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STORY プロダクトF『エッジAIカメラ』~技術のコラボで製造業DXに挑む!~

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プロダクトF『エッジAIカメラ』~技術のコラボで製造業DXに挑む!~

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プロダクトF『エッジAIカメラ』

~技術のコラボで製造業DXに挑む!~

FCNTの技術でスマートファクトリー化を加速

2022年10月に『arrows』のリブランディングを発表し、2023年2月にはそのコンセプトを具現化した新端末『arrows N F-51C』を発売。エシカル時代をリードするFCNTの「つなぐ技術」は、スマートフォン開発だけに留まらない。これからの「つなぐ技術」は、30年以上培ってきた開発ノウハウに最先端の5G、ローカル5G通信技術やAIを取り入れたソリューション事業によって、さまざまな業界のDXや社会課題の解決を目指している。その取り組みの一環で生み出された『エッジAIカメラ』が、スマートファクトリーを支える技術の1つとして期待されている。今回はFCNTの『エッジAIカメラ』が、スマートファクトリーの中で、どのような役割を果たすのかを紹介していこう。


スマートファクトリーでの活用に触れる前に、まずは『エッジAIカメラ』が、どういったものなのか、簡単に振り返ってみよう。『エッジAIカメラ』は、スマートファクトリーでの活用が有効なユースケースとなり得るローカル5G通信に対応しており、4Kクオリティの超高精細な映像を伝送可能な点がメリットである。映像を高品位にすることで、AIの映像解析も、より高精度な結果が得られる。また、大容量バッテリーの搭載に加えて、放熱能力に優れたヒートシンクを備え、さまざまな現場の環境における耐久性に配慮した設計で、24時間365日の安定稼働を実現する。


今回の『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』に組み込まれたのは、エッジAIカメラ 2号機(FCNT AW02)。距離推定が可能な専用カメラの追加や放熱板を放熱ファンに置き換えるなど、カスタマイズが施されている。


この『エッジAIカメラ』を組み込んで“中小企業でも無理なく導入できるスマートファクトリーの実現”を目指しているのが、今回レポートする『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』である。協働ロボットを操作するソフトウェアの開発を手掛けるスタートアップ企業、ウィングロボティクス社が提案するプロジェクトで、FCNTの『エッジAIカメラ』を用いて、ロボットを遠隔制御する共同開発事業だ。地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの中小企業の5G・IoT・ロボット普及促進事業内における公募型共同研究テーマとして採択され、2022年3月から開発がスタートした。


 『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』として開発された試作モデル。アームの先端に制御する対象物を認識する為の機能を持たせた『エッジAIカメラ』を搭載しているほか、ロボット全体を映し出せる場所と、ロボットの稼働状態を認識する為の2台の『エッジAIカメラ』を配置。遠隔操作する技術者がロボットの状態を的確に把握できる姿を目指す。


 2023年1月には、これまでの開発成果として、兵庫県加東市にあるジャパン・イーエム・ソリューションズ(以下JEMS)で実証実験を実施し、協働ロボット遠隔制御の基本構成を確立した。試作モデルを組み上げ、現在は、さらなるブラッシュアップに取り組んでいる。スマートファクトリーに挑戦するFCNTとウィングロボティクスの開発陣から『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』の魅力や開発秘話を聴いていこう。

ロボティクス×エッジAIで切り拓く製造業の未来

製造業では、多品種少量生産の時代が押し寄せ、加えて少子高齢化の影響を受け、慢性的に労働力が不足している。特に2020年以降は、新型コロナウイルス感染症により、労働者の確保もままならず、問題が深刻さを増す一方だ。


そこで検討されているのが、生産システムのDX、いわゆる“スマートファクトリー”である。中でも労働力代替の有力な選択肢として考えられているのが“協働ロボット”だ。ここでは、一丸となってプロジェクトに挑んだ、FCNTとウィングロボティクス社の開発陣に『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』までの道のりを聴いていく。


製造業の現場で“人手不足”が課題と言われるのは、いまに始まったことではない。ロボットで労働力を代替する試みは、従来から検討されてきた。大企業の工場などは、協働ロボットの導入も進み始めている。とはいえ、ウィングロボティクス社で協働ロボットの開発に協力する大阪大学の原田 研介教授は、製造業全体に浸透しているとは言い難い、と語る。


