『STORY TO AUCTION』という無料オークションサービスが今月ローンチしたのをご存知だろうか?Yahooオークションに出品した昔の宝物の中古品に対して、熱い想いやこれまでのいきさつを語れるサイトだ。
例えば年末の大掃除で出て来た、学生時代の思い出のギターをヤフオクへ。ただスペックや状態を説明した文章より、学生時代アルバイトしてやっと買った思い出や、出品にまつわるエピソードなどを書けば、大切にしてくれる次の持ち主が見つかりそう。
出品者の思い入れを語ることで商品の良さ、状態をアピールできると共に、入札検討者はストーリーを読んで共感したり人柄を見て商品を選ぶ事ができる。特に思い出の中古のカメラ、楽器、バイクなどを売る時に使ってみたい。
代表であり開発者の大野 篤史(おおの あつし)氏に話を聞いた。
Q.『STORY TO AUCTION』は今までありそうでなかったサービスですね。このサービスを立ち上げるに至ったきっかけを教えてください。
「もともとは、アフィリエイトソン*という、ハッカソンのスピンオフのようなイベントに参加したのがきっかけです。(*楽天、ヤフー、リクルートホールディングス3社合同で主催する、ECアプリケーションの開発イベント) これは1日でWebサービスを立ち上げ、その後1ヶ月間のアフィリエイト収益を競い合うイベントです。多くのAPIが用意されていましたが、Web業界に足を踏み入れて間もない私にはどれも難しそうに思えました。そんな中、私は学生時代の頃からオークションのファンであったため、比較的取っ付き易いYahooのヤフオクAPIを使って何か面白いサービスを作ろうと考えました。
そこで改めてヤフオクを見て気づいたのが、今のサイトは『つまらない』ということでした。当時のヤフオクは個人出品に溢れ返っており、一つ一つ違うメッセージ、写真、開始価格等、全てに出品者の『想い』が込められ、眺めているだけでもわくわくしていた事を覚えています。それが今や、業者の均一的な大量出品が大半を占めており、個人の光る出品物が埋もれてしまっています。これは、オークションを活性化させようとPRや業者への誘致を続けてきた弊害でもあると言えると思います。
そこに気づいた時、私は全てのオークションファンそして何より自分のために、当時のわくわく感を再現できるような『場』を作ろうと決意しました。そして出来上がったのが本サービスです。アフィリエイトソンの成績は散々でしたが、共感して下さった方も多く、手応えを感じています。」
Q.「STORY TO AUCTION」開発にあたって、最も苦労した事はなんでしたか?
「訪れた人にオークションの世界に浸ってもらうために、世界観を崩さないようなデザイン、UI設計に最も苦労しました。例えば投稿ページでは、商品写真をポラロイド写真風にし、フォームは極力シンプルにして手紙を書いているような感覚にしました。この世界観は最も重要視しており、試行錯誤を繰り返して日々更新中ですので今後も乞うご期待下さい。」
Q.年末は、家で大切にしまっているものが出て来たりする時期ですね。ヤフオクも1番盛り上がる時期だと思いますが、ユーザーには「STORY TO AUCTION」をどのように使ってほしいですか?
「個人出品者でありさえすれば、内容や金額に特に制約は設けていないため、『こだわりの一品』を語る場として是非気軽に使って欲しいです。オークションの最大の特徴は、なんと言っても入札者側が価格を決める事にあります。古いからといって出品を諦めるのではなく、あなたならではのこだわりや物語を語り、その共感度合いが価格に反映される醍醐味を楽しんで頂けたらと思います。また本サイトは、入札者や単に興味があるだけという方にとっても楽しめるように心がけています。みんなの、想いのこもった一品が一覧で並ぶ。見ているだけでも、わくわくしてくると思いませんか?STORY TO AUCTIONは、本来のオークションの楽しさを蘇らせる事を目指しています。」
使い方も至って簡単。サイトのトップページからヤフオクに出品中のオークションIDを入力すると、出品物に対するストーリーを作成/編集する画面に切り替わる。書式、文字の色なども変えられる他、追加の写真やリンクなども貼れて出品した商品の思い出を語れる。『STORY TO AUCTION』に投稿された商品はリスト表示され、写真から入札ページに移動することもできる。
『STORY TO AUCTION』はいつものヤフオクを、ただ「商品」を買うのではなく「ストーリー」も買う体験に変えてくれるサイトだ。
『STORY TO AUCTION』
(Writer: Saera Jin)