ウェルビーが、糖尿病治療の食事療法に対応した携帯アプリ、「Welby食事ノート(iOS版)」「Welby食事アルバム(Android版)」の提供を開始した。
同社は2011年の糖尿病の患者・医師向けクラウド/アプリサービス開始以来、国内最大級の会員数を誇る。
新たに食事療法対応アプリを拡充した、株式会社ウェルビー代表取締役、比木武氏に話を聞いた。
Q.2011年に最初のアプリをリリースして、会員数が国内最大級の約3万人(2013年12月現在)とのことですが、新たに加わった『Welby 食事ノート、アルバム』への、利用客の反応はいかがですか?
「ウェルビーでは主に病院、薬局でサービスをご紹介頂き、医療従事者と患者・家族に一緒にご利用頂きつつ、サービスの企画・開発、利用促進を行っております。今回の『Welby食事ノート』『Welby食事アルバム』については、食事療法サポートツールとして、既に医療従事者から非常に良い反応を頂いており、今後徐々に患者・家族への利用が進んでいくことを期待しています。それぞれの利用シーンとしては、厳格な食事記録には『Welby食事ノート』、比較的ゆるやかな備忘録としては『Welby食事アルバム』と、双方のニーズに応えられるツールとして医療従事者、糖尿病患者・家族における活用を想定いたしました。当社では、2011年より糖尿病食事療法の食品交換表に対応したツール(iOS版アプリ)も提供しておりますが、今回はそれでは対応しきれない幅広いニーズに応えることを目指しました。」
Q.実際にアプリを利用している患者からのコメントはありましたか?
「これまで患者は、紙の手帳などに血糖値や食事の記録などを書き込み、その経過を診療ごとに主治医に提出し、主治医はそれをカルテに貼るなどして残し、血糖値に影響する食事内容、インスリンの効果などを分析して、次の治療内容を決めるという流れを取っていました。(中略)アナログからデジタルツールへの切り替えによるメリットは、大きく2つ見込まれると言います。1つ目は、糖尿病患者の自己管理に対する意欲、モチベーションの向上です。手軽にしっかりと記録を残し、治療薬や食事内容による血糖値の変動を可視化して把握できることで、客観的に現状を捉え、自己管理に対する意識が高まっていくとのことです。2つ目は、医師にとって、過去の記録の振り返りによる診察の効率化です。過去の血糖値や食生活をその場で患者と振り返り、その変動や平均値が簡単に表示できるツールがあれば、医師側からすると問題点をその場で指摘しやすくなり、限られた外来診療の時間をより効率的に、さらに的確なアドバイスが可能になるとのコメントを頂いております。」
Q.モバイルアプリを医療に役立てる動きは世界に広がっています。日本の最先端の医療系アプリ会社として、アメリカを始め世界の同業者の活躍、発展をどう捉えますか?
「わたしは過去に『Health 2.0 Tokyo』の設立を進めたこともあり、創業当時から海外の医療ITの動向に注目してきました。現在も定期的に海外の病院と情報交換し、先進的な事例を日本へ普及させたいと考えています。海外では既に様々な慢性疾患分野で、自己管理ツールとしてのモバイルアプリやウェブサービスが普及し、実際に治療効果を挙げた例も発表されています。ウェルビーとしては、単なる『アプリ』ではなく、医療従事者と患者がともに治療の中で使って頂ける『サービス』を運営していくべく、取り組んでおります。その中で、国内外で様々なサービスが登場し、『医師がアプリを処方する』という世界観が普及していくムーブメントに賛同しています。」
Q.モバイルアプリは翻訳すれば海外のユーザーでも使えると言うメリットがあります。海外での展開は予定していますか?
「将来的には『治療に役立つ』サービスであれば、日本以外でも普及させたいと考えております。治療に関する指針(ガイドライン)は各国ごとに異なりますので、疾患治療にご利用頂けるものとして、しっかりとしたローカライズが必要だと考えます。」
Q.今後の他のアプリ、クラウドサービスのリリース予定があれば教えてください。
「今後は他の慢性疾患(生活習慣病、自己免疫疾患、アレルギー、癌など)への拡大と、医療従事者向けのツールを提供予定です。」
アメリカを始め、医療行為の一貫としてアプリを利用する動きが広まっている。全世界規模で政府機関も巻き込んだアプリ開発事業が勧められる現在。本当に「医師がアプリを処方する」時代がやってくる日も近いのかもしれない。
「Welby食事ノート(iOS版)」
「Welby食事アルバム(Android版)」
(Writer: Saera Jin)