積み上げていく従来の手法とは異なり、一気に全てを形成するという画期的な手法だ。
・複製を作る技術
一般的な3Dプリンターでの出力というと、データを元にプリンターから出る素材を下から上へと積み上げ、それを硬化させて形成していく。しかし、研究チームが開発した新手法はまったく異なるアプローチだ。研究チームが“レプリケーター”とのニックネームをつけたこのデバイスでは、名称にある通り、すでにある物体の複製を作る技術。つまり、元となる物体のデータを取り込み、それをオブジェとして再現する。
・データを光に“変換”
この技術の肝は主に2つある。まずは、元となるオブジェのデータの取得だ。医療で使われるCTスキャンと同じように、オブジェを輪切り上にして正確なデータを取得する。もう1つのポイントは、データを光に“変換”する点だ。オブジェの形成には、当てると硬化する特質持つフォトポリマーという素材を使うが、素材が入った容器を回転させながらそこに光を当てていくとオブジェが出来上がるのだ。
早い話、元となるオブジェのデータを素材に投影するだけで、コピーが作れるというマジックのような技術なのだ。発表によると、これまで直径10センチほどのオブジェ出力に成功しているという。
大きなオブジェへの対応や、使用する素材のバリエーションなど、今後さらに研究が進められるだろうが、ものづくりを大きく変える可能性を秘めている技術といえそうだ。
カリフォルニア大学バークレー校