現在、このシステムを使ったパイロットプラントを建設中だ。
・ 3つの中空芯を持つ中空糸膜システム
パイロットプラントでは、中空糸膜(ちゅうくうしまく)を利用した新しい水処理システムを使用している。一般的な中空糸膜はストローのように中空の1本の芯を持つが、この膜は3つの中空芯を持つのが特徴だ。
これが、廃水を約30パーセント多く処理することを可能にした。
・廃水の90%以上を綺麗な水に。貴金属を回収して販売も。
半導体工場に建設されるこのパイロットプラントでは、1日あたり最大5000リットルの廃水を処理し、その90%以上がろ過されて綺麗な水に生まれ変わる。これにより、年間最大160万リットルの水と25万米ドル(約2800万円)が節約できる。
また現在、この半導体工場では、製造過程で生じた有毒廃水を廃水処理施設に輸送して焼却しているが、新プロセスを使用すると、エネルギーコストを20%に抑えられるという。
さらに、処理後の水から貴金属を回収して販売するといった再利用も可能だ。
・2019年6月までにパイロット工場運用開始
パイロット工場は2019年6月までに試運転が開始され、その結果を商業化に向けて活用していく予定だ。エネルギーとコストを節約し、貴金属と資源も回収。環境に優しく、サーキュラーエコノミー実現を目指す南洋理工大学の新しい水処理システムの今後に期待したい。
Nanyang Technological University