温室内の60本の草本から収穫されたバナナは、地元の食品サプライヤー「Boerenhart」を通じて、オランダ中部ワーヘニンゲンの飲食店や病院で“地産食材”として提供される。
・土を使わず、バナナの栽培に成功
主にアジアや南米、アフリカで栽培されるバナナは、土壌に潜み、根から侵入して感染を広げ、立ち枯れを起こす「パナマ病」などの病害によって甚大な被害を受けてきた。そこで、蘭ワーヘニンゲン大学は、「Boerenhart」のほか、世界的なバナナの生産・販売会社「Chiquita(チキータ)」や地元のバイオテック企業「Keygene」らとともに共同研究プロジェクトを創設。
土の代わりにヤシ殻(ココピート)や岩綿(ロックウール)を培地として、2018年1月、大学内の実験用ハウス「Unifarm」でバナナの試験栽培を開始した。
いずれの培地でも養分を与えるだけでバナナは順調に生育し、病害防除の必要もなく、肥料の無駄を3割程度軽減できたという。
・フィリピンでもバナナの温室栽培に着手予定
共同研究プロジェクトでは、今後、フィリピンでも同様に、バナナの温室栽培に試験的に取り組む方針だ。(文 松岡由希子)Wageningen University & Research