私ども一般社団法人CRD協会は「中小企業金融の円滑化」への貢献を設立趣旨とし、2001年に中小企業庁の発起により発足した国内最大規模の中小企業に関するデータベース機関で、非営利・非公益の会員組織です。会員様は信用保証協会や政府系・民間金融機関のほか中小企業を支援するノンバンク等の企業で構成されています。
https://www.crd-office.net/CRD/index.html
昨今のコロナ禍におけるゼロゼロ融資等で当協会のデータベースの役割は益々その重要度を増しており、コロナ禍の中小企業に対して当協会の国内最大規模の中小企業データを活かして何かできないかという想いから、CRD統合ツールとして新たな中小企業経営診断ツールをリリースしました。
本ストーリーではこだわったポイントとともに、リリースまでの裏側をご紹介します。
◆リリースの背景
昨今の新型コロナウイルス感染症は中小企業経営へ深刻な影響をもたらしており、このような調査結果もあります。
「中小企業の7割近くに新型コロナウイルス感染症によるマイナスの影響が出ている」
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_210512.pdf
(日本政策金融公庫「新型コロナウイルス感染症の中小企業への影響に関する調査」結果)
こうした社会情勢の中、今後の中小企業支援は資金繰り支援から成長を後押しする本業支援に軸足が移っていくことを見据え、これまでリリースしていた前身となる中小企業経営診断ツールを刷新し、CRD統合ツールとして新たな中小企業経営診断ツールをリリースするに至りました。
◆当ツールで出来ること
このツールを利用することで、取引先の評価と決算書の異常値判定を簡単な操作かつ瞬時にシンプルでグラフィカルな帳票で出力出来ます。
わかりやすく言えば当ツールに決算書データを入力すると、全国100万社のCRDデータと比較した入力決算書の偏差値やランク、全国、同業種、都道府県内での順位や決算書の異常値判定を知ることが出来ます。
評価には信用保証協会の保証料率決定にも利用されているCRDモデルを使用しますので
信頼性の高い評価結果が得られます。
ランク付けの精度については利用ユーザー様からも金融機関の格付債務者区分と概ね整合的でかなりリアルなものであると評価をいただいております。
結果は全てシンプルな帳票で出力されますので取引先とのコミュニケーションツールとしてご利用いただけます。
<リリース記事>
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000082161.html
◆機能の詳細
今回ご紹介するCRD統合ツールは以下の3つの機能を搭載しています。
1.中小企業経営診断機能
2.企業のスコアリング機能
3.決算書の異常値判定機能
ツールイメージ
1.中小企業経営診断機能
中小企業経営診断機能は財務に苦手意識のある中小企業経営者の方にもわかりやすいよう「わかりやすさ、使いやすさ」をコンセプトにしています。
企業経営者の方にもわかりやすい表現とビジュアルでコンパクトな帳票で時間制約のある企業訪問でも円滑なコミュニケーションが図れる工夫を行っています。
(1)現状診断機能
国内最大規模の中小企業に関するデータベース機関という強みを生かし、他のベンダーでは提供されていない全国100万社と比較した同一都道府県中小企業における順位、全国同業他社と比較した順位が掲載され診断企業の「立ち位置」が容易に把握できます。
また財務面での「強み」「弱み」を併記することで当該企業の経営実態をバランスよく判断出来、企業の財務面の改善につながるような的確なコンサルディングに資するものとなっています。
(2)将来シミュレーション機能
最長10年の将来の財務諸表を簡単に出力でき経営改善計画策定をサポートします。
2.スコアリング機能
スコアリング機能では診断企業が※デフォルトしやすいかどうかを100点満点の「評点」または「デフォルト確率」として算出することが可能です。
※3か月以上延滞、実質破綻、破綻、代位弁済のいずれかになること
当協会のスコアリングモデルは信用保証協会様の保証料率区分の決定にも利用されている信頼性の高い信用力評価モデルですので、客観的な物差しとして与信先の信用力評価に活用いただけます。
3.決算書の異常値判定機能(CRDアラート)
CRDアラートは決算書における異常値を検知することで、粉飾決算の可能性について注意喚起するシステムです。
他社ツールとの最大の違いは、粉飾チェックロジックのわかりやすさにあります。
他社ツールでは、粉飾の危険性を指標化する独自分析ロジックや、経常収支比率を中心指標とした独自ロジックなど、様々な工夫を凝らしている代わりにユーザーの理解が得られにくいロジックが採用されています。
一方CRDアラートでは、粉飾決算の典型的なパターンに沿った27の財務指標について、CRDに蓄積された膨大な決算データと比較し過大/過小を判定するだけという、シンプルでわかりやすいロジックが採用されています。
これにより、決算書をもとに企業経営者と対話し、当該企業の事業内容をしっかり把握するという『事業性評価』での活用が可能となります。
帳票イメージ
◆会員様での利用度向上への苦労…
当ツールの歴史は2006年に前身の中小企業診断ツールをリリースしたところから始まります。
当初は中小企業診断機能のみでしたが、機能面の完成度は高いツールだと自負していました。にもかかわらず、思うように会員様での利用は進みませんでした。
活用状況に関するアンケートを会員様である信用保証協会様に行ったところ約半数の信用保証協会様が利用していないという結果になりました。
ツールの機能面に関して実務面に照らすと不十分だった箇所もあり、アンケート結果を元に機能過多にならずに「わかりやすさ、使いやすさ」を両立する改定を行ってきました。
2010年の改定では現状診断機能に、同業種内ランクに加え、全国、全業種での診断企業における診断企業の位置づけを示す「CRDランク」という新たな付加価値も機能追加しています。これには当協会の強味であるデフォルトデータの分析をランク付けに活かす工夫がされています。
これにより当該企業の決算書はデフォルトする危険性という観点からみて安全なランク(A~C)なのか、要注意ランク(D)あるいは警戒ランク(E)なのかはっきり評価することが出来るようになりました。
前述した通り、このランク付けの精度については利用ユーザー様からも金融機関の格付債務者区分と概ね整合的でかなりリアルなものであると評価をいただいております。
また、ツールの提供だけでなく、操作研修から活用セミナーも幅広く実施することで会員様での認知度も徐々に向上してきました。
近年では決算書の見方がわからない若手職員が多いという会員様には財務分析研修から実施し、当ツールの帳票を使った経営者とのロールプレイング研修までトータルでサポートすることで、活用イメージをもってもらい利用度の向上に努めています。
◆利用者様の声
その結果ヘービーユーザとなっていただけている会員様も現れ、成果も現れています。
ある会員様では営業担当に当システムを入れたタブレット端末を配布し取引先との対話に活用できるよう研修を重ねたところ、職員の目利き力も向上し、取引先からは「こんなアドバイスをしてくれる金融機関との取引は欠かせない」と評価されているそうです。
コロナ禍は依然収束の見通しが立ちませんが、中小企業支援に少しでもお役に立てるよう当協会では当ツールの利用促進をはじめ、様々な付加価値をご提供し中小企業支援に貢献すべくこれからも邁進してまいります。
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