#開発秘話 #開発 #スマートフォンアプリ #ディーガ
2022年12月9日13時00分 パナソニック株式会社
パナソニックのブルーレイレコーダー「ディーガ」用のスマートフォンアプリ「どこでもディーガ」。App Storeにおける宅外視聴アプリの評価4.5、Google Playにおける宅外視聴アプリの評価4.2と、2017年のサービス開始以来、無料宅外視聴アプリでユーザー評価No.1(※1)を続けています。
録画した番組や放送中の番組を、外出先やテレビのない部屋からでも、場所にとらわれることなく、いつでもスマートフォンやタブレットで楽しめます。また、番組だけでなく、ブルーレイディスクレコーダー「ディーガ」に保存した写真や音楽を、スマートフォンに持ち出したり、外出先での再生も可能です。難しい設定なしに、スマートフォンをより便利に使えると好評を得ており、2022年10月現在220万ダウンロード(iOS・Android合算)と多くの方にご利用いただいています。
今回、「どこでもディーガ」の誕生秘話と進化の軌跡、今後の進化ポイントなどを開発者に聞きました。
※1:App Storeにおける宅外視聴アプリの評価4.5(2022年11月28日現在)。Google Playにおける宅外視聴アプリの評価4.2(2022年11月28日現在)。
左から
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社
ビジュアル・サウンドビジネスユニット 技術センター プラットフォーム開発部 稲垣 尋紀
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社/くらしプロダクトイノベーション本部
システムテクノロジー開発センター IoT価値開発部 鬼塚 雄佑
システムテクノロジー開発センター IoT価値開発部 柳田 卓郎
システムテクノロジー開発センター IoT価値開発部 久保 範倫
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社
デザイン部 平 広武
ビジュアル・サウンド ビジネスユニット 商品企画部 村上 塁
■スマートフォンの普及拡大ともに生まれた「どこでもディーガ」
「どこでもディーガ」の開発を目指されたのはどのようなキッカケですか。
村上:当社では、元々、宅内ネットワークの「お部屋ジャンプリンク」とガラケー(フィーチャーフォン)やPCで宅外から録画予約ができる「ディモーラ」というサービスを行うなど、ネットワークを重視した機能の開発を2000年代の前半ぐらいから、力を入れてやっていました。
2010年代に入ると、スマートフォンやタブレットが急速に普及してきました。そういう時代背景の中、2013年に次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が定めた「デジタル放送受信機におけるリモート視聴要件」が策定されて、デジタル放送のリモート視聴の要件が固められ、スマートフォンで視聴する環境が整備されました。
そこでまず、2013年にDTCP+対応動画転送アダプター DY-RS10-W という商品を発売。ディーガと接続して宅外で録画番組のストリーミング再生をできるようにしました。リアルタイム視聴はできず、iOSのみの対応でした。
2014年には「外からどこでもスマホで視聴」というキャッチフレーズのもと、スマートフォンアプリ「Panasonic Media Access(メディアアクセス)」の提供を開始。リアルタイム視聴や録画予約もできるようになりました。また、iOSだけでなく、Androidにも対応しました。
ただ、「Panasonic Media Access(メディアアクセス)」は当社のテレビ「ビエラ」とレコーダー「ディーガ」の両方に対応したアプリでした。
さらに「メディアアクセス」を進化させ、ディーガ専用に発展させていくという形で2017年に「どこでもディーガ」の提供を始めました。
「どこでもディーガ」を新たに開発された理由は
村上:当時、スマートフォンがどんどん普及し、あらゆることがスマートフォンを介してできるようになっていく中、ディーガとしてもスマートフォンとの連携をさらに強めていく必要があると考えていました。
そして2017年に、ディーガに録画番組だけでなく、スマートフォンの写真や動画、CDの音楽を保存して楽しめる新コンセプトのレコーダー「おうちクラウドディーガ」が立ち上がりました。
こういったディーガとしての進化が進む一方で、ビエラにはビエラの進化の方向性があり、ビエラ・ディーガ両方を見ながら共通のアプリとして進化させていくには難しい時期にさしかかっていました。
メディアアクセスは番組に特化したアプリになっており、写真や音楽といった全く別ベクトルの機能を入れ込むにはコンセプト的に無理がありました。
そのため、ディーガの新コンセプトに合わせる形で専用アプリの「どこでもディーガ」が生まれました。UI(ユーザーインターフェイス)も刷新し、番組視聴・予約、音楽、写真・動画と新たな入口を設け、より使いやすく生まれ変わりました。
ちなみに、2023年1月末頃にはディーガの「メディアアクセス」のサポートは終了しますので、「どこでもディーガ」に切り替えてくださいね。
●ディーガ、プライベートビエラで、メディアアクセスご利用のお客様へのお知らせ(「どこでもディーガ」への切り替えのお願い)
https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/41598
■安定した再生を実現する動画圧縮技術
2014 年頃と言えば、まだ3G回線で、スマートフォンで番組を再生するのはハードルが高かったのでは?
