量子コンピューティングをより利用しやすくするとのビジョンを掲げている同社は、これまでにも、Quantum Development Kitのいくつかの機能をGitHub上でオープンにしてきている。
今回のオープンソース化は、量子コンピューティング開発者コミュニティのさらなる拡大に貢献するものだ。
・開発者コミュニティを育てる
量子コンピューティング技術の発展には開発者コミュニティの成長が欠かせない。IBMやRigettiなども開発ツールやライブラリをオープンにしてくれていて、量子コンピュータ・プログラミングに興味のある開発者にとっては、徐々にその機会を得やすい環境が整いつつある。MicrosoftのQuantum Development Kitでは、量子についての基礎的な説明やサンプルプログラムなどが利用できて、開発者が量子コンピューティングの世界に参入しやすくなっているほか、実践的なライブラリを活用したソリューション構築にも適している。
開発者コミュニティに参加することで、上級開発者によるコード改善のアドバイスも得られるだろう。
・量子アルゴリズムで複雑な分子間の相互作用をシミュレート
今回のオープンソース化の目玉の1つとなるのが、化学の分析で活用できるライブラリだ。同ライブラリは、この分野を牽引する「Pacific Northwest National Laboratory(PNNL)」と共同開発されたもので、分析ソフト「NWChem」などで活用できる。これにより化学者が、量子アルゴリズムによって複雑な分子間の相互作用をシミュレートすることが可能になる。
ゲームチェンジャーとなることが確実視されるなか、まだまだ実験的な要素が大きい量子コンピューティング技術。開発者コミュニティを育てるとともに実用的なツールやライブラリを提供することは、現実にある複雑な課題の解決に繋がっていくことだろう。
参照元:Open Source Release coming for Microsoft’s Quantum Development Kit/Microsoft Quantum