「協働ロボットを制御するための技術者が必要なのですが、まだまだ技術者の人数が少ないんです。中小企業が独自に専任の技術者を確保するのは難しい。ですから、技術者が遠隔地からロボットの動作を指示したり、エラーをリカバリーしたりとか、そういう仕組みが必要ですね」


大阪大学の大学院基礎工学研究科システム創成専攻で教授を務める原田 研介氏。


協働ロボットを導入したとしても、使いこなせる環境が整っていなければ意味がない。協働ロボットの管理やサポート体制の整備などを、オンライン制御できるシステムが不可欠なのだ。

 また、導入コストも無視できないポイントだろう。ウィングロボティクス社の代表取締役を務める馮 麗萍(フォン リーピン)氏は、現状の導入コストでは中小企業が導入するのは厳しい、と語る。


「協働ロボットの導入には、たくさんの費用が掛かります。中小企業が独自に導入しようとするとコスト的に非常に厳しいです。何かしらの補助金制度を利用しなければならないでしょうね。もっともっと、導入コストをリーズナブルにする必要があります」


ウィングロボティクス株式会社の代表取締役を務めている馮 麗萍(フォン リーピン)氏。以前は、スマートフォンメーカーに勤務しており、それがFCNTとの共同開発のきっかけになっているという。


環境の整備や導入コストを踏まえて、中小企業でも無理なく導入できる協働ロボットに不可欠な要素となるのが“遠隔制御技術”と2社は考えている。しかし、通信デバイスの開発には、特殊な設備や免許の取得などをクリアする必要があり、新たに部門を整備するのは莫大な時間とコストが必要である。ウィングロボティクス社は、通信デバイスの開発設備や技術、ノウハウなどが豊富なFCNTとの共同開発の道を選択し、『エッジAIカメラ』による遠隔制御システムの開発の実現に取り組み始めた。


FCNTの小池 亨氏は共同開発に至る経緯を振り返る。

「ロボットをリアルタイムに遠隔制御するには、通信のレスポンスが重要になります。協働ロボットは今後、設置場所に縛られない柔軟な使い方が増え、無線通信は外せない要素になると考えています。高精細な映像を伝送しながら低遅延で遠隔操作し、セキュリティも確保するとなると、ローカル5Gの特長を活かせる領域だと考えています。弊社なら、すでに5Gの開発設備がありますし、経験豊かな技術者も揃っています。こういった点をFCNTに期待されて、共同開発につながりました。弊社も、ロボット開発に興味がありました」


FCNT株式会社 テクノロジーソリューション事業部ソリューション開発推進部 シニアプロフェッショナルの小池 亨氏。フィーチャーフォン、スマートフォン、タブレット、AIカメラなど、さまざまな端末の機構設計・開発マネジメントを経て、現在はソリューション事業のプロジェクトマネージャーに。このプロジェクトでも、プロジェクトマネージャーを務めた。


こうして、ロボティクスのスペシャリストと通信技術のスペシャリストがタッグを組んだ『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』がスタートした。

スマートファクトリーを支えるFCNTの技術

2022年8月から本格化した『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』の開発だが、試作モデルの完成まで、すんなりと進んだわけではない。ウィングロボティクス社の吉田 正二郎氏は、開発の苦労を語る。


「協働ロボットは基本的に“その現場向け”に開発された専用の仕様なんですよ。ですから、現場ごとに制御するデバイスが変わります。組み合わせるデバイスごとに制御の方法が違いますし、それらを把握してコントロールするのが大変ですね」


ウィングロボティクス株式会社の執行役員を務めている吉田 正二郎 氏


Windowsのような、デファクト・スタンダードとなるようなOSは存在しない。デバイスドライバーのようなプログラムはなく、自分たちでつくらなければならない。FCNTの阿部 浩之氏が、ロボット開発の苦労を教えてくれる。


「例えば、ロボットやその制御装置のような産業機器と我々の『エッジAIカメラ』をつなぐ上では、単純にUSBケーブルを1本パソコンに接続すれば制御出来るというものではありません。今回のシステムに合わせて、お互いの動作のやりとりを翻訳してつないであげる必要があります。『エッジAIカメラ』を単体で使いこなす上では、自社で作成したプログラムをベースにスムーズに作業が進みますが、今回のようなケースですと、お互いを知る事から始めなければなりません。我々のような会社がロボットに関わるシステムを開発する上での課題ですね。」


FCNT株式会社 テクノロジーソリューション事業部 ソリューション開発推進部の阿部 浩之 氏。ハードウェア設計を中心にスマートフォン開発のマネジメントを担当。5Gスマートフォンの立ち上げも経験し、今回のプロジェクトには中心メンバーとして参加。


ロボティクスのスペシャリストと通信技術のスペシャリスト、互いに優れた技術者であることは間違いないが、一緒に開発を進めたウィングロボティクス社の技術者から見ても、FCNTの技術力は折り紙付きの実力のようだ。


「FCNT開発ルームで作業を進めることも多かったのですが……。作業をしていると、しょっちゅう問題に突き当たるのですけど、さまざまな分野のエキスパートがいて、阿部さんや小池さんがその場で周りにいる同僚の技術者に相談すると、わりとそれで解決しちゃう(笑)。技術者のレベルが高いと感じましたね」

と吉田氏はFCNTの開発陣を評価する。


 FCNTの技術力を証明するのが、ロボットアームの先端に取り付けられたセンサーや可動部のパーツだ。FCNTの阿部氏は、今回のプロジェクトが、単に『エッジAIカメラ』を組み込んだだけではないことを明かす。


「従来にないロボット制御システムをつくるので、ソフトウェアはもちろんですけど、パーツも既存のものでは対応できないんですよ。目的の動作を実現するために、必要なパーツを3Dプリンターでつくり上げるということもしましたね」


FCNT株式会社 開発統括部 テクノロジー開発部の辰巳 宴克 氏。マルチメディア(動画、静止画)機能の開発経験を経て、現在はソリューション事業におけるソフトウェア開発に携わる。ロボットビジョン端末側のソフトウェア開発を担当。


『エッジAIカメラ』を取り付けた協働ロボットのアームの先端部分。JEMS内の設備に適合する為のカスタマイズが必要となったが、ロボットインタフェースを読み解いて結線しなおす事や、3Dプリンター製のパーツを手早く作り上げて対応する等、今まで培ってきた技術力を活用して対応した。


2社の技術者が協力してカタチにした『5Gカメラを用いた遠隔ロボット制御システム』。とはいえ、今回、作り上げたのは試作モデルで、ファーストステップという段階だ。ウィングロボティクス社の吉田氏は、同社が今後、目指すべき目標を語る。


「基本的に、産業用のロボットを購入してきても、すぐに動かせません。制御するシステム(ソフトウェア)やデバイスの操作方法を調べ上げて、自分たちでロボットをコントロールしなければいけません。いろんなメーカーのロボットを我々のシステムで動かせますよっていう、ロボットを制御するための標準規格のようなものをつくれたらよいですね」


ウィングロボティクス株式会社・張 家成 氏


一方、今回のプロジェクトを通じて、その開発力を遺憾なく発揮し、共同開発をサポートしたFCNT。プロジェクトマネージャーを務めた小池氏は、同社のソリューション開発を使うメリットを語る。


「FCNTはスマートフォンの会社というイメージが強いと思いますが、ソリューションやエンジニアリングの実績も積み上げてきています。そこで培った知見やノウハウと、スマートフォンで培った技術を掛け合わせることで、今回のロボット技術のような新領域でも、新たな装置やソリューションを短期間で立ち上げることができます。お客様が求める要件に応じたハードウェアのカスタマイズやネットワーク構築、認証取得等を技術サポートとして提供できますし、FCNTの強みを存分に活かせば、開発をスピーディに進められます」


 FCNTはスマートフォン開発で培ってきた5G通信の技術と製品開発のノウハウを身につけた技術者を武器に、ソリューション開発に磨きを掛け、ロボティクスをはじめ、さまざまな分野で企業をサポートしていく。


本件に関するプレスリリース:https://wing-robotics.com/news/tiri/


本プロジェクトに関するお問い合わせ先

FCNT株式会社 ソリューション事業本部 テクノロジーソリューション事業部

050-3358-3524(直通)

mb-tsd-info@fcnt.com




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