・自転車が転倒しそうになると、ステアリングを自動で調整
デルフト工科大学のアラン・シュワブ博士を中心とする研究チームは、25の物理パラメータで自転車の安定性を予測する独自の数理モデルを開発し、2011年4月に学術雑誌「サイエンス」でその研究成果を発表。ステアリングアシストシステムでは、この数理モデルがアルゴリズムとして採用されている。
自転車のハンドルバーに組み込まれたスマートモーターには、このアルゴリズムを搭載したマイクロチッププロセッサが入っており、自転車が転倒しそうになると、ステアリングを自動で調整する仕組みだ。
これによって、自転車の転倒を防止し、時速4キロの速度で安定的に走行できる。
・自転車大国オランダで自転車事故が増加
世界的な自転車大国として知られるオランダでは、2000年から2010年までの10年間で、自転車の関わる事故が30%増加。深刻な自転車事故の多くは、自転車の制御不能によるもので、高齢者が犠牲となることも少なくない。
研究チームでは、ガゼルと共同で、このステアリングアシストシステムを搭載した電気自転車の試作品を開発し、現在、ユーザーテストを実施。
「このシステムのおかげで、自転車を直立状態に保ちやすい」とのフィードバックを得ている。
今後は、ユーザーテストからの知見などをもとに、その実用化に向けて取り組む方針だ。(文 松岡由希子)
TU Delft