どんなにネットが発達し情報化社会となっても、「物流」は決してなくなることはない。むしろ情報化が進むほど、物流の重要性が高まることは周知の通りであり、今後そのDXは最重要課題のひとつになることは想像に難くない。しかし、物流の現場では交通工学やフィジカルな問題が優先され、デジタル化が進みにくいという現状がある。リコーインダストリアルソリューションズBU IMS事業部が開発した「リライタブルレーザーシステム」はバージョンアップ、機能向上を続けて、物流のDXに一役買う主要なツールのひとつとなりつつある。しかし、TRIBUSにテーマとして掲げたのは、事業部の発展というよりもいかに物流の現場をデジタライゼーションしていくかという課題に取り組むためだという。物流現場の今、そしてリライタブルレーザーシステムの要諦を聞いた。
●募集テーマ
書き換え可能な印刷×ビジネス利用
リライタブル印刷ソリューションで効率化と省資源化を実現
●インタビュイー
リコーインダストリアルソリューションズBU IMS事業部 マーケティングセンター LD事業室 LD営業グループ 坂本 和士
リコーインダストリアルソリューションズBU 経営企画本部 経営戦略室 松本 健一
物流はDXのブルーオーシャン。ともに攻める仲間を募集
●事業内容について
商品としては非常にシンプルなもので、使い捨てになっていた物流のラベルをリライタブル(書き換え可能)にするというものです。
技術的には、ラベルの一番下の層に光熱変換材料を入れてあり、そこにレーザーを当てると熱に変換されて印字される仕組みです。そして、そこに一定の熱を加え一定のタイミングで冷却すると、その印字を消し、また書き込むことができるようになります。この消去する技術が、もっともコアな技術だと言えます。前身機種では、書き込む装置と消す装置が別々でしたが、2020年より販売を開始した現行商品では書き込みと消去をひとつのユニットで行えるようになり、利用を拡大させようとしています。
https://industry.ricoh.com/-/Media/Ricoh/Sites/industry/ldtr/video/Rewritable_Laser.mp4
●解決する社会課題
主な用途は、現在のところ物流です。
物流では、プリンターで印字したラベルを容器に貼り、容器が戻ってくるとそれを剥がすという作業が発生しています。ラベル貼りは自動化できても、剥がす作業は人力です。私たちのリライタブルレーザーシステムは、この領域の4つの課題を解決するものです。一点目は省人化。貼ったラベルをわざわざ工数をかけて剥がす作業を省略できます。生産年齢人口が減少する今後は、人を集めたくても集まらないようになるでしょう。物流業界も人手不足は深刻な課題です。2点目は人力作業による、貼り間違えなどのヒューマンエラーの防止。そして3点目は環境負荷の低減です。大きなセンターになれば1日数千枚のラベルを貼ります。その紙利用を削減し、破棄の際のCO2発生を抑制することもできます。4点目は、貼る・剥がす作業によって生じる容器の劣化を防ぐというものです。
これまでのところ、物流現場での採用が進んでいますが、システム導入の前提としてコンベアラインがあること、物流単価の低い商品には採用しにくいことなどから、中規模程度以上の物流センターが主な顧客となっています。
とはいえ、荷主や本部の意向が重要で、物流センター単体で採用を決められるというものでもありません。本部で環境負荷を低減しよう、SDGsに対応しようといった意向が強くなると、物流センターでも採用が進むという構造です。その点、近年のSDGsのムーブメントは、追い風になっていると感じています。
https://industry.ricoh.com/ldtr/case
●現状の課題/協業の期待
我々は、物流の現場での既存取引がほとんどないため、顧客接点が少ないという課題があります。
物流センターのシステムは、建設時に一旦組んで稼働を始めてしまうと、稼働を止めて更新することが難しく、集約移転のときくらいしかシステム更新のタイミングがありません。製造業ならラインの大幅な見直しのタイミングでしょう。顧客に近く、ニーズをよく知る企業でないと、そのタイミングを図ることもできませんし、新しい提案をしていくことが難しいのが現状です。
TRIBUSでテーマ募集する理由のひとつはそれです。リライタブルレーザーシステムは社会課題解決に資するソリューションだと思いますが、非常にニッチなもので、これ単体で売り込むことが難しい。TRIBUSにエントリーされるスタートアップと一緒になって、物流業界を攻めていく、そんなパートナーシップを組むことに期待しています。
●求めるスタートアップイメージ
イメージとしては、物流や製造の顧客と関係が深く、接点を持っているスタートアップ。我々のニッチな技術をうまく組み合わせて、新しい顧客価値を提供できる方。我々の技術やソリューションが主役である必要はまったくなく、むしろソリューションの1ピースでいいのです。うまく使っていただくことで、お客様に価値を提供して、お互いにメリットのある関係を築きたいと思っています。
また、既存の物流へのソリューションというだけでなく、無店舗配送などの新しい物流のカタチを提案していくことに意欲的なスタートアップも大歓迎です。
さらに言えば、リライタブルレーザーシステムを、ソリューションの一部としてまったく別の業態業界で利用するアイデアがあれば、喜んで対応します。ただ、リライタブルレーザーシステムはクラス4のレーザーを使用しており、漏れないように囲わなければなりませんし、ユニット設置にはある程度のスペースも必要です。それを踏まえて、うまく使うアイデア、ストーリーがあればぜひご一緒したい。例えば医療系、外食産業系などで可能性があるかもしれませんが、なかなか我々ではアイデアが出てきません。自前主義ではどうしても限界があると感じています。
●事業の強み/提供できるもの
スタートアップの皆さんから見ると産業分野は接点が少なく、ウェブマーケティングが進まない業界だとも聞きました。だとすれば、スタートアップの皆さんにとっても物流業界はブルーオーシャンの、ポテンシャルのある業界に見えるのかもしれません。我々としてスタートアップに期待する一方で、物流、産業分野に入りたいスタートアップの方がいたらそのお手伝いはできるかと思います。顧客のところに一緒に行ったり、技術的な支援を行ったり、仕様のすり合わせを行ったりと、ご一緒できると思います。
●スタートアップの方へメッセージ
主に物流、製造分野において、顧客をよくご存知で、相談を受けているようなスタートアップの方。お客様に対してシステム全体を構築して提供している、または構築にかかわるサービスに関わっているスタートアップの方とご一緒するのが、一番の期待しているところです。
しかし、物流製造とはまったく異なる、新しいアイデアを持たれているスタートアップの方がいたらお話を聞いてみたい。こちらは私のほうでまったくイメージが持てていないので、この分野で、こんな業種で、といったことが言えないのですが。
我々は主役でなくて良いので、一要素として使って、お客様に新しい価値を提供できる方をお待ちしています。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