・電気パワートレインの立役者を引き抜き
同社が最近引き抜いたのはTesla社電気パワートレイン部門のエンジニアリング担当副社長Michael・Schwekutsch氏。BorgWarnerやGKN Drivelineといった伝説的なサードパーティを顧客とするパワートレインエンジニアリング会社で20年以上のキャリアを積んできた後、Teslaに入社。業界で初めて電動パワートレインプログラムを市場に送り出した実績を持つ優秀なエンジニアだ。近年はTesla Roadster IIやTesla Semi 、Tesla Truckなど最先端のドライブシステムの開発に参加。設計・エンジニアリングから製造および検証に至るまで、すべての工程に関わってきた。彼の転職はTeslaにとって大きな損失である、と言われている。
そのSchwekutsch氏がAppleの特別プロジェクトグループに加わった、とテクノロジー情報メディアElectrekが報道。このプロジェクトには彼の他、Tesla出身のトップエンジニアが数人参加している。
Schwekutsch氏が参加する前、Apple社では当初めざしていた自律型電気自動車(Apple car)のプランをあきらめかけていた。計画を縮小し、自動車用の自動運転システムのみの開発にシフトする予定だったが、同氏が加わったことでプランが再燃。再び電気自動車の市場販売をめざすことになったという。
・Apple VS Teslaの構図は可能か?
密猟のように続くAppleによるTesla社員のヘッドハンティング。CEOであるイーロン・マスク氏は2015年のメディア取材の際、冗談交じりにAppleのことを「Tesla Graveyard(テスラの墓地)」と揶揄した。当時はTesla側が解雇した社員をAppleが雇い入れていたので、そんなジョークを飛ばしたのだろう。しかし、今は状況が違う。最近になって同社の引き抜きは、Teslaが決して手放したくないはずの幹部やエンジニアにまで及んでいる。米国電気自動車市場をけん引してきたTeslaにAppleはどう立ち向かうのか。多くの優秀な頭脳をもって証明するしかないだろう。
souce by electrek