そんな猫好きを救うべく登場したのが、先日Makuakeにて目標金額を大幅に上回る金額を集めた猫向けの首輪型デバイス「Catlog」だ。今回は、自身も大の猫好きと語る、株式会社RABO代表取締役社長の伊豫 愉芸子氏に、開発の裏側と目指す猫との理想の関係を語ってもらった。
とにかく「猫にやさしく」にこだわった猫向けウェアラブル
Q.1 まずは「Catlog」の主な機能を教えてください。
首輪型のデバイスで、猫の活動データを24時間計測できます。愛する猫の様子(走る・歩く・食事・睡眠など)と、部屋の室温が外出先からでもスマホで分かります。仕事やお出かけの際など、ふと様子が気になったときでも安心です。
犬のお散歩と同様に、猫にも適切な運動量があります。データは常時蓄積されるので、運動不足や食事の回数などを知ることができ、愛猫の健康管理にも役立ちます。また、複数の猫を飼っていても、それぞれの行動を1つのアプリで管理でき、家族や獣医さん、キャットシッターさんなどにもCatlogアプリのアカウントのシェアが可能です。
Q.2 猫好きメンバーが結集して開発が進められたとのことですが、猫好きだからこそこだわった点、もしくは力を入れた点があれば教えてください。
「Cat Centered Design」と称してとにかく猫に優しく、負担にならないことをまずは考えました。猫にとってヒゲは重要な触覚器官であり、毛根部分には感覚神経や血管が集中しており非常に敏感です。そのため、軽量化だけでなく、下を向いた時にヒゲにあたらないように薄型化も実現しました。
首に触れる裏側は塗装なしの樹脂、かつ接続部に毛が絡まらないように留意したデザインを採用し、取り替え可能なベルトの素材は、猫の首にやさしいスエードやコットンを予定しています。猫の五感の内、最も優れているのは聴覚で、人間よりもずっと広範囲な可聴周波数帯をもつため、Pendant内部には極力、音の鳴らない部品を選定しました。
また、Pendant充電後、加熱した状態のまま猫に装着しないように冷めてから充電完了表示します。ベルトは力が加わると外れるセーフティ・アジャスターを使用した安全設計です。
なお、Pendantは「鈴」がモチーフになっており、充電中などに点灯するPendantのLEDライト部分は鈴の穴のカタチにしました。Catlogは「次世代の首輪」なので、昔から猫と関係性の深い鈴を、現代版として少し表現してみました。
今まで以上に愛猫のことを知れるように
Q.3 Catlogのような最先端なデバイスを使うのが苦手な人も多いかと察します。より多くの人たちに普及していくために必要なことはなんだと思われますか?
説明書などがなくてもiPhoneを使える人なら問題なく使えるような、UI/UXを心がけて開発しています。基本的には最初に設定すればあとはアプリを開くだけで猫の様子がわかる簡単な操作です。また、デバイスに対してのリテラシーとは別ですが、離れていても猫が身近に感じられるような画面デザインにしています。
Q.4 機械学習処理で使えるログデータが増えれば増えるほど情報量が豊富で正確になっていくと思いますが、データが増えると具体的にユーザーにとってどういった点で便利になっていくのでしょうか?
飲食など複雑な行動の分類精度があがるため、分類できる行動の種類が増えます。猫の行動は約17種類に分類できるといわれており、最終的には一日事細かに猫が何をしていたかの分類ができるようにしたいと考えています。
また、現在開発中の機能のひとつとして、目の前で過ごす愛猫の行動を簡単な操作でCatlogに教えることができる、というものも予定しています。このような様々な手法を用いつつ、今回ご支援いただく皆様の猫の行動データをCatlog全体で蓄積・学習していき、より多くの猫のできるだけ正しい行動の様子がとれるようにしていきます。将来的には、各猫ごとに使えば使うほど、自分の飼い猫のデータ分類精度が上がるようなしくみにもする予定です。
Q.5 今後の目標を教えてください
世界でもっとも飼われているペットは猫(約6.3億匹)といわれています。環境は違えど猫を愛する気持ちと猫の行動は万国共通だと思うので、Catlogを通じて世界中の猫と飼い主が1秒でも一緒にいられるようにしていきます。
また、動物病院など動物医療とも連携し、Catlogによって取得した膨大な猫の行動データから、疾患の早期発見や遠隔医療などにもチャレンジしていきたいです。
Catlogは便利なデバイスである以上に、猫のこともしっかりと考えられた愛に溢れたアイテムだ。デザイン、機能、素材、あらゆる点から、開発者が目指す猫との理想の関係がにじみ出ているともいえるだろう。猫と飼い主との関係をさらに縮めてくれることは間違いない。
執筆:Doga
Catlog