その裏で取沙汰されているのがサービスを悪用した“就活セクハラ”。企業の男性社員が女子学生に対して性的関係を強要するという卑劣な行為が続出し、深刻な社会問題となっている。
こうした問題を解決するために誕生したのが「Soeur(スール)」。女性の就活・転職を支援するOG訪問プラットフォームだ。マッチングする相手はもちろん、女性社会人。結婚・出産時のキャリア選択から、なかなか聞けない本音や不安までダイレクトに相談できる。個別の事情に対応するため、ビデオチャット機能も搭載。直接会わずにコミュニケーションを取れるところも本サービスの利点だ。
提供元は昨年創業のSoeur。代表取締役CEOの花光 和樹(はなみつ かずき)氏とCOOの田邉 亮太(たなべ りょうた)氏に話を聞いた。(写真:向かって左が花光氏、右が田邉氏)
・徹底した対策で“就活セクハラ”を未然防止
Q1:まずは、このようなサービスを提供するに至ったきっかけからお聞かせください。(花光氏)大学での就活相談やOB訪問、転職者の相談などを受ける中で、女性(主に学生)からの質問には女性特有の部分がある、と感じていました。(内容は)女性のキャリアアップの仕組みやモデルケースとなる例、結婚・育児に関わる部分、福利厚生などです。Q2:最近メディアでも大きく取り上げられている“就活セクハラ”。いずれもOB訪問アプリなどの利用が原因だと言われています。このような事態を防ぐために本サービスでは、どのような対策を講じているのでしょうか。
特に結婚・出産・育児など先々を見据えている女性にとって、働きやすい会社を見つけるのは容易ではありません。インターネットで(企業の)給与や認知度は調べられても、本当の姿は会社で実際に働いてきたか、働いている先輩に聞かなければ知ることができない。そう思ったのがきっかけです。
(田邉氏)既存のOB訪問マッチングサービスは、男性社会人が登録者の7割以上を占めていること、また男性社会人と女子学生との間に立場上の差があることが“就活セクハラ”という問題につながってしまっているのだ、と思います。
本サービスではこれらに伴う相談も踏まえ、登録段階から“女性”に絞ることで“就活セクハラ“という課題を未然に防いでおります。登録はFacebookに限定し、定期的なモニタリング、レビュー機能や常時問い合わせなどを行うことで対策を講じています。今後は身元(性別)確認をより強化していく予定です。
・女性同士が安心してつながれる場にしたい
Q3:ベータ版を利用したユーザーからの反響はいかがなものでしょうか。(田邉氏)サービス自体に対する反響をはじめ、機能面などさまざまな部分においてコメントを頂戴しております。
「先輩女性の話を聞ける場や機会が意外と少ないのでうれしい」というお声をはじめ、「地方出身者がもっと増えれば話す機会も増えそう」や、「理系女子の項目を追加してもらえると、院進や就職、技術職に研究職など理系の進路について深く話を聞けるので助かる」といった提案もあります。
こういった意見は大変貴重でありがたいものです。今後はいただいた内容を含め、改善・実装を図っていきます。そして、女性同士が安心してつながれる場として、ユーザーと一緒によりよい環境を作っていきたい、と思っています。
Q4:今後の展開について教えてください。
(花光氏)まず短期的には、女性たちがキャリアや人生を考える上で、安心してつながりを持ち、本当に欲しい情報を得られる機会・場として「Soeur」というプラットフォームを確立させていきたい、と思っています。女性の社会進出を積極的に後押しする一方、性差別という根本的な課題はまだ根強く残っている。まず、この問題を解決すること。それが真に女性が働きやすい社会を作ることにつながるのではないだろうか。「Soeur」の躍進に期待したい。
中長期的には、女性ならではの視点を生かした採用や人材育成など、キャリアや人生に関わる部分で幅広く展開していくつもりです。国外との接点の場を拡大させるグローバル化、相互に学びを提供し合える教育などの分野にも広げていく予定です。
Soeur