その貧血検査をより手軽なものにできないかと、米国の学生が爪の色から貧血を診断できるアプリを開発した。来春の実用化を目指している。
・自身の体験がベース
開発を手がけたRob Manninoさんはさん米国エモリー大学で生物医工学を専攻し、博士号取得の課程でこのアプリを開発した。アプリ開発に至ったのには理由がある。Manninoさんはベータサラセミアという遺伝性の血液疾患を抱えていて、採血して貧血かどうかを頻繁に調べる必要があるのだ。
ヘモグロビンレベルが低いとManninoさんは輸血を受けなければならず、しばらくしてまた血液検査を受けるという生活を続けてきたが、その検査がかなり負担だったという。
・血液検査と同レベル
そこでアプリの開発を思いついた。手指の爪床の色をスマホのカメラでとらえて、貧血かどうかを判断するというものだ。337人の爪の写真と血液検査で得られたヘモグロビンレベルを手作業で相互関係付けてアルゴリズムを開発した。そしてできたアプリで100人を対象にテストを実施。カリブレーションなし、1枚の爪床の写真に基づくという設定で、精度は1デシリットルあたり±2.4グラムだった。
次にカリブレーションプロセスを加えたところ、精度は±0.92グラムに改善し、血液検査とほぼ同レベルなった。
爪はメラニンを含まないため、このアプリは肌の色に関係なく使えるとのこと。加えて、さまざまなスマホで使える見込みで、来春の実用化を目指している。
研究結果は専門誌Nature Communicationsに掲載された。
エモリー大学