そんな“偶然”を“必然”に変えてくれるのが、「YACYBER(ヤサイバー)」。近くにある農園・直売所をタップ1つで見つけられる、スマートフォン向けのウェブサービスだ。全国から厳選した、本当においしい、と自信をもって言える農産物のみを掲載。野菜・果物の直売所はもちろん、農業体験や味覚狩りのできる農園を探すことも可能だ。
今月初めには、待望の直営店「YACYBER store」を、大阪にオープン。全国約3800件の登録農家から取り寄せた鮮度抜群の農産物を、ダイレクトに目利きしながら、購入することができる。
提供元は、2015年設立のYACYBER。代表取締役の唐澤 太郎(からさわ たろう)氏に、話を聞いた。
・個人の生産者を尊重したサービス
Q1:まずは、検索サービス「YACYBER」提供のきっかけから、お聞かせください。きっかけは、野菜嫌いだった子どもが、おじいちゃんが作った野菜を、食べたことです。自分の好きな人が育てた作物だからというだけではなく、自分が関わることで、嫌いな物も好きになるのだ、とわかりました。
そんな人間の成長と、嗜好の変化に感動したのですが、「何を買うか」ではなく、「誰から買うか」というサービスがなかったため、「YACYBER」を立ち上げたのです。
Q2:今回、あえて実店舗オープンに踏み切った理由をお聞かせください。
大量生産、大量消費の時代から、消費に合わせた生産へアップデートすることで、個人の生産者がより活躍できる、と考えております。
実店舗があれば、販売網が確立されている大規模生産者でなくても、ユーザーデータを収集し、購買分析をすることが可能です。生産、販売予測もできますし、少量多品種の生産者の収入も安定すると思い。オープンに踏み切りました。
・希少な農作物と手軽に出会える仕組み作りをめざして
Q3:店舗オープンにあたって最も苦労したのは、どのようなところでしょうか。場所の選定です。半径数キロメートル内の生鮮食品の買い物をする場所の数、年齢層や世帯数、近隣へ安定して出荷可能な登録生産者、連携している教育機関が一定以上あるエリアなど、数値化した出店条件指標を、クリアするのに苦労しました。Q4:サービス全体の今後の展開について、教えてください。
結果的にすべてを満たすエリアはなかったのですが、生産者数や居住世帯数、年齢層を優先し、そこから連携教育機関を、徐々に登録してもらいました。
「世の中を変えたい」という大それた想いはなく、生産者と消費者をもっと身近にし、希少な農作物と、もっと手軽に出会える仕組み作りをめざしています。
子どもから大人まで顔見知りの生産者から、生活の動線を変えずに購入してもらい、笑顔と感謝を増やし、知る喜びと出会う感動を、創出してまいります。
YACYBER storeの営業は、今のところ週3日。今後は、24時間営業も視野に入れ、全国に順次拡大する予定だ。検索サービスと併せて、ぜひ利用したい。(取材・文 乾 雅美)
YACYBER store