来館者はスクリーンに登場するダリと挨拶を交わしたり、自撮りを一緒に撮ったりできる。
・表情の細部まで学習
ダリが“いる”のは、館内3カ所に設置されたスクリーンの中。来場者がボタンを押すと、等身大のダリがスクリーンに登場し、その日の天気について語ったり、自身の作品について解説したりする。
もちろんこのダリは本人ではない。ダリの風貌に似ている人を活用して再現された映像だ。ただし、人工知能を活用して生前のダリのインタビューから彼の表情を学習し、眉の動きなど細部まで特徴を再現した。
・クリップ100本超
また、口調や話す内容はダリの手記やインタビューから引用していて、ダリそっくりの俳優が語るクリップ100本以上が撮影された。
スクリーンの中のダリは独特のなまりがある英語で語り、そして自在に動くので来場者は本物のダリに直面しているような感じを味わえる。しかも、最後にダリとツーショットまで撮れてしまう。
ダリが「美術館を出る前に私と写真を撮りたいか?」と尋ね、客が「もちろん」と言うと、スクリーンの中のダリがくるっと背を向けスマホを掲げて撮影する。そのショットは客にテキスト経由で提供される。
最先端の技術と遊び心が融合したこの企画、すでに多くの来館者をひきつけているようだ。フロリダまで行けなくてもこちらのビデオで雰囲気を味わえる。
サルバドール・ダリ美術館
(文・Mizoguchi)