その名も「EQ Silver Arrow 01」。このレースカーは、2019年末にスタートする「FIA Formula E Championship(フォーミュラE選手権)」に参戦するという。
・活況を見せる電気自動車レース「Formula E」に参戦へ
2014年に始まった「Formula E」は、電気自動車フォーミュラカーのレース競技で、ガソリン、その他の燃料のモータースポーツに代わる新しい競技として登場した。当時は完全電気自動車のレースはあまり成功を収めていなかったため、比較的斬新な試みとして受け止められたものの、今は確固とした地位を築いている。現在、第5シーズンの中盤で、Audi、BMW、Nissan、Jaguarなど著名な自動車メーカーが名を連ね、来年にはPorscheが参加予定だ。Mercedes-Benzは2017年に「Formula E」への参加を表明していた。関連会社ですでに「Formula E」へ参加しているHWAに運営チームを引き継がせる。Mercedes-Benzはドイツで開催されている「Deutsche Tourenwagen Masters (DTM)」から2018年に撤退し、今後は「Formula 1」と「Formula E」に注力していく姿勢のようだ。
・「EQ Silver Arrow」はわずか2.7秒以内で時速96kmに!
今回お披露目される「EQ Silver Arrow」は、Mercedes-Benzがゼロから開発したものではない。フランスのSpark社と、イタリアのDallara社が車体シャシーを設計した。電池は急成長中のEV車スタートアップであるLucid Motorsの関連会社Atievaが、ソニーの電池を使って52キロワット時のバッテリーパックを開発。この車体にマクラーレン出身のF1レーサーが乗ることになるという。超スペックの車は340馬力を誇り、時速96.5キロメートルへ2.7秒以内に到達する。車体の重量は約907.2キログラムとかなり軽い。
・運用コストが低くて済むのもメリット
世界的自動車メーカーであるMercedes-Benzが、コンポーネントの開発を他社に頼るのは奇異に映るかもしれないが、それだけレース初年度での成績にこだわっている証でもある。ただし、ギヤボックスやインバータを含むドライブトレーンは独自の開発で、ほぼ全てがバッテリーと連動している。これだけパワフルな性能を実現しつつ、ガソリン燃料などを用いる他のモータースポーツと比べて、運用コストが小さくて済むのも大きなアドバンテージ。車体の外見は、Mercedes-Benzの2019年度のF1カーと似ていて、黒をベースに鮮やかな青いラインが映える塗装になっている。
Mercedes-BenzのMotorsport部門を総括するToto Wolff氏は、「『Formula E』は私たちにとって全く新しい分野への挑戦となりますが、我が社の電気バッテリー駆動がすばらしいパフォーマンスをしてくれることを期待しています」と語っている。
今週から始まる「Geneva Motor Show」に出展される。今後の情報を待ちたい。
Geneva Motor Show
The Verge