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STORY 共感し、助けたい気持ちが人間中心設計の原点。社会全体に広がれば、「生きづらさ」はきっとなくなる

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共感し、助けたい気持ちが人間中心設計の原点。社会全体に広がれば、「生きづらさ」はきっとなくなる

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2020年度に人間中心設計(HCD)スペシャリストとなり、さらに専門家へと進化を続ける徳田彩。社内の資格取得支援制度の創設メンバーとして、HCDの啓蒙や、受験希望者のサポートに情熱を注いでいます。「誰かのためになることに、つい全力になっちゃう」と笑顔で話し、「困っている人に喜んでもらえることが一番うれしい」。常に高みを目指す彼女が思い描く会社の未来、そして社会の未来とは?

見た目ではなく本質を捉えて、サービスを提供したい

離婚を機に、20代半ばでWebデザインの道に入りました。育児と両立しながら半年間勉強し、Webマーケティング会社で実務経験を積んだのちフリーランスに。友人からの依頼をきっかけに、得意な料理を生かしてフードコーディネーターの資格を取り、Web制作と並行してパーティーのケータリングや空間装飾、カフェの立ち上げなどを手がけました。


思えば当時から、「この人により良いものを提供するために、自分は何を学び、何をすればいいだろう」と考え、行動する性格は変わっていないように思います。ケータリングも型を決めない完全オーダーメードのスタイルで、都度、依頼主の希望を聞いて一からつくり上げていました。


UXデザイナーを志したのは、当時パートナー契約していた就職支援の企業で、コンテンツ企画や情報設計をする際に、学生の気持ちがわからなくてインタビューしたことがきっかけです。ユーザーである学生の実態や課題を知ることで、ビジュアルは手段の一つであり、就活者の行動・思考を観察した上で、一連の体験として考えないと本質的には意味がないことに気づいたのです。その体験から、根本から考えてサービスを提供できるUXデザインを学び、実践したいとの思いが募り、ネットイヤーグループへの入社を決めました。


UXデザイナーの大先輩である上司を師として必死に学び、同僚にも恵まれました。2年早く入社していたUXデザイナーの先輩や私の3カ月後に入社したHCD有資格者の同僚は、年齢や社歴だけでなく、考え方や課題感も近く、目指すUXデザインや仕事の進め方など、常に本音で話し合い、高め合える存在です。


人間中心設計の重要性を知り、スペシャリストへの挑戦を決意したのも2人の影響が大きかったです。何万字もの審査書類を作成するのは大変でしたが、個々のタスクを振り返り、目的や成果を内省して洗い出せたことは、自身の仕事を見つめ直すまたとない機会になりました。今年度は、さらに上位の人間中心設計専門家に挑みます。


人間中心設計の考え方をネットイヤーグループの土台に

資格を取得したことで、新たな視野も開けました。ユーザーにとって本質的に価値あるモノ・コトを届けるには、プロジェクトメンバー全員がユーザー中心に考える姿勢を持ち、ユーザーにとっても、クライアントにとっても、意味のあるものを創る必要があります。その土台として持つべき素養がHCDのマインドではないか。そうした私たち3人と社長の思いが重なり、「HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト・専門家」取得支援の取り組みが全社的に始まりました。



ネットイヤーグループは、社員が「やりたい」と声を上げることを喜び、応援してくれる会社です。2022年4月に資格取得を支援する社内制度をスタートし、参加を呼びかけると役職や職種を問わず、さまざま社員が予想以上に集まってくれました。こうした反応の良さ、フットワークの軽さも、素晴らしい社内文化だと感じます。


実際に受験申請する社員も次々に現れました。今後はプロダクトを創る側だけでなく、多くの職種にも広がっていくことを期待しています。例えば経理では、社員をユーザーと捉え、どうすれば社員が使いやすくなるかを考えて経理フローを整えた経験があれば、それは本質的にHCDを体現しているとも言えます。具体的な技術やスキルではなく、土台となる考え方や能力が問われるので、職種を問わず私たちもサポートすることができます。


「受験に合格しバッジを得る」は、わかりやすい指標ですが、本来の目的はネットイヤーグループ社員の土台の思想として、デザイナーだけでなく、自分たちも「誰かのために、自分たちは何かを創造している」という状態になれたら良いと考えています。そうなると、受け手も創り手も、幸せではないでしょうか。

コンピタンスの棚卸しを側面からサポート

審査書類では過去のプロジェクトで自分が行った業務を、自ら内省するプロセスが大切なので支援できる範囲は限られます。その中で私が工夫したのは、審査で問われる難解なコンピタンス(能力や技能、知識)を自社のタスクに置き換え、わかりやすく解説することです。


資料を作り、一つ一つ説明し、受験する人たちにコンピタンスの棚卸しをしてもらうと、「そういうことだったのかと腑に落ちた」「愛を感じた」と言ってもらえました。困っている人が喜んでくれることが、私は一番うれしいのです。これからも、誰かの力になれるよう、わたし自身ももっと学びを増やしていきたいです。棚卸しをした結果、応募資格に満たないコンピタンスが判明しても、それを満たせる案件を担当できるよう働きかける支援も行っています。


「困っている人中心のモノ・コトづくり」ができる人を世界中に溢れさせたい

人間中心設計やHCDという言葉は、まだ一般には知られていません。しかし、経済産業省の高度デザイン人材育成やデザイン経営宣言において、重要な哲学と位置づけられ、高校の情報の授業に取り入れられるなど、社会はこれが標準化されるよう変わりつつあります。


「誰のために自分は仕事をするのか?」は、すべての人に当てはまると思います。何に困ってるの?と話を聞いて、そういうことなんだと同感ではなく、共感をし、もっとこうだったらいいのにと一緒に考える。その人のことを考えすぎて泣きそうになるくらい共感したら、見え方が変わります。それが一番大事だと思うのです。


世の中の人みんながそんな風にお互いの立場や状況を越境して考えるようになれば、さまざまな問題は解決しやすくなるのではないでしょうか。社会問題は生きづらさに直結します。性別、年齢、立場、民族、国の違い。いろいろなところで、いろいろな人が生きづらさを抱えています。それが自分自身や、自分の大切な人だったら?と考えると助けたくなる。それが人間中心に考えることだと思います。


仕事や支援活動を通じて、私はこの考え方を広げる一助になっていきたいです。たくさんの人を助けたいと思えば思うほど、解像度の低さや、力不足を痛感し、自分が不甲斐なくなります。でも、一つだけ決めていることがあります。毎年、自分の誕生日に、「去年の自分より今の自分の方が好きか?」を確かめること。今の自分が好きだと思えたら、それでいい。迷わず進んでいこうと力が湧いてくるのです。





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