水資源や農業で活用できる土地が限られるといった不利な条件を補うべく、イスラエルでは育てる農作物の選択と農業技術の向上に注力してきた。
どんな種類の農作物を育てるかの決定は、国内需要ではなく国際的な競争力を高める観点からおこなっている。また、こうした国策がアグリテックの革新にもつながっている。
・約10兆円規模で農業技術を輸出
農作物の自給率は高くないイスラエルだが、農業技術においては世界を代表する輸出大国だ。2017年におけるアグリテックへの投資額は、世界全体で15億ドル(約1650億円)にもおよぶが、そのうち1億8500万ドル(約200億円)はイスラエルの企業に対するものだった。
イスラエルは2016年だけで、204の企業により91億ドル(約10兆円)相当の農業技術を輸出。輸出技術の中には、かんがいシステムや種子の繁殖技術が含まれる。
イスラエルの農場の80%には、点滴かんがいが導入されている。農作物で配水管で直接根や土壌表面に水を与える点滴かんがいは、用水路を用いた一般的なかんがい方式に比べて、水や肥料を与える量やタイミングをコントロールできる一方、水のリサイクルにより土壌に塩分が蓄積することになる。
・最適なタイミングで水や農薬を散布
こうしたイスラエルが直面している農業の課題は、農業技術に革命を起こすようなスタートアップの創設につながった。たとえばSalicropは、塩分の多い土壌でも農作物が生存できる種子処理剤を開発した。
また、PlantArcBioは、砂漠や死海に自生する植物から、環境ストレスに強い植物の遺伝子を発見しようとしている。
Taranisは、農場をモニタリングして、農薬を散布するタイミングやスポットを適切に決定して、疾病や天候被害を未然に防ぐ分析エンジンを開発した。
イスラエルで生まれるこうしたスタートアップは、アグリテックにおいて世界を牽引する役割を担ってくれるだろう。
参照元:Israel's Unique Successe in AgTech May Be Help Stem Looming World Food Crisis/nocamels