こうした事情は海外も同じようだ。ノースカロライナ州の名門、デューク大学ではさかのぼること2年前より、自動走行車の高速道路走行を前提とした研究に取り組んできた。チームは本格的なシステムを作り上げるため、Realtime Roboticsという企業も設立。自動運転をナビゲートするソフトウェアの開発に臨んでいる。
・通常システムの100倍の速度で動作
一般的な自動走行車のほとんどは3 〜10ヘルツの速度で動き、データ上最も頻度が高いとされるモデルケースのシナリオに沿って稼働する。しかしこの場合だと、1つのモーションプランしか管理できず、想定外のケースが生じたとき確実に安全性を保てるのか定かではない。これに反し、同社の構築するシステムは1000ヘルツで稼働。1ミリ秒未満の計算で、数十から数百のモーションプランを実行する。つまり、従来システムが決定を下すよりはるかに短い時間で、多くの潜在的な結果を考察できるというわけだ。例えば、歩行者が駐車中の車の後ろから出てくるとしよう。従来のモーションプランは10 ヘルツで動いているため、自律走行車が歩行者にぶつかるのを避ける時間がない。これとは対照的に1000ヘルツで動作するRealtime Roboticsのモーションプランニングは、自律走行車が歩行者との距離を安全に保てる方向へ素早く軌道計算することができる。
・実車テストに向けて鋭意開発中
自動運転への移行は喜ばしいことだが、昨今は複雑で予測もつかない事故が発生する。ただ単に自動で走り、判断するだけでは済まなくなってくるだろう。予想不可能な状況に対応しきれる技術が求められるのは当然のことだ。現在は、プロトタイプの段階というRealtime Roboticsのシステム。すでに多くのシミュレーションテストを繰り返しているが、今後は実際の車両で稼働試験を行っていくつもりだという。早めの市場導入を期待したい。
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