今春リリースされた「SPOBY(スポビー)」も、その1つ。App Storeヘルスケア/フィットネスカテゴリーに登場するや否や、瞬く間に最高第1位を獲得。幅広い年齢層に支持され、今日に至る。
競合サービスとの違いは、ユーザーのやる気を引き出す、ユニークなコンセプト。大手企業が個人のスポンサーになって、健康促進を応援するというもの。スマートフォンに歩行記録をためるだけで、さまざまなスポンサーシップが獲得できる、一石二鳥のアプリだ。
要望に応えて、11月1日にはAndroid版もスタート。話題のアプリについて、さらに深く知るべく、CUVEYES(キューヴアイズ)代表取締役、最高経営責任者の夏目 恭行(なつめ たかゆき)氏に、話を聞いた。
・小さくても身近な影響力を活用
Q1:まずはさかのぼって、「SPOBY」提供のきっかけからお聞かせください。私は以前、ゲーム会社のプロデューサーとして、グループ内業界最大手フィットネス施設のビジネスを手がけ、主にシニア層へのサービスの取り組みに努めておりました。Q2:大手企業がスポンサーになって健康をサポートするという、斬新な内容。このアイディアは、どのようにして思いついたのでしょうか?
当時行っていたのは、“健康活動促進のための恐怖訴求”でしたが、多くのシニア層の心に響くことはありませんでした。なぜなら、疾患発症していない時点で、“疾患を用いた恐怖訴求”は、我が事として捉えづらいからです。
(その経験から)ヘルスケアと健康活動の概念を改める必要性を、痛感しました。もっと楽しめる健康活動を、知らぬ間に健康活動がなされているような状況を作り出すには、エンタテインメント性が必要です。それで、現在の「SPOBY」を生み出す決意をしました。
これまで大手企業は、有名人やスポーツ選手などを商品や企業の広告塔として、起用してきました。社会的に影響力のある方々なので、当然の経緯です。
しかし、こと健康に関して「あなたに影響を及ぼしている人は誰ですか?」と聞かれて、「本田圭佑選手です」とはなりません。身近でダイエットに成功した友人であったり、昼休みに皇居ランをしている同僚であったりするはずです。
(中略)それが、マスの広告塔ではなく、小さくても身近な影響力を活用すべきだ、と考えたきっかけです。(中略)ただし、ブログマーケティングのように、個人の発信力を、媒体化するつもりはありません。その時点で、個性や生の感覚が損なわれる、と思いますので。あくまでも、個人とその人を取り巻くミニマムな社会で、遊び心や健康面での向上心を媒体にして、情報が伝播することをめざしております。
・来春に自治体・企業向けのソリューションをリリース
Q3:開発に当たって、最も苦労したのは、どんなどころでしょうか。ベンチャー企業のため、今でも開発スタッフが、潤沢にそろっているわけではありません。開発時は、限られた人的リソースの中で、作業を進めることに、大きく苦労しました。Q4:今後の展開について、教えてください。
発売後は短期間で、多くのユーザーが、ダウンロードしてくれました。それは、すごくうれしいことではありますが、人員不足の問題は、解決しておりません。ユーザーのニーズにいち早く応える体制作りに、現在も四苦八苦しております。
日本国内における年間の医療費が、42兆円になりました。多くの国民に対し、歩行活動を推進していくことが、1次予防の活性化につながる、と考えております。
2019年春には、現在運用中の一般向けサービス「SPOBY」に加えて、自治体や企業単位の“健康経営ソリューション”となる、「SPOBY〜健康経営(仮)」をリリースします。企業の社員や、地域住民に向けた運動推進ツールとして、活用してもらえるサービスです。社員は楽しみながら運動を促進し、企業側は、社員の運動量や運動傾向を可視化できますので、企業内の健康課題が浮かび上がります。
「頑張った先にごほうびがある」。これほど単純でわかりやすいモチベーションは、他にないだろう。「きっかけは物欲であっても、継続するうちに、大手企業がスポンサーがつくという、精神的欲求が芽生えていく」と、夏目氏は語っている。現代人に必要なのは「自分の健康は、自分で守る」という意識。まずは、「SPOBY」にトライしてみよう。国民一人ひとりが努力すれば、医療費は必ず削減されるのだから。
SPOBY