実際組み合わせたのは、藻の仲間として知られ光合成をおこなうシアノバクテリアと、炭素原子の薄型シートをリボン状にしたグラフェンリボン、そしてキノコだ。
このアプローチは「細菌ナノバイオニクス」として、センサからスマートなハイドロゲルまで、次世代アプリケーション向け材料の開発を促進する。
・キノコで細菌を延命
研究者らは、「バイオニックキノコ」を開発するにあたって、まずシアノバクテリアの寿命を延ばす方法を開発した。シアノバクテリアは寿命が短いことで知られており、せっかくの発電能力が限定的なものとなっている。そこで研究者らは、シアノバクテリアをキノコの傘の上に置くことで、シアノバクテリアの寿命を数日間延長する方法を見出した。
次に、彼らはキノコの傘にグラフェンリボンを含む電子インクを3Dプリントし、シアノバクテリアに付着させることで、生産した電気を収穫する方法を開発した。
・将来的には細菌が毒素の検出センサーに
光がキノコにあたるとシアノバクテリアは光合成をおこなう。そして、シアノバクテリアに付着したグラフェンナノリボンは、導電線として作用し、電子を外部回路に移動させる。こうした、3Dプリントによる細菌ナノバイオニクス技術を応用することで、発電や毒素の検出、発光など、微生物の持つ独自の能力を活用できる。
今後研究者らは、環境や生体の調査にとって有用なアプリケーションを開発すべく、微生物やナノ素材の組み合わせのさまざまな変更を試していくことになるだろう。
参照元:Bacteria Ride Bionic Mushrooms to Generate Electricity/IEEE Spectrum