本庭園。 線香花火のような照明 DEW


えんぴつの万歩計 TRACE


一輪を花束にする花瓶 Non Flower-Loss Vase


注ぐと色が変わる切り子 NEO KIRIKO


海底の灯り EARTH BULB_AWA



そのモノづくりを始めるきっかけは、初めてミラノサローネに参加し、多くの素晴らしい作品と触れたことでした。その中で、「テクノロジー×デザイン」がワクワクするようなプロダクトや生活像につながると感じ、エンジニアやテクノロジストとともに作品製作をおこなうようになったのです。


VITROの名前の由来は試験管。実験的なモノを通じて、ワクワクする生き方を提案していくことを目指しています。

また、高橋の製作の姿勢は、「まずはクオリティーよりアイデアを実現することを大切にする」こと。アイデアの実現を優先し、その後に何度か改善を重ねて、より良いモノに変えていきたいと考えています。


指から電子マネーが払えるリング

そんなVITROが次に手掛けたのは、電子マネーが指から払える日本製スマートリング「RINGO PAY」でした。シリコン製で軽く、気軽に身に付けられますし、できるだけモノに触れることなくキャッシュレス決済を可能にします。ミニマルなデザインなので普段使いにぴったりです。



そしてRINGO PAYは、自分の手に合わせて、自分で切ってサイズを調整し完成させる決済リングでもあります。指のサイズが計れなくても、フィットする。そんなカスタムメイドのリングです。


普段電子マネーを使う際、こんな悩みはありませんか。


「財布をカバンから取り出すのが面倒」

「ランニングする時に財布やスマホを持って行きたくない」

「スマホの電池が切れたらどうしよう」

「決済の時、スマホのロック解除が面倒だな…」


今まではスマホや財布を取り出して決済をしていましたが、これからはスマートに、オシャレに支払う未来を作りたい。小さな風景の変化から、ワクワクする生活をつくりたいと思い、RINGO PAYを考えました。


開発時のエピソード

「一回作ってみないとわからない」という僕のわがままに皆様に付き合ってもらい、なんとか形にすることができました。


RINGO PAYは「100年先まで続く電子財布のスタンダードデザインを作る。」をテーマに、デザイン・制作を行ってきました。そのきっかけは、現金払いが嫌いな友人の存在です。コンビニ等で並ぶ度、時間や手間といった点でストレスを抱えており、そんな課題を解決できないかと考えました。


電子マネーの時代にもっとも他人に迷惑のかからない払い方とはなんだろうと考えたとき、スマホも取り出さずに指から払うことなのではないかと思い、決済リングを考えました。指で払うと魔法のようだし、指輪をつけてファッションを楽しむきっかけにもなりそうだと思ったのです。男性でも指輪をつけている人はいますが、何か言い訳がないと自分は指輪を付けづらいなと思っていました。決済も楽になるし、ファッションも楽しくなる。そんなモノが作りたいと考えたので指輪になっています。


紙幣が出てきて、長財布という財布の形が生まれたように、無形の電子マネーが普及したとき、財布の形は手にフィットする何かではないか。財布を取り出し、お金を手から払うフローを、手から払うにショートカットできると更に便利です。そこで、電子マネーを入れる財布は、指輪や腕輪型になるのではないかと考えつきました。


しかしその後、初めてRINGO PAYのアイデアを人に話してみると、電子マネーを使っていないからや指輪をはめないから「いらない」という声が大多数だったのです。


そのため、正直作っても仕方ないかも、と思いましたが、作ることに決めました。試しにプロトタイプを作ってSNSに投稿したところ初めての投稿で約100万回再生されたことがきっかけです。既製品を組み込むことによるサイズ感の問題やデザイン性に課題があったり、使ってみないと価値がわからないだけで、支払いが楽になるということは解決しているので、実は買ってくれる人がいるのではないかと考えました。


製造業に関わる友人の一人に話したところ、指輪で決済って面白い!と共感してくれました。指輪の施策をどのようにしようかと相談したところ、東京都中小企業公社の人を紹介してもらったことで、製作にあたって相談する相手を見つけることができました。


決済リングを作るにあたってまず直面したのは、サイズの問題です。

個人で製作活動をしているので、資金は貯金。コストを抑えて決済リングを作らねばなりません。指輪をはめて過ごしたことがなかった自分には、指サイズがたくさんあることを知りませんでした。たくさんサイズがあるということは、たくさんの金属型が必要になるということです。金型を一つ作るには100万近くかかることもあり、10サイズあれば1000万かかることになってしまいます。


そこで考えたのは、指輪を自分で切って合わせる仕組みです。最初はクリップで止める形にしようとしたのですが、厚みが出てしまい違う方式で考えることにしました。



RINGO PAYをシリコン性のベルトで製作し、ユーザーに自分のサイズに切って合わせていただくことで、コストを抑えることを考えました。



次に解決しなければならなかったのは、チップの太さです。

チップが太く指輪としてはかなり目立つものになると感じました。

ファッションとして楽しんでいただきたいと感じていたので、何かいい方法はないかと考えていた時、マグネットシートで試作していた時に、三角の切れ目を入れると、陰影の効果で多少細く見えたり、デザイン性が高く見えました。最終的にはマグネットシートでは製作できずシリコンに三角の模様を入れるだけとなってしまいましたが、三角の模様がついているのは、細く見せよう、ファッション感を出そうとしたのが理由です。



その後、決済リングの製造にあたって、様々な業者の方へ連絡を取る日々が始まります。決済を行うにあたって重要な部分は、どうしても様々な企業様との調整が必須でした。はじめは、既製品のチップなどを指輪に組み込んで、プロトタイプを製作し、Makuakeでスタートすることにしました。


Makuakeでプロジェクトをスタートすると、あっという間に200万円以上の資金が集まりました。これで面白いプロダクトを世に出せるぞと、ワクワクしていましたが、ある日「チップの発行申請されていますか?」と企業からMakuakeのページへ問い合わせがありました。実は電子マネーのチップを量産するためには、各企業に許諾いただいたり、契約や確認をする必要があったのです。


指輪だけを作る費用だけ集めればいいと考えていましたが、既製品のチップも販売が終了し、オリジナルで自分で発行しないといけないこと、その他にもいろいろ資金が必要だということを教えていただきました。


チップをバンドに埋め込んでしまうと法律違反になってしまうことや、利用規約をカードに印刷しなければならないなど知らないことがたくさんありました。


このままでは決済リングの製作は難しいかもしれないと、プロジェクトの中止と返金を行おうかと思いましたが、企業様のご協力のおかげで発行の手続きを進めていただけることになりました。個人でありながら、活動を続ける中でFeliCa Networksさんや楽天Edy、DNPといった方々からの返答が届き話が進みます。その後、工場を回る日々が始まりました。


既製品のチップは紙製だったことから、防水加工に変えていくためのチャレンジが始まります。せっかくなら防水にしたほうがいいのではないかと、企業の方からアドバイスと加工してくださる会社を紹介していただき、PETでチップを挟み込む形にすることができました。


こうしてチップやバンドを製造し、RINGO PAYの第一弾が完成。

たくさんの在庫が送られてくることになり、自宅で発送作業などをするのは嫌だなと思っていました。そんな時に、100banchのgarage programに応募。渋谷区の大きなスペースを提供していただき、発送作業をすることができることになりました。友人がパッケージデザインを手伝ってくれたり、Instagramで活動を見ていたフォロワーの方が100banchに手伝いに来てくれて、126個を発送することができました。



その後、ご縁から蔦屋家電さんで展示する機会をいただき、接客ログを取ったり、使用後のコメントもたくさんいただきました。大きい、絆創膏みたいといった正直な声もいただきながら、防水チップ加工費の資金調達を行うなどしていきました。


接客ログなどの結果を元に、最初は白でしたが、色を黒に変えることを考えました。

今後も資金調達を行いながら、金型費を確保したり、デザインを修正したりなど、改善を重ねていこうと考えています。



こうして完成したRINGO PAYを初めて使ったとき、コンビニの店員さんがとても驚いた表情をしていたことが忘れられません。企画書や動画、言葉だけでなく、実際に使ってみるからこそ見える感動があるのだと思いました。


https://www.tiktok.com/@infovitro/video/7046781057844169985?is_from_webapp=1&sender_device=pc&web_id=7226295464449394203


RINGO PAYがお金を使うと震える結婚指輪だったら、生活費節約できそうだねとか、家の鍵や社員証に使ったらかっこいいねなど、みなさんさまざまな想像を広げてくださいます。

かざすだけ!充電不要で0秒決済


RINGO PAYは電子マネー「楽天Edy」を使えるスマートリングです。スマホアプリやコンビニのレジ、ATMで、必要な金額をチャージして使います。チャージの方法はとても簡単で、チャージしたい金額を設定した後RINGO PAYを読み取り機にかざすだけ。



支払う時はレジや自動販売機で楽天Edyを選択してかざせば、0秒で決済が完了します。会計時にスマホや財布の場所を探したり、スマホのロックを解除するためマスクをずらしたり、といった手間を省きます。

決済時にリーダーから電力が非接触で供給されるため、充電も不要。万が一落としてしまっても、チャージされている以上のお金を勝手に使われることはありません。防水仕様なのもうれしいポイントです。

カスタムメイドが楽しめます

RINGO PAYはあなたの手で完成します。金属リングでは生み出せない、シリコンの柔らかな着け心地、しっかりとしたフィット感。自分にフィットするように、最後はあなたが完成させてください。

カスタムメイドはとても簡単で、溝に合わせてリングをカットするだけ。自分の指の大きさに合わせてサイズを調整できます。



金属のパーツでしっかりとリングを固定できます。リング自体はフレキシブルな素材なので、手にも良くなじみ、活動計のように気軽に身につけられるデザインになっています。


リングをつけるときは、二つの金具をはめ込むだけ。指輪は金属であるという固定概念にとらわれず、フレキシブルな素材を採用することで、着脱しやすく指になじむデザインを考案しました。

今後の展望

RINGO PAYはクラウドファンディングサイトにて予約販売をおこなっています。現在購入できるのは第二弾となるRINGO PAY BLACK。第一弾の白色から黒色にアップデートしました。



今後は、カラーバリエーションを増やしたり、デザインを改善するなどを行い、販売個数を増やしていきたいと考えております。

そうすることで、実際の生活風景が変えていきたいと思っています。


またRINGO PAYは、FeliCaチップを使用しているので交通系ICバージョンもローンチし、改札などでも利用できるようになればと考えています。




■ブランド概要

屋号:VITRO

所在地:東京都渋谷区渋谷3-27-1

代表者:高橋 良爾

設立:2014年

事業内容:実験的なプロダクトの開発、電子基板8pino・決済リングRINGO PAY開発販売

URL:https://www.makuake.com/project/ringo-pay02








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