こうした検査を素早く、そしてより高精度で行える装置が開発された。カリフォルニア大学デービス校の研究者が手がけた「Explorer」だ。
・わずか20〜30秒
ExplorerはCTとPETを組み合わせたような装置で、わずか20〜30秒で体全体の3Dスキャンができる。CTやPETが10〜15分かかるのに比べれば“一瞬”と言ってもいいような短さだ。また、現在使われているスキャンシステムより40倍も感度が高いため、使用する放射線の量もかなり抑制できるという。
・高い検査精度
そして最大のポイントは、検査精度が極めて高いことだ。体全体をくまなくスキャンすることで、現システムでは見えにくかった部位まで見えるとのこと。また、体中の血液の流れや糖の取り込み状況を同時にチェックでき、放射性トレーサーの体の中での動きを3Dでとらえることもできる。こうした性能により、医療者はたとえばがん細胞の広がりや炎症、感染、代謝疾患などを一度のスキャンで把握できるのだという。
開発チームによると、Explorerには2000個近いモジュラーブロック検知器が配置され、情報を処理して保存するのにコンピュータを4〜6台使用している。
重量が10トン以上もある大型装置で、どの医療施設にも手軽に導入できるものではなさそうだが、医療の進歩に大きく貢献する装置になりそうだ。
UC Davis
Explorer