Ethereumの生みの親、Vitalik Buterinは、同ブロックチェーンプラットフォームがグローバルコンピュータとして機能するビジョンを思い描いているが、いまのところ世界に与えるメリットよりもデメリットのほうが大きいようだ。
こうした事実については、Buterinをはじめとする開発者たちは、かねてより課題として認識しており、Ethereumの正常化を計画している。
・コンスタンティノープル直前にProgPoWを実装
Ethereumのコア開発者によるコードの見直しは今も進められていて、順調にいけば2019年末までに現在のわずか1%のエネルギー消費量でトランザクションを処理できるようになるという。現在、Bitcoinと同様「Proof of Work(PoW)」によりトランザクションの承認がおこなわれているEthereumだが、このやり方は今年大きく改変されていく予定だ。
まず、1月16日あたりに予定されている大幅アップデート「Constantinople(コンスタンティノープル)」直前には、「ProgPoW」の実装を発表している。
・GPUベースのマイニングを有利に
PoWでは、世界中のコンピュータが競い合ってハッシュ値を計算し、ブロックチェーンの元帳にブロックを追加していくのだが、計算能力の高いマシンほどマイニングの報酬を得るのに有利になる。また全コンピュータの半数以上のマシンパワーをもってすればニセの情報を持ったブロックの追加が可能になってしまう。Ethereumにはマイニングに特化したASICと呼ばれるIC機器の利用が不利に働くような仕組みがあり、そのうち一つがGPUベースのマイニングを有利に働かせるProgPoWだ。ProgPoWを実装することで、ASICの製造シェアが高い中国にマイニングリソースが集中するのを避け、Ethereumの運用を安定させる。
・最終的にはマイニングを捨てPoSに移行
ProgPoWを経て最終的には、トークンの保有量をもとにブロック追加の承認権が割り振られる「Proof of Stake(PoS)」に移行する計画で、これによりマイニングが必要なくなり、1トランザクションあたりの消費エネルギーは現在の100分の1以下になるとのこと。コンピューティングプラットフォームとして機能することを目指すEthereumだが、そのためにはブロックチェーンアプリにとって十分実用的なものになる必要がある。時価総額で言えば最近再び2位に返り咲いたわけだが、Cardano(カルダノ)やEOSといった競合は多い。"使える"と認められたプラットフォームが生き残り、他は衰退することになるだろう。
参照元:Ethereum Plans to Cut Its Absurd Energy Consumption by 99 Percent/IEEE Spectrum
Ethereum Core Devs to Move Forward With ASIC-Resistant PoW Algorithm/COINTELEGRAPH
Ethereum Energy Consumption Index (beta)/Digiconomist