稲垣:もともと、当社ではディーガで培った動画圧縮技術がありますが、それはMbps単位の話です。当時はまだ、パケットプランと呼ばれる料金プランがあった時代です。契約データ量を超えると月末まで回線速度が128kbpsに落とされる時代です。そこで、まず128kbpsでも見られるように動画を圧縮してストリーミングすることを狙いました。ただ、128kbpsはかなり低いレートです。実現するには音声データや再生に必要な情報データまで削っていく必要がありました。さすがに128kbpsは無理でしたが、2015年にパケット節約モードという150kbpsの低ビットレートの再生モードを追加しました。パケット節約モードなら、1日1時間の視聴で1ヶ月間利用しても通信容量を2GBに抑えることができるので、利用者の拡大にも役立ちましたし、3G回線でも安定したストリーミングを実現し、ストレスなくご利用いただけるようになったと思います。
このパケット節約モードがあったから「どこでもディーガ」は安定して繋がるという評価を頂けたと思います。現在は回線も高速化され、容量使い放題プランもあるので、パケット節約モード(180p/150kbps)~最高画質(1080p/4Mbps)までの7段階のモードをご用意しています。画面サイズや通信環境に合わせて選んでいただけます。
■ディーガの価値を広げる「どこでもディーガ」
当時、録画番組を視聴するアプリは有料が多かったと思いますが、無料にした理由は?
久保:「どこでもディーガ」はディーガの価値を最大限に引き出すためのものだというのが当社の考え方で、有料にするという選択肢はありませんでした。いわばディーガの機能のひとつという考え方ですね。おかげさまで「どこでもディーガ」がディーガの購入重視点の上位に挙がってきていますし、購入後の満足度にもつながっています。
コロナ禍でテレビを見る時間が増えた時は、「『どこでもディーガ』のおかげで、テレビの取り合いにならなかった」という声や、「入院時でも家で録画した番組が見られるので有難かった」という声もいただいています。
「どこでもディーガ」が使える機種は2013年秋モデル以降と、9年前のモデルからが対象となっていますので、「そろそろ『どこでもディーガ』が使える機種に買い替えたい」と指名買いをしていただくお客さまも増えているとお聞きしています。
ただ、ディーガ単体では提供できない、ネットとサーバがあるからこそできる機能はディモーラ プレミアム会員(月額利用料330円:税込)向けサービスとして提供させていただいています。番組をシーン単位で検索してそのまま再生できる「シーン再生」やスマートフォンからのキーワード自動録画予約設定、番組一括削除・録画モード変換など、痒い所に手が届く機能をお使いいただけます。
●ディモーラ プレミアム会員(月額利用料330円:税込)向けサービスの詳細は
https://panasonic.jp/diga/apps/premium.html
■300台以上の端末で行われる動作検証
スマートフォンは毎年のように新しいモデルが発売されますが、対応していくのは大変では?
鬼塚:毎年7月頃になるとiOSのβ版の配布が始まります。ちょうどこの時期、「どこでもディーガ」のアップデート作業も行っているので、時期が重なります。なので、OSの更新対応とアプリ更新の検証作業を並行して行うことになります。加えてβ版は1回で終わりではなく、最終版まで7~8回アップデートされます。その都度、対応と検証作業を行うことになります。
また、実際にOSがアップデートされても前のOSをそのまま使い続けられるお客様もいらっしゃいますので、メジャー3バージョン前まで使えるように検証しています。
Androidでは機種によりOSのバージョンアップが行われない機種があり、使用されているチップも違うので、サポートという点ではAndroidの方がカバーしておくバージョン、機種は多いですね。実際、動作検証はスマートフォン、タブレット端末合わせて過去5年間通じて300台以上で行っています。
■主役はあくまでコンテンツ。スムーズにコンテンツにたどり着けるUI(ユーザーインターフェイス)に
2022年GUIの大幅刷新を行われたとお聞きしましたが
平:「どこでもディーガ」のベースとなる画面が全部で400画面あるのですが、それを全て刷新しました。5年もの長い間使われてきたアプリなので、デザインが時代のトレンドと離れてしまっていたり、新たに追加された機能と古くからある機能で異なるデザインルールが混在してしまっていたりしたためです。
そこで2022年春のVer.9.0でデザインポリシーを統一するという大幅工事を行うことにしました。これによりアプリ全体のスタイリングと使いやすさに統一感が生まれたことに加え、今後アップデートを行う際にもデザインポリシーに沿った形でデザインすることでクオリティを担保できると考えています。
デザイン上の工夫を教えてください。
平:一番わかりやすいのが「ホーム画面」ですね。「どこでもディーガ」は独立したアプリとしても存在して良いような機能が集まったアプリです。操作はできるだけ直感的に扱えるように工夫しています。また、スマートフォンの小さな画面でも効率よく目的のコンテンツにアクセスできるように、大きく「番組表」「録画番組」「音楽」「写真(動画)」の4つのカテゴリーに分け、アプリの入り口をシンプルにしています。
Ver.9.0 からはボタンの大きさやアイコンの線の太さまでUIを形作る全てのルールを見直しました。装飾的なデザインを極力減らしてシンプルにしつつも、各画面の目的に合わせて目立たせるところはしっかりと目立たせたり、大画面でも操作しやすいようボタン配置を変更するなど使いやすさにこだわりました。
究極的には水や空気のように生活の中に溶け込み、無意識に使う事が出来るようなものがUIとしてはベストだと考えておりますので、どこでもディーガでもデザインされている事に気付かれず、使い方に悩むこともなく快適にコンテンツを楽しんで頂ければ嬉しいですね。
■「どこでもディーガ」はネット動画と共存する
ネット動画サービスが普及していますが、「どこでもディーガ」の生き残り戦略は?
村上:ネット動画サービスと共に「どこでもディーガ」でのテレビ視聴を楽しんでいただきたいと考えています。よく、ネット動画とテレビは対立のように捉えられることが多く、ネット動画サービスをご覧になる方はテレビは見ないと思われがちです。しかし様々なお客さまのお声を聞いていると、テレビをご覧になる方とネット動画をご覧になる方は比較的一致しており、動画視聴を好きな方はテレビもネット動画もどちらも楽しんでおられることがわかりました。
ネット動画サービスにアップされているコンテンツの多くが、もともとはテレビ番組であるものも多いですよね。ネット動画サービスは1週間待たないと見られない、リアルタイムで視聴できないというコンテンツも多くあります。そもそもネット動画にはラインナップされない番組もあります。「どこでもディーガ」なら、そういった心配なく番組を思う存分お楽しみいただけます。さらに全自動モデルなら全ての番組を好きなときに、好きなだけご覧いただけます。また、番組持ち出し機能を使えば、通信量を気にせず番組を楽しむことができます。無料かつ、自分が見たい番組がいつも揃っている、「どこでもディーガ」を使えばお気に入りのテレビ番組がネット動画感覚で楽しめる、そんなアプリと捉えていただけますと幸いです。
■5G回線でも「安定した再生」を愚直に追求
今後5Gの普及で「どこでもディーガ」は、どう変わりますか?
柳田:5Gになり回線容量は増えても「安定して再生できる」、これを愚直にやっていくことが最優先です。というのも標準画質(360p/650kbps)でご覧いただいていた方が、高画質(720p/1.5Mbps)でご覧になるなど、トラフィック容量は増えていくと思います。また、テレビ視聴特有の現象として、人気番組の放送がある場合はリアルタイム視聴が急増し、番組開始前後の1分間程度の短い時間でアクセスが集中しサーバに強い負荷がかかります。番組の話題性なんかも考慮しながら随時サーバを増強して対応してきましたが、何度も冷や冷やした思いをすることがありました。短時間に集中するアクセスをどううまく分散させていくかは今後も課題ですね。
あと、AIを活用した価値を提供していくことも大事だと思っています。11月に行ったバージョンアップで、再生中の番組の関連番組や次回の番組を表示できるようになっています。
これからも番組録画の楽しさを広げるツールとして進化させていきたいと思います。
【関連情報】
◆パナソニック ブルーレイレコーダー「ディーガ」商品情報サイト
◆スマートフォンアプリ「どこでもディーガ」(無料)
https://panasonic.jp/diga/apps.html
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