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Tech ジョンズホプキンス大がAI搭載のスマート聴診器を開発、素人でも肺炎が発見できる!

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ジョンズホプキンス大がAI搭載のスマート聴診器を開発、素人でも肺炎が発見できる!

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急性下気道感染症で死亡するは子供は毎年約100万人で、これはHIVとマラリアを合わせた死亡者数よりも多いとのこと。

一方、診療所の立地や経済的な問題から、発展途上国でレントゲン検査を受けられる人は5%未満だ。

世界保健機関(WHO)は、息切れや咳などの兆候があれば診察なしで抗生物質の服用を推奨しているが、このうち半数は実際は服用が不要で、これがコミュニティの費用的負担と耐性細菌増加の要因となっている。

こうしたことから、ジョンズホプキンス大学の研究チームは非専門家でも正確に肺疾患が診断できる聴診器を開発した。その機能は開発途上国だけでなく、世界の医療に恩恵をもたらすものだ。

・広い範囲で均一な感度を実現

研究チームは、2008年に開始した世界規模の研究、「小児の健康のための肺炎病因研究(PERCH)」の一環で、肺の音を集め始めた。その際、非専門家が正確な位置に聴診器を当てることや騒々しい環境の中で録音することのむつかしさに直面。聴診器の再設計を決意したという。

音波を電気信号に変換してノイズや歪みを除去するデジタル聴診器というものはあるが、ジョンズホプキンス大学のスマート聴診器はこれをさらに改良したものだ。

広い範囲で均一な感度を実現するこの聴診器は、胸に当てる部分、チェストピースが正しい場所に配置されていなくても強力な信号が得られる。

・肺から来る信号を維持しつつノイズを除去

また、発展途上国の診療所で聴診器を使用するには、騒音に対処することが最も重要。ただ診療において外部ノイズを減らすことは複雑な問題だ。

肺炎のような疾患は予測不能で不規則なシグナルパターンを作り出す。そして、ノイズキャンセルが重要な情報をも取り除いてしまう可能性がある。

逆に、異常なパターンを保存しようとして周囲のノイズまで保存してしまうかもしれない。

これらの課題を念頭に置いて、研究チームはアクティブかつパッシブなノイズキャンセルアルゴリズムを作成した。

単にフィルタを設定するだけでなく、外部のマイクによって記録された肺の音と周囲の音の両方を分析。2つの信号を時間の経過とともに追跡しながら、ノイズ除去の程度とスペクトル幅を調整する。

また、心臓の音など体の内部の音も邪魔になる。アルゴリズムではこうした音も除去するように訓練した。

・AIが異常な呼吸パターンを判断

研究チームはまた、聴診器をスマートにするアプリを開発。正常/異常な呼吸パターンを区別して、肺炎の症例を自動的にスクリーニングする。

アプリが音声信号全体と特定の周波数の両方を分析。ノイズ除去された肺音を分析する際には、信号すべてをを取り込むが、肺炎の症例を示す特定の周波数に集中する。

アプリをテストしたところ、87%の精度で健康な人と肺炎の人を区別できた。

オンボードにてすべての処理を行い、小型の内蔵LEDディスプレイを使用して診断に関するレコメンドを提供するため、インターネットにアクセスできない環境でも使用することができる。

また、Bluetoothを介してスマホやタブレットに接続して、診断に関する詳細情報を入手したり、信号を視覚化したり、以前に録音した音を再生したりが可能だ。

現在、スマート聴診器はペルー、バングラデシュ、およびマラウイの診療所でフィールドテストをおこなっており、うまくいけば近々安価な製品版が出るという。

参照元:A Smart Stethoscope Puts AI in Medics’ Ears/IEEE Spectrum

